第14話 個人レッスン
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「おっ、久しぶりだな土井先生。」
「お久しぶりです。」
土井先生はぐいっと私を引っ張って自分の背に隠した。
「たまみさんは一年は組の補佐をしてくれてるんです。勝手に変なこと言わないでください。」
大木先生は目を瞬いて私と土井先生を交互に見た。
「なんだ、まさか恋仲なのか?」
「なっ!何を急に…!」
「違うならわしが声をかけても別に問題ないだろう。」
「…っ、いや、だからですね…!」
「くノ一を目指している感じでもないし、それなら別にここにいる必要もあるまい。訳ありのようだが、今どきそんなこと気にすることもない。…農家も悪くないぞ?」
大木先生が「な?」とこちらに笑いかけてきた。
悪意はないのだと思う。
でも、ここにいる必要もないという言葉に、私は確かにそれはそうかもしれないと…ご迷惑をかけているのかもしれないと思い、なんと返事をしてよいのか迷った。
すると大木先生は私がついていこうか迷っていると解釈したようでニヤリと笑った。
「よく見ると可愛いし、素直で色々と教えがいがありそうだ。人当たりも良いからラッキョウ協同組合の…」
その言葉に、土井先生が私を庇うように強い口調で言った。
「彼女は一年は組の大切な補佐です。生徒達も懐いていて…必要な存在です。」
…!!
土井先生、そんな風に思っていてくれていたなんて…!
「大木先生といえど、渡しません。」
土井先生が真正面から啖呵を切ると、大木先生は珍しいものを見たように腕を組んで笑った。
「そうか、そんなにムキにならなくていい。選択肢の1つとしてもし杭瀬村に来たらの話だ。」
と、次の瞬間。
カカカッ
手裏剣が飛んで壁に刺さった。
「大木雅之助~っ!!!また性懲りもなく現れたかっ!」
大木先生は壁の手裏剣を抜き取り、調理場の外に出た。
「野村雄三っ!!今日こそケリをつけてやるっ!!!」
大声とともに先程の手裏剣を出口の方へ投げる。
すると大木先生はくるりとこちらを振り返り
「おい、たまみ!」
急に大きな声で名前を呼ばれてびっくりした。
「もしここを出たくなったら、雇うなり娶るなり好きなようにしてやろう。いつでも来るといい!」
大木先生はそれだけ言うと、野村先生を追いかけて走っていってしまった。
なんと豪快でマイペースな人…!
呆然としていると、土井先生が静かにこちらを見ていた。
「…大木先生と何をしていたんですか?」
あれ、何だか口調が冷たい。
「えっと、野菜の切り方を教わったりしていました。」
土井先生は「ふーん」といった顔で調理台を見た。
何だろう、怒ってる…?
土井先生が調理台の横に置いてある魚に手を伸ばす。
「…この魚は?」
「あ、今晩は魚の煮付けにするそうです。」
「たまみさん、魚のさばき方は知ってますか?」
「いいえ…」
すると土井先生はまな板に魚を置いて私の背後に回り、私に包丁を握らせた。
そして後ろから、包丁を握る私の右手の上に自分の手を重ねる。
「魚をさばくときは、」
「!!??」
土井先生の声が頭の上から聞こえる。
左手が土井先生の手に掴まれて動かされる。
「まずこう持って…」
「!?…っは、はい、」
えっ、ちょ、これは…何事!?
背中が土井先生に密着し、後ろから抱きしめられるような体勢で魚の切り方を教わる。
「…わかった?」
1匹の魚を綺麗にさばき終わって、土井先生が顔を覗きこんできた。
…正直、緊張しすぎて、全く頭に入ってこなかった。
「……もう一回お願いします。」
土井先生はクスッと笑って、また一から教えてくれた。
「お久しぶりです。」
土井先生はぐいっと私を引っ張って自分の背に隠した。
「たまみさんは一年は組の補佐をしてくれてるんです。勝手に変なこと言わないでください。」
大木先生は目を瞬いて私と土井先生を交互に見た。
「なんだ、まさか恋仲なのか?」
「なっ!何を急に…!」
「違うならわしが声をかけても別に問題ないだろう。」
「…っ、いや、だからですね…!」
「くノ一を目指している感じでもないし、それなら別にここにいる必要もあるまい。訳ありのようだが、今どきそんなこと気にすることもない。…農家も悪くないぞ?」
大木先生が「な?」とこちらに笑いかけてきた。
悪意はないのだと思う。
でも、ここにいる必要もないという言葉に、私は確かにそれはそうかもしれないと…ご迷惑をかけているのかもしれないと思い、なんと返事をしてよいのか迷った。
すると大木先生は私がついていこうか迷っていると解釈したようでニヤリと笑った。
「よく見ると可愛いし、素直で色々と教えがいがありそうだ。人当たりも良いからラッキョウ協同組合の…」
その言葉に、土井先生が私を庇うように強い口調で言った。
「彼女は一年は組の大切な補佐です。生徒達も懐いていて…必要な存在です。」
…!!
土井先生、そんな風に思っていてくれていたなんて…!
「大木先生といえど、渡しません。」
土井先生が真正面から啖呵を切ると、大木先生は珍しいものを見たように腕を組んで笑った。
「そうか、そんなにムキにならなくていい。選択肢の1つとしてもし杭瀬村に来たらの話だ。」
と、次の瞬間。
カカカッ
手裏剣が飛んで壁に刺さった。
「大木雅之助~っ!!!また性懲りもなく現れたかっ!」
大木先生は壁の手裏剣を抜き取り、調理場の外に出た。
「野村雄三っ!!今日こそケリをつけてやるっ!!!」
大声とともに先程の手裏剣を出口の方へ投げる。
すると大木先生はくるりとこちらを振り返り
「おい、たまみ!」
急に大きな声で名前を呼ばれてびっくりした。
「もしここを出たくなったら、雇うなり娶るなり好きなようにしてやろう。いつでも来るといい!」
大木先生はそれだけ言うと、野村先生を追いかけて走っていってしまった。
なんと豪快でマイペースな人…!
呆然としていると、土井先生が静かにこちらを見ていた。
「…大木先生と何をしていたんですか?」
あれ、何だか口調が冷たい。
「えっと、野菜の切り方を教わったりしていました。」
土井先生は「ふーん」といった顔で調理台を見た。
何だろう、怒ってる…?
土井先生が調理台の横に置いてある魚に手を伸ばす。
「…この魚は?」
「あ、今晩は魚の煮付けにするそうです。」
「たまみさん、魚のさばき方は知ってますか?」
「いいえ…」
すると土井先生はまな板に魚を置いて私の背後に回り、私に包丁を握らせた。
そして後ろから、包丁を握る私の右手の上に自分の手を重ねる。
「魚をさばくときは、」
「!!??」
土井先生の声が頭の上から聞こえる。
左手が土井先生の手に掴まれて動かされる。
「まずこう持って…」
「!?…っは、はい、」
えっ、ちょ、これは…何事!?
背中が土井先生に密着し、後ろから抱きしめられるような体勢で魚の切り方を教わる。
「…わかった?」
1匹の魚を綺麗にさばき終わって、土井先生が顔を覗きこんできた。
…正直、緊張しすぎて、全く頭に入ってこなかった。
「……もう一回お願いします。」
土井先生はクスッと笑って、また一から教えてくれた。