第13話 独り占め
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一体なぜこうなった。
急に激しく雨が降り出し、裏山で遊ぶと言っていた一年は組の生徒が心配になり様子を見に行った。
ぬかるみで転ぶしんべヱを背負ったり、喜三太のナメクジの壺が転がっていって慌てて追いかけたり、色々あったが全員を忍術学園に連れ戻した。
濡れたついでなので、大雨で学園内に問題はないかぐるりと見廻りしてから風呂場に着くと。
『一年は組の貸切り』と書いてある。
なんだこれは?
また何か悪戯でもして遊んでいるのか?
私は濡れた忍装束を絞ってかごに入れ、勢いよく戸をあけた。
「こらお前達!いつまで入って…」
!?
そこには、生徒に囲まれたたまみさんがいた。
白い肌、柔らかそうな滑らかな曲線…。
見てはいけないと思いつつ目が離れなくて、しかし生徒の視線に気づいて慌てて背を向けた。
当然その場を出ようとすると、彼女の声が響いた。
「そんなびしょ濡れだと風邪ひきます。私、もう出るので入ってください!」
「ええ~、たまみさんも背中冷たくなってるし風邪ひいちゃいますよぉ!」
「…じゃあ、私はお湯に入って背中向けとくので、土井先生も早く洗っちゃってください。」
へ?
なんだって?
「えっ、いや、それは…」
いやいやいや。
それはいかんだろ。
「「「土井先生、早く戸を閉めてくれないと寒いです!」」」
「おいっ、ちょっと待てお前達…!!」
生徒達が私を座らせ洗おうとしてくる。
「よーし、僕達が土井先生も洗ってあげますよ!」
皆が一斉に群がってくる。
なんだ!?
一体なぜこうなった。
仕方なく、はしゃぐ子ども達の手を払いながらひとしきり洗い終わると、
「これで土井先生もスッキリですね~」
「僕、そろそろ出ようかなー。誰か来ないよう一応見張りもしておきます。」
庄左ヱ門が冷静にそう言うと、他の子達も「そうだねー。あ~楽しかった!」などと口々に言いながらぞろぞろと続いて出ていった。
「おい、ちょっと…」
…あとには、私とたまみさんが残された。
………まてまてまて。
一体なぜこうなった!?
「えー、あの…すみません、私ももう出るのでたまみさんはゆっくり入っていてください。」
彼女の方は見ないように背を向けてゆっくり立ち上がった。
「…せんせ、」
「はい?」
背後から返ってきた声が妙に弱々しく感じた。
どうかしたのかと耳を澄ますと…
「ちょっと、目眩が…」
なんだって!?
まさか、のぼせたのか!?
私は慌てて湯舟に向かった。
「だ、大丈夫ですか?」
たまみさんはこちらに背を向け壁にもたれかかっていた。
首筋に張りつく濡れた髪。
華奢な肩と綺麗な背中。
目のやり場に困ったが、非常事態だと言い訳をして湯舟に入る。
ザバザバとお湯をかきわけ、壁にしなだれかかっているたまみさんの顔色を見た。
上気した頬に、潤んで少しうつろな目。
目線が下がりそうになるのをぐっと堪えて声をかけようとしたとき、たまみさんの唇が動いた。
「何だか、久しぶりですね。」
「え?」
「土井先生が、目を見てちゃんと話してくれるのが。」
「…!」
「一年は組の子達が…とても寂しそうな顔で、一緒にお風呂入ろうって…。私、最近、構ってあげられてなかったなって気づいて…。」
「………」
「…私にとっての特別は、一年は組なのに。」
ぱしゃり、と音がして、たまみさんの手が私の頬に触れた。
「…でも、私にとっての一番は……土井先生…。」
「!」
思わずたまみさんの肩を抱き寄せ抱きしめた。
ばしゃっと音がして、水面が揺れる。
「…すまない、…たまみさんを独り占めしたくて、…やきもちをやいていたんだ…。君は何も悪くないのに…。」
「土井せんせ…」
彼女の腕が私の背に回された。
ぴたりと触れる素肌はとても柔らかく心地好くて。
身を任せてくる白い肌と滑らかな感触がたまらなく扇情的で。
鼓動が、急激に早くなっていく。
「たまみさん…ッ!」
「どい、せんせ…」
吐息まじりの声にぞくりとした。
…が、様子がおかしい。
「…たまみさん?」
「目が…まわる…」
「!!」
私は慌てて彼女を抱えて風呂を出た。
脱衣所には誰もいなかった。
あんなに激しかった雨はやんでいて、生徒達は外で遊んでいる。
私はなるべく見ないように彼女を支えながら、なんとか服を着せて医務室まで抱えて走った。
急に激しく雨が降り出し、裏山で遊ぶと言っていた一年は組の生徒が心配になり様子を見に行った。
ぬかるみで転ぶしんべヱを背負ったり、喜三太のナメクジの壺が転がっていって慌てて追いかけたり、色々あったが全員を忍術学園に連れ戻した。
濡れたついでなので、大雨で学園内に問題はないかぐるりと見廻りしてから風呂場に着くと。
『一年は組の貸切り』と書いてある。
なんだこれは?
