第12話 山の幸
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
朝、いつものように山田先生と土井先生の職員室に行く。
「失礼します」と障子をあけると、土井先生が「あっ」という顔でこちらを見た。
「すみません、言い忘れてました。今日は授業で裏裏山に行くので、たまみさんはここに残って宿題の丸付けをお願いします。」
「わかりました。今日は何の訓練ですか?」
「訓練というか、山菜採りですね。山で食べられるものとそうでないものを見分ける練習です。」
「山菜採り?」
面白そう!
…と思ったのが、顔に出ていたのだろうか。
土井先生と山田先生が苦笑して目を見合わせた。
「まぁ、たまみくんも知っておいた方が後々役に立つときがあるかもしれんな。一緒に来るかね?」
「いいんですか!?すぐ用意しますっ!」
私は急いで用意をするべく自室へ戻った。
「…目が輝いてましたねぇ。」
「たまみくんは分かりやすいな。まぁ生徒が一人増えたと思えばいいだろう。」
「あれ、今日はたまみさんも来るんですか?」
「一緒に美味しい山菜いっぱい採りましょうねぇ~!」
一年は組の子達も歓迎してくれて、私はワクワクしながら遠足気分で一緒に歩いて行った。
途中、山道がきつかったり、足場が悪かったりしたけれど、皆が助けてくれてなんとか乗り切った。
暫くすると、段々緑が深くなってきた。
山田先生は、足を止めてかごを地面に置くと、皆に説明を始めた。
「よし、この辺りにしよう。今から食べられる山菜を教えるから、ちゃんと覚えて同じものを採ってくるように。毒草もあるから、間違っても適当な草をとるんじゃないぞ。」
山田先生は少しずつ移動しながら、ワラビやふきのとう、タラノメやコゴミ、アケビや土筆、キノコなどを色々採って皆に手に取らせ、注意点や生で食べてはいけないものの毒性等を教えた。
種類が多くて1度には覚えきれないなぁ…などと思いながらも、メモをとって皆と一緒に観察する。
「よし、じゃあ今から実際に自分達でとってきなさい。収穫した分は今日の晩ごはんになるから、みんな気合いを入れるように。迷ったら私か土井先生に聞きなさい。」
その言葉を待ってましたと言わんばかりに、一年は組のよい子達はわーっと勢いよく散らばって山菜を探し始めた。
私も近くの木のそばにしゃがんで、さっき説明されたものと同じ草がないか探し始める。
…どれも同じような草に見える!
メモを見返しながら、うーんと唸っていると、頭上からクスクスと笑い声が聞こえた。
「これはただの雑草ですよ。…最初は見分けが難しいですよね。」
「土井先生…!これは、食べられますか?」
「これも食べられない雑草です。あっちの方が多く生えてるんじゃないかな?」
土井先生にも教えてもらったりしながら、徐々に増えていくかごの中身に楽しくなってきた。
ふと周りを見ると、結構みんなあちらこちら遠くまで散らばっている。
近くできり丸くんがしゃがんでいたが、なんだかテンションが低い。
「あれ、きり丸くん、いつもの勢いがないね。どうしたの?」
「だって、これ頑張っても小銭にならないでしょ…。これを全部町で売ったら一体いくらに…!」
「あぁ、なるほど…。でもほら、みんなで今晩食べれるからいいじゃない!今日はちゃんと覚えて帰って、また今度一緒に採って売ろうよ。」
「一緒に…じゃあ、タケノコ堀りに行きますか?」
「えっ、それ楽しそう…!」
「こら、お前はまた人様の土地でタケノコをとってくるんじゃないだろうな。この前だって…!」
「今度は大丈夫ですって!」
そんなやりとりをしていると、しんべヱくんが「こっちにわらびがいっぱいありますよ」と教えてくれた。
ついていくと小さな川があって、その側にわらびが沢山生えていた。
「すごいねぇ!よく見つけたねぇ。」
「えへへー、乱太郎達も呼んできますね。」
そう言って戻るしんべヱくんを見送って、私はその場にしゃがんでかごにどんどん入れていった。
「失礼します」と障子をあけると、土井先生が「あっ」という顔でこちらを見た。
「すみません、言い忘れてました。今日は授業で裏裏山に行くので、たまみさんはここに残って宿題の丸付けをお願いします。」
「わかりました。今日は何の訓練ですか?」
「訓練というか、山菜採りですね。山で食べられるものとそうでないものを見分ける練習です。」
「山菜採り?」
面白そう!
