第13話 独り占め
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私はおもしろくなかった。
たまみさんが食堂のお手伝いをすることになった。
おばちゃんを手伝いながら色々教えて貰えるらしく、最初は、彼女にとって良いことであると私も思っていた。
釜戸や調理機具の扱いなど、この世界での調理方法を知らないのは困るであろう。
しかし。
だが、しかし。
たまみさんは一年は組補佐の仕事の合間に、朝食と夕食の準備、配膳を手伝っていたのだが、あっという間に忍たま達と仲良くなっていった。
特に、六年生。
あいつらは事ある毎に彼女に話しかけ、いつの間にか委員会に勧誘までしていたりする。
気に入らなかった。
彼女はずっと私の後をついてきて、私だけが彼女をよく知っていると思っていたのに。
見ていたくなかった。
彼女の笑顔が他の誰かに向けられるところを。
自分はこんなにも独占欲が強かったのか。
彼女の世界が広がっていくことを、手放しで喜べない自分に呆れた。
一年は組の子ども達も、たまみさんが自分達だけのものでなくなったことを寂しく思っているようだった。
今までであればたまに一緒に遊んでいた夕食までの時間、彼女は食堂で忙しく仕事をしていた。
私も、一年は組の子達も、寂しいと直接彼女に言えるほど子どもでも大人でもなかった。
「…それで、食満くんと潮江くんがまた喧嘩を始めてしまって、」
「そうですか。」
彼女が楽しそうに笑って昨日の出来事を話すのに、つい素っ気ない返事をしてしまった。
「…土井先生?」
「あ…いえ、すみません。」
たまみさんは不思議そうにしていたが、突然眉をひそめた。
「また、胃が痛むんですか?」
「え?」
「胃の辺りを押さえてるから…」
無意識だった。言われてみれば、痛む気がしてきた。
「あの、私、役に立たないかもしれませんが、お話聞くくらいならできますから…。」
「………。」
「…それとも、もしかして、私が食堂のお手伝いに行くようになってから、土井先生の負担が増えましたか?」
「…いや…そうじゃなくて」
「私は、一年は組の補佐が最優先だと思っています。もし他にもできる仕事があるなら仰ってください。食堂は調整してもらえると思うので…!」
彼女は真っ直ぐにこちらを見ていた。
その素直で純粋な瞳に、思わず目をそらす。
「…最近、土井先生が元気なくて…心配です。」
「…たまみさん。」
その優しい声に、胸が痛くなった。
私は笑顔を作って、彼女の頭を撫でた。
「…大丈夫です。食堂のお手伝い、頑張って。きっと役に立つときがくるから。」
彼女は頬を染めて「はい」と小さく答えた。
これでいい。
彼女には、彼女のなすべきことがある。
私の気持ちは、私が何とかするべきだ。
たまみさんが食堂のお手伝いをすることになった。
おばちゃんを手伝いながら色々教えて貰えるらしく、最初は、彼女にとって良いことであると私も思っていた。
釜戸や調理機具の扱いなど、この世界での調理方法を知らないのは困るであろう。
しかし。
だが、しかし。
たまみさんは一年は組補佐の仕事の合間に、朝食と夕食の準備、配膳を手伝っていたのだが、あっという間に忍たま達と仲良くなっていった。
特に、六年生。
あいつらは事ある毎に彼女に話しかけ、いつの間にか委員会に勧誘までしていたりする。
気に入らなかった。
彼女はずっと私の後をついてきて、私だけが彼女をよく知っていると思っていたのに。
見ていたくなかった。
彼女の笑顔が他の誰かに向けられるところを。
自分はこんなにも独占欲が強かったのか。
彼女の世界が広がっていくことを、手放しで喜べない自分に呆れた。
一年は組の子ども達も、たまみさんが自分達だけのものでなくなったことを寂しく思っているようだった。
今までであればたまに一緒に遊んでいた夕食までの時間、彼女は食堂で忙しく仕事をしていた。
私も、一年は組の子達も、寂しいと直接彼女に言えるほど子どもでも大人でもなかった。
「…それで、食満くんと潮江くんがまた喧嘩を始めてしまって、」
「そうですか。」
彼女が楽しそうに笑って昨日の出来事を話すのに、つい素っ気ない返事をしてしまった。
「…土井先生?」
「あ…いえ、すみません。」
たまみさんは不思議そうにしていたが、突然眉をひそめた。
「また、胃が痛むんですか?」
「え?」
「胃の辺りを押さえてるから…」
無意識だった。言われてみれば、痛む気がしてきた。
「あの、私、役に立たないかもしれませんが、お話聞くくらいならできますから…。」
「………。」
「…それとも、もしかして、私が食堂のお手伝いに行くようになってから、土井先生の負担が増えましたか?」
「…いや…そうじゃなくて」
「私は、一年は組の補佐が最優先だと思っています。もし他にもできる仕事があるなら仰ってください。食堂は調整してもらえると思うので…!」
彼女は真っ直ぐにこちらを見ていた。
その素直で純粋な瞳に、思わず目をそらす。
「…最近、土井先生が元気なくて…心配です。」
「…たまみさん。」
その優しい声に、胸が痛くなった。
私は笑顔を作って、彼女の頭を撫でた。
「…大丈夫です。食堂のお手伝い、頑張って。きっと役に立つときがくるから。」
彼女は頬を染めて「はい」と小さく答えた。
これでいい。
彼女には、彼女のなすべきことがある。
私の気持ちは、私が何とかするべきだ。