また何か悪戯でもして遊んでいるのか?
私は濡れた忍装束を絞ってかごに入れ、勢いよく戸をあけた。
「こらお前達!いつまで入って…」
!?
そこには、生徒に囲まれたたまみさんがいた。
白い肌、柔らかそうな滑らかな曲線…。
見てはいけないと思いつつ目が離れなくて、しかし生徒の視線に気づいて慌てて背を向けた。
当然その場を出ようとすると、彼女の声が響いた。
「そんなびしょ濡れだと風邪ひきます。私、もう出るので入ってください!」
「ええ~、たまみさんも背中冷たくなってるし風邪ひいちゃいますよぉ!」
「…じゃあ、私はお湯に入って背中向けとくので、土井先生も早く洗っちゃってください。」
へ?
なんだって?
「えっ、いや、それは…」
いやいやいや。
それはいかんだろ。
「「「土井先生、早く戸を閉めてくれないと寒いです!」」」
「おいっ、ちょっと待てお前達…!!」
生徒達が私を座らせ洗おうとしてくる。
「よーし、僕達が土井先生も洗ってあげますよ!」
皆が一斉に群がってくる。
なんだ!?
一体なぜこうなった。
仕方なく、はしゃぐ子ども達の手を払いながらひとしきり洗い終わると、
「これで土井先生もスッキリですね~」
「僕、そろそろ出ようかなー。誰か来ないよう一応見張りもしておきます。」
庄左ヱ門が冷静にそう言うと、他の子達も「そうだねー。あ~楽しかった!」などと口々に言いながらぞろぞろと続いて出ていった。
「おい、ちょっと…」
…あとには、私とたまみさんが残された。
………まてまてまて。
一体なぜこうなった!?
「えー、あの…すみません、私ももう出るのでたまみさんはゆっくり入っていてください。」
彼女の方は見ないように背を向けてゆっくり立ち上がった。
「…せんせ、」
「はい?」
背後から返ってきた声が妙に弱々しく感じた。
どうかしたのかと耳を澄ますと…
「ちょっと、目眩が…」
なんだって!?
まさか、のぼせたのか!?
私は慌てて湯舟に向かった。
「だ、大丈夫ですか?」
たまみさんはこちらに背を向け壁にもたれかかっていた。
首筋に張りつく濡れた髪。
華奢な肩と綺麗な背中。
目のやり場に困ったが、非常事態だと言い訳をして湯舟に入る。
ザバザバとお湯をかきわけ、壁にしなだれかかっているたまみさんの顔色を見た。
上気した頬に、潤んで少しうつろな目。
目線が下がりそうになるのをぐっと堪えて声をかけようとしたとき、たまみさんの唇が動いた。
「何だか、久しぶりですね。」
「え?」
「土井先生が、目を見てちゃんと話してくれるのが。」
「…!」
「一年は組の子達が…とても寂しそうな顔で、一緒にお風呂入ろうって…。私、最近、構ってあげられてなかったなって気づいて…。」
「………」
「…私にとっての特別は、一年は組なのに。」
ぱしゃり、と音がして、たまみさんの手が私の頬に触れた。
「…でも、私にとっての一番は……土井先生…。」
「!」
思わずたまみさんの肩を抱き寄せ抱きしめた。
ばしゃっと音がして、水面が揺れる。
「…すまない、…たまみさんを独り占めしたくて、…やきもちをやいていたんだ…。君は何も悪くないのに…。」
「土井せんせ…」
彼女の腕が私の背に回された。
ぴたりと触れる素肌はとても柔らかく心地好くて。
身を任せてくる白い肌と滑らかな感触がたまらなく扇情的で。
鼓動が、急激に早くなっていく。
「たまみさん…ッ!」
「どい、せんせ…」
吐息まじりの声にぞくりとした。
…が、様子がおかしい。
「…たまみさん?」
「目が…まわる…」
「!!」
私は慌てて彼女を抱えて風呂を出た。
脱衣所には誰もいなかった。
あんなに激しかった雨はやんでいて、生徒達は外で遊んでいる。
私はなるべく見ないように彼女を支えながら、なんとか服を着せて医務室まで抱えて走った。