…と思ったのが、顔に出ていたのだろうか。
土井先生と山田先生が苦笑して目を見合わせた。
「まぁ、たまみくんも知っておいた方が後々役に立つときがあるかもしれんな。一緒に来るかね?」
「いいんですか!?すぐ用意しますっ!」
私は急いで用意をするべく自室へ戻った。
「…目が輝いてましたねぇ。」
「たまみくんは分かりやすいな。まぁ生徒が一人増えたと思えばいいだろう。」
「あれ、今日はたまみさんも来るんですか?」
「一緒に美味しい山菜いっぱい採りましょうねぇ~!」
一年は組の子達も歓迎してくれて、私はワクワクしながら遠足気分で一緒に歩いて行った。
途中、山道がきつかったり、足場が悪かったりしたけれど、皆が助けてくれてなんとか乗り切った。
暫くすると、段々緑が深くなってきた。
山田先生は、足を止めてかごを地面に置くと、皆に説明を始めた。
「よし、この辺りにしよう。今から食べられる山菜を教えるから、ちゃんと覚えて同じものを採ってくるように。毒草もあるから、間違っても適当な草をとるんじゃないぞ。」
山田先生は少しずつ移動しながら、ワラビやふきのとう、タラノメやコゴミ、アケビや土筆、キノコなどを色々採って皆に手に取らせ、注意点や生で食べてはいけないものの毒性等を教えた。
種類が多くて1度には覚えきれないなぁ…などと思いながらも、メモをとって皆と一緒に観察する。
「よし、じゃあ今から実際に自分達でとってきなさい。収穫した分は今日の晩ごはんになるから、みんな気合いを入れるように。迷ったら私か土井先生に聞きなさい。」
その言葉を待ってましたと言わんばかりに、一年は組のよい子達はわーっと勢いよく散らばって山菜を探し始めた。
私も近くの木のそばにしゃがんで、さっき説明されたものと同じ草がないか探し始める。
…どれも同じような草に見える!
メモを見返しながら、うーんと唸っていると、頭上からクスクスと笑い声が聞こえた。
「これはただの雑草ですよ。…最初は見分けが難しいですよね。」
「土井先生…!これは、食べられますか?」
「これも食べられない雑草です。あっちの方が多く生えてるんじゃないかな?」
土井先生にも教えてもらったりしながら、徐々に増えていくかごの中身に楽しくなってきた。
ふと周りを見ると、結構みんなあちらこちら遠くまで散らばっている。
近くできり丸くんがしゃがんでいたが、なんだかテンションが低い。
「あれ、きり丸くん、いつもの勢いがないね。どうしたの?」
「だって、これ頑張っても小銭にならないでしょ…。これを全部町で売ったら一体いくらに…!」
「あぁ、なるほど…。でもほら、みんなで今晩食べれるからいいじゃない!今日はちゃんと覚えて帰って、また今度一緒に採って売ろうよ。」
「一緒に…じゃあ、タケノコ堀りに行きますか?」
「えっ、それ楽しそう…!」
「こら、お前はまた人様の土地でタケノコをとってくるんじゃないだろうな。この前だって…!」
「今度は大丈夫ですって!」
そんなやりとりをしていると、しんべヱくんが「こっちにわらびがいっぱいありますよ」と教えてくれた。
ついていくと小さな川があって、その側にわらびが沢山生えていた。
「すごいねぇ!よく見つけたねぇ。」
「えへへー、乱太郎達も呼んできますね。」
そう言って戻るしんべヱくんを見送って、私はその場にしゃがんでかごにどんどん入れていった。