第18話 ため息
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「くそっ!今日のところはこれくらいにしといてやる…!」
暫くして諸泉さんはぼろぼろになりながら走り去っていった。
土井先生は始終余裕で、今の攻撃はどうだったとかここはこうすべきだとか、まるで実技の授業かのように指摘しながら相手をしていた。
土井先生やっぱりカッコいい…!
私は胸の高鳴りを抑えきれずにため息をついた。
「たまみさん。」
「!っはい!」
突然土井先生に名前を呼ばれて、声が裏返ってしまった。
土井先生はクスリと笑って、私の頭に手をおいた。
「諸泉くんは悪い子じゃないけど、一応曲者なんだから気をつけないと。」
「あ…すみません。」
「二人きりで部屋で話をするなんてもっての他だ。」
「すみません…」
「まったく…利吉くんといい大木先生といい…無防備すぎるというか…。」
…ん?
利吉さんと大木先生は曲者でも敵でもないのでは?
どういう意味だろうと見上げると、土井先生は私をじっと見つめて黙った。
その真っ直ぐな瞳に射ぬかれて、時が止まったかのように動けなくなった。
ゆっくりと、土井先生の指が頬に触れる。
そっと優しく触れる感触に、言葉も出ず目をそらすことも出来ず固まっていると…
「…墨がついてる。顔を洗っておいで。」
「!!」
墨が頬についていることを忘れていた!
土井先生が私の頬の墨を親指でなぞって目を細め、私は慌てて井戸へ走った。
「…やれやれ、わざと見せつけるなんて…私も大人げないな。」
土井先生のため息まじりの一人言は誰にも届かなかった。
暫くして諸泉さんはぼろぼろになりながら走り去っていった。
土井先生は始終余裕で、今の攻撃はどうだったとかここはこうすべきだとか、まるで実技の授業かのように指摘しながら相手をしていた。
土井先生やっぱりカッコいい…!
私は胸の高鳴りを抑えきれずにため息をついた。
「たまみさん。」
「!っはい!」
突然土井先生に名前を呼ばれて、声が裏返ってしまった。
土井先生はクスリと笑って、私の頭に手をおいた。
「諸泉くんは悪い子じゃないけど、一応曲者なんだから気をつけないと。」
「あ…すみません。」
「二人きりで部屋で話をするなんてもっての他だ。」
「すみません…」
「まったく…利吉くんといい大木先生といい…無防備すぎるというか…。」
…ん?
利吉さんと大木先生は曲者でも敵でもないのでは?
どういう意味だろうと見上げると、土井先生は私をじっと見つめて黙った。
その真っ直ぐな瞳に射ぬかれて、時が止まったかのように動けなくなった。
ゆっくりと、土井先生の指が頬に触れる。
そっと優しく触れる感触に、言葉も出ず目をそらすことも出来ず固まっていると…
「…墨がついてる。顔を洗っておいで。」
「!!」
墨が頬についていることを忘れていた!
土井先生が私の頬の墨を親指でなぞって目を細め、私は慌てて井戸へ走った。
「…やれやれ、わざと見せつけるなんて…私も大人げないな。」
土井先生のため息まじりの一人言は誰にも届かなかった。