第15話 犯人は誰
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目が覚めると自分の部屋にいた。
あれ、私、学園長先生のところでお酌を頼まれて…ひとくちだけ勧められて…そこから記憶がない。
…えっ、いま布団に寝ているということは…もしかして、眠ってしまった…!?
慌てて学園長先生に聞きに行く。
「学園長先生!私、もしかして眠ってしまったのでしょうか!?すみません!」
「いやいや、ちょっとでも飲ませたわしが悪かった。」
「しかも部屋まで運んでもらって申しわけありませんっ!」
「土井先生が運んでくれたから、後でお礼を言っておくといい。」
「!…はい、わかりました。」
私はその足ですぐに職員室に向かった。
まさか酔って眠ったところを土井先生に布団まで運ばれたなんて…恥ずかしすぎる!
でもちゃんとお礼を言わなくちゃ…!
けれど覚悟して行ったものの、部屋には山田先生しかいなかった。
仕方なく食堂へ向かい食堂のおばちゃんにお手伝いできなかったことを謝り、バタバタと夕食を食べて片付けを手伝う。
時間も遅かったので、そのままお風呂に向かった。
土井先生には後でお礼を言おう。
お風呂にはくのたまの子達が数人入っていて、私はいつも通りに一緒に入らせてもらう。
ん?
何だか視線を感じる。
振り返ると、みんな何故か目をそらす。
なんだろう。
結局よく分からないまま、そろそろ上がろうと鏡を見た。
ん?
首に赤い跡がある。
虫に噛まれたのかなと思いよく見た。
…
……これ、は!
私は赤くなって、その後すぐに青くなって、慌てて衣を着た。
さっきの視線は、これを見ていたのか!!
いっ、一体、いつ誰がこんなことを!!?
私は少しパニックになり自室へ戻った。
敷かれたままになっていた布団が目に入る。
朝はこんな跡なかったし、私が眠っている間に誰かが!?
何かの悪戯だろうか。
それとも…?
何だか不安になって、とりあえずここに運んでくれた土井先生なら何か知ってるかもしれないと部屋を出ようとしたとき、
「たまみさん、いますか?」
土井先生の声がした。
私はすぐに障子をあけた。
「私を探してると聞いたのですが…?」
「あ、はい…あの、先程はここまで運んでくださったと聞いたのですが…お手数かけてすみませんでした。」
「いえいえ。学園長先生にも困ったものですね。」
眉をハの字にして笑う土井先生はどこかソワソワしていた。
…き、聞きづらい。
私が黙っていると、土井先生が眉をひそめた。
「どうしましたか?頭が痛いとか?」
「いえ、…頭は大丈夫なのですが、その…」
ふと、廊下から漏れ聞こえると困ると思い、土井先生に部屋のなかに入ってもらった。
障子をぴったりとしめて声が外に聞こえないようにする。
土井先生は驚いたようで固まったまま私を見ていた。
私は意を決して正直に相談する覚悟を決めた。
「あの、ですね…」
「はい?」
「さっき、お風呂に入ったんですけど…」
「…?」
「く、首に、覚えのない跡がありまして………」
「!!」
私が全て言い終わる前に、土井先生の顔がみるみる赤くなった。
「す…すみませんっ!!」
「!?」
「それ、犯人は私です!」
「ええっ!?」
土井先生はガバッと頭を下げて謝った。
「首の跡のことですよね!?私が、つけました!」
えっ、土井先生が…!!!?
信じられなくてじっと土井先生を見つめた。
本当に申し訳なさそうな顔をしている。
つまり、これは、土井先生がここに私を運んだときにつけたということ…?
