第9話 潮干狩り
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「わぁ、海だ…!」
寄せては返す波に、広がる砂浜。
ザザー…と繰り返される波の音。
砂に足元をとられ歩きにくいけれど、私は足早に波打ち際まで近づいた。
海のなかに魚は見えない。
でも砂浜の砂には小さな貝や貝のかけらがたくさん埋まっていた。
「さぁとるぞー!」
後ろできり丸くんが勢いよく掘り出した。
土井先生が隣に来てしゃがむ。
「適当に掘ってもいいし、砂に小さな穴のあいてるところにもよく貝がありますよ。」
土井先生がざくりと砂を掘ってザルに乗せる。
ふるって砂を落とすと、そこにはアサリがあった。
「すごい!私もやってみます!」
同じように砂をすくってザルをふってみる。
あれ、貝のかけらしかない…
「ほら、こことかどうですか?」
「はい……あ、ほんとだとれた!」
私は嬉しくなって、あちこち掘ってみてはとれた貝をかごに入れていった。
「あ、ウニだ~」
向こうの岩場でしんべヱくんの声がする。
岩場にはどんな生き物がいるんだろう…!
私は目を輝かせながら岩場に向かった。
足場が悪いなかヨタヨタと歩いていると後ろから腕を支えられた。
「危なっかしくて見てられません。」
「土井先生!あはは、すみません…。」
そう言いながら歩みは止めず、土井先生の腕を掴みながら進んだ。
がっしりした腕に逞しいなとドキドキしてしまったけれど、そこは声に出さず…でもちらちらと
「あ、ナマコもいるよ~」
「え、どこどこ?」
しんべえくんの指差す方を見ると、黒く細長い物体がデーンと転がっていた。
「この黒いやつ?」
「ナマコも食べられる食材なんすよー!」
きり丸くんがひょいっと掴んで海水を入れた桶にナマコを入れた。
「そ、そうなんだ…」
その姿に食べたくはないなと思ったが、虫を食べるよりはマシだろうかなどと心のなかで考えた。
「あれっ、あそこ、何か動いたよ?」
乱太郎くんが指をさすと、土井先生が身軽に跳んでいった。
「カニだな。こいつは素早いからなぁ、とれるかな?」
岩場に手をつき、よっ!と手を伸ばすと、その手には赤黒いカニが捕まえられていた。
「思ったより大きいな。」
「さっすが土井先生!今日はなかなか沢山とれていい感じっすね!」
土井先生がカニを桶に入れると、きり丸くんの目がふと遠くに止まった。
目線を追うと、一隻の小舟が岸に置いてあった。
「今日はツイてるから、この勢いで魚も沢山釣れるんじゃないかな。」
「きりちゃん釣竿がないよ?」
「へへ、こんなこともあろうかと、糸と針とエサは持ってきてあるんだ!その辺の木の枝に結んだら釣れるだろ?」
「こらこら、勝手に人様の舟を借りちゃいかんだろ。」
「ちょっとだけ!すぐ戻るから、ちょっとだけダメですか!?」
きり丸くんはウルウルした目で土井先生にお願いした。
「…はぁ。じゃああの岩のところまでで、すぐに戻ってくるんだぞ。」
「はい!!じゃあ俺達いってくるんで、土井先生とたまみさんは浜で待っててください!」
きり丸くん、乱太郎くん、しんべヱくんの三人は小舟に向かって走っていった。
元気だなぁ。
私も釣りをしてみたかったが、さっききり丸くんがちらっと見せたエサ…ミミズを触るのはちょっと嫌だった。
小舟も小さいし、また今度にしようと三人の背中を名残惜しく見つめた。
「…たまみさんも釣りがしたかったですか?」
土井先生が横でクスクス笑っていた。
「はい、でもあのミミズは触りたくないかなって…」
苦笑しながら答えると、土井先生が
「海釣りはちょっと危ないから、また今度川で魚釣りしましょう。エサは私がつけますよ。」
爽やかな笑顔でそんなことを言ってくれるので、私は嬉しくなって笑顔で頷いた。
寄せては返す波に、広がる砂浜。
ザザー…と繰り返される波の音。
砂に足元をとられ歩きにくいけれど、私は足早に波打ち際まで近づいた。
海のなかに魚は見えない。
でも砂浜の砂には小さな貝や貝のかけらがたくさん埋まっていた。
「さぁとるぞー!」
後ろできり丸くんが勢いよく掘り出した。
土井先生が隣に来てしゃがむ。
「適当に掘ってもいいし、砂に小さな穴のあいてるところにもよく貝がありますよ。」
土井先生がざくりと砂を掘ってザルに乗せる。
ふるって砂を落とすと、そこにはアサリがあった。
「すごい!私もやってみます!」
同じように砂をすくってザルをふってみる。
あれ、貝のかけらしかない…
「ほら、こことかどうですか?」
「はい……あ、ほんとだとれた!」
私は嬉しくなって、あちこち掘ってみてはとれた貝をかごに入れていった。
「あ、ウニだ~」
向こうの岩場でしんべヱくんの声がする。
岩場にはどんな生き物がいるんだろう…!