「よかったぁ…!」
「え?」
「知らない人に、寝てる間に何かされてたらどうしようかと…!土井先生でよかったです…!」
私は安心して涙目になった。
土井先生はびっくりしてさらに謝ってきた。
「不安にさせてしまってすみません…!あの、これはですね、違うんです!いや、違わないんですけど…その…えっと、何も覚えていませんか?」
私が頷くと、土井先生は狼狽えたあと静かに話しだした。
「実は、たまみさんをここに運んだとき、その……たまみさんが私に抱きついて離れなくて…」
「!?」
「首に吸い付いてきて…」
「!!??」
「跡が残らないって言うから…その、こうするんだよって教えていたというかなんというか…」
「!!!???」
えっ!?
ちょっと待って!?
そんなの、記憶に、全く無い…!
私が、土井先生にそんなことを…!?
「一応襟で見えない場所につけたつもりだったんですけど、お風呂のことまでは…。すみません…その、たまみさんは酔っていただけなのに、つい本気になってしまって…。」
土井先生が下を向いて、でもすぐにハッとして付け足した。
「あ、でもそれ以外は何もしてないので!ほんとに!!……あの、怒って、ます?」
叱られた子犬のような目でシュンと見てくる。
こんなときなのに、可愛いと思ってしまった。
「…いえ、驚いただけで…あの、私がほんとにそんなことを…?」
「はい。」
ぅわぁぁぁ、恥ずかしすぎる…!!!
松千代先生じゃないけど隠れてしまいたい…っ!!
「す、すみません!覚えてないとはいえ、大変なご迷惑を…っ!!」
自分が酔って絡んで土井先生が困っているところを想像すると、いたたまれなさすぎて泣きそうになった。
「お酒、これから気をつけます!」
ひとくちぐらいしか飲んでないはずなのに、なんと恐ろしい。
もう2度と飲むまいと思ったとき、土井先生は苦笑して頬をかいた。
「飲むなら、私のいるときだけにしてください。」
「…でもまた土井先生にご迷惑を…」
「私は別に…というか…、でもできればああいうのは酔ってないときがいいかな。…なんて。」
「…!!」
私は真っ赤になって、その言葉が本気なのか私の罪悪感を薄めるための冗談なのかをぐるぐると考えたのだった。
あれ、私、学園長先生のところでお酌を頼まれて…ひとくちだけ勧められて…そこから記憶がない。
…えっ、いま布団に寝ているということは…もしかして、眠ってしまった…!?
慌てて学園長先生に聞きに行く。
「学園長先生!私、もしかして眠ってしまったのでしょうか!?すみません!」
「いやいや、ちょっとでも飲ませたわしが悪かった。」
「しかも部屋まで運んでもらって申しわけありませんっ!」
「土井先生が運んでくれたから、後でお礼を言っておくといい。」
「!…はい、わかりました。」
私はその足ですぐに職員室に向かった。
まさか酔って眠ったところを土井先生に布団まで運ばれたなんて…恥ずかしすぎる!
でもちゃんとお礼を言わなくちゃ…!
けれど覚悟して行ったものの、部屋には山田先生しかいなかった。
仕方なく食堂へ向かい食堂のおばちゃんにお手伝いできなかったことを謝り、バタバタと夕食を食べて片付けを手伝う。
時間も遅かったので、そのままお風呂に向かった。
土井先生には後でお礼を言おう。
お風呂にはくのたまの子達が数人入っていて、私はいつも通りに一緒に入らせてもらう。
ん?
何だか視線を感じる。
振り返ると、みんな何故か目をそらす。
なんだろう。
結局よく分からないまま、そろそろ上がろうと鏡を見た。
ん?
首に赤い跡がある。
虫に噛まれたのかなと思いよく見た。
…
……これ、は!
私は赤くなって、その後すぐに青くなって、慌てて衣を着た。
さっきの視線は、これを見ていたのか!!
いっ、一体、いつ誰がこんなことを!!?
私は少しパニックになり自室へ戻った。
敷かれたままになっていた布団が目に入る。
朝はこんな跡なかったし、私が眠っている間に誰かが!?
何かの悪戯だろうか。
それとも…?
何だか不安になって、とりあえずここに運んでくれた土井先生なら何か知ってるかもしれないと部屋を出ようとしたとき、
「たまみさん、いますか?」
土井先生の声がした。
私はすぐに障子をあけた。
「私を探してると聞いたのですが…?」
「あ、はい…あの、先程はここまで運んでくださったと聞いたのですが…お手数かけてすみませんでした。」
「いえいえ。学園長先生にも困ったものですね。」
眉をハの字にして笑う土井先生はどこかソワソワしていた。
…き、聞きづらい。
私が黙っていると、土井先生が眉をひそめた。
「どうしましたか?頭が痛いとか?」
「いえ、…頭は大丈夫なのですが、その…」
ふと、廊下から漏れ聞こえると困ると思い、土井先生に部屋のなかに入ってもらった。
障子をぴったりとしめて声が外に聞こえないようにする。
土井先生は驚いたようで固まったまま私を見ていた。
私は意を決して正直に相談する覚悟を決めた。
「あの、ですね…」
「はい?」
「さっき、お風呂に入ったんですけど…」
「…?」
「く、首に、覚えのない跡がありまして………」
「!!」
私が全て言い終わる前に、土井先生の顔がみるみる赤くなった。
「す…すみませんっ!!」
「!?」
「それ、犯人は私です!」
「ええっ!?」
土井先生はガバッと頭を下げて謝った。
「首の跡のことですよね!?私が、つけました!」
えっ、土井先生が…!!!?
信じられなくてじっと土井先生を見つめた。
本当に申し訳なさそうな顔をしている。
つまり、これは、土井先生がここに私を運んだときにつけたということ…?
「よかったぁ…!」
「え?」
「知らない人に、寝てる間に何かされてたらどうしようかと…!土井先生でよかったです…!」
私は安心して涙目になった。
土井先生はびっくりしてさらに謝ってきた。
「不安にさせてしまってすみません…!あの、これはですね、違うんです!いや、違わないんですけど…その…えっと、何も覚えていませんか?」
私が頷くと、土井先生は狼狽えたあと静かに話しだした。
「実は、たまみさんをここに運んだとき、その……たまみさんが私に抱きついて離れなくて…」
「!?」
「首に吸い付いてきて…」
「!!??」
「跡が残らないって言うから…その、こうするんだよって教えていたというかなんというか…」
「!!!???」
えっ!?
ちょっと待って!?
そんなの、記憶に、全く無い…!
私が、土井先生にそんなことを…!?
「一応襟で見えない場所につけたつもりだったんですけど、お風呂のことまでは…。すみません…その、たまみさんは酔っていただけなのに、つい本気になってしまって…。」
土井先生が下を向いて、でもすぐにハッとして付け足した。
「あ、でもそれ以外は何もしてないので!ほんとに!!……あの、怒って、ます?」
叱られた子犬のような目でシュンと見てくる。
こんなときなのに、可愛いと思ってしまった。
「…いえ、驚いただけで…あの、私がほんとにそんなことを…?」
「はい。」
ぅわぁぁぁ、恥ずかしすぎる…!!!
松千代先生じゃないけど隠れてしまいたい…っ!!
「す、すみません!覚えてないとはいえ、大変なご迷惑を…っ!!」
自分が酔って絡んで土井先生が困っているところを想像すると、いたたまれなさすぎて泣きそうになった。
「お酒、これから気をつけます!」
ひとくちぐらいしか飲んでないはずなのに、なんと恐ろしい。
もう2度と飲むまいと思ったとき、土井先生は苦笑して頬をかいた。
「飲むなら、私のいるときだけにしてください。」
「…でもまた土井先生にご迷惑を…」
「私は別に…というか…、でもできればああいうのは酔ってないときがいいかな。…なんて。」
「…!!」
私は真っ赤になって、その言葉が本気なのか私の罪悪感を薄めるための冗談なのかをぐるぐると考えたのだった。