私は目を輝かせながら岩場に向かった。
足場が悪いなかヨタヨタと歩いていると後ろから腕を支えられた。
「危なっかしくて見てられません。」
「土井先生!あはは、すみません…。」
そう言いながら歩みは止めず、土井先生の腕を掴みながら進んだ。
がっしりした腕に逞しいなとドキドキしてしまったけれど、そこは声に出さず…でもちらちらと
「あ、ナマコもいるよ~」
「え、どこどこ?」
しんべえくんの指差す方を見ると、黒く細長い物体がデーンと転がっていた。
「この黒いやつ?」
「ナマコも食べられる食材なんすよー!」
きり丸くんがひょいっと掴んで海水を入れた桶にナマコを入れた。
「そ、そうなんだ…」
その姿に食べたくはないなと思ったが、虫を食べるよりはマシだろうかなどと心のなかで考えた。
「あれっ、あそこ、何か動いたよ?」
乱太郎くんが指をさすと、土井先生が身軽に跳んでいった。
「カニだな。こいつは素早いからなぁ、とれるかな?」
岩場に手をつき、よっ!と手を伸ばすと、その手には赤黒いカニが捕まえられていた。
「思ったより大きいな。」
「さっすが土井先生!今日はなかなか沢山とれていい感じっすね!」
土井先生がカニを桶に入れると、きり丸くんの目がふと遠くに止まった。
目線を追うと、一隻の小舟が岸に置いてあった。
「今日はツイてるから、この勢いで魚も沢山釣れるんじゃないかな。」
「きりちゃん釣竿がないよ?」
「へへ、こんなこともあろうかと、糸と針とエサは持ってきてあるんだ!その辺の木の枝に結んだら釣れるだろ?」
「こらこら、勝手に人様の舟を借りちゃいかんだろ。」
「ちょっとだけ!すぐ戻るから、ちょっとだけダメですか!?」
きり丸くんはウルウルした目で土井先生にお願いした。
「…はぁ。じゃああの岩のところまでで、すぐに戻ってくるんだぞ。」
「はい!!じゃあ俺達いってくるんで、土井先生とたまみさんは浜で待っててください!」
きり丸くん、乱太郎くん、しんべヱくんの三人は小舟に向かって走っていった。
元気だなぁ。
私も釣りをしてみたかったが、さっききり丸くんがちらっと見せたエサ…ミミズを触るのはちょっと嫌だった。
小舟も小さいし、また今度にしようと三人の背中を名残惜しく見つめた。
「…たまみさんも釣りがしたかったですか?」
土井先生が横でクスクス笑っていた。
「はい、でもあのミミズは触りたくないかなって…」
苦笑しながら答えると、土井先生が
「海釣りはちょっと危ないから、また今度川で魚釣りしましょう。エサは私がつけますよ。」
爽やかな笑顔でそんなことを言ってくれるので、私は嬉しくなって笑顔で頷いた。