第8話 和気あいあい
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いつもたまみさんと同じ部屋で仕事をしているのに、忍装束ではなく普通の小袖で2人町へ歩くのが妙に気恥ずかしかった。
たまみさんは買い物に行けるのが嬉しいのか、いつもより楽しそうに笑っている。
そんな彼女を見て、私も心が弾んだ。
あっという間に目的の町に着いて、色々と説明しながらまずは学園長先生の依頼のお饅頭を買った。
「あ、おつりはお駄賃にしていいって仰ってました。」
「はい、紙にもそう書いてあります。あと…」
懐から紙を出す。
「たまみさんに自分の小袖を用意してやるようにと。」
「えっ!?」
「ずっと借り物だと大きさもあっていないし不便でしょう。学園長先生が多く渡してくれているので、これで布を買いましょう。」
「学園長先生…!!」
たまみさんは驚いて涙目になっていた。
思ってもみなかったのだろう。
そこから2人で染物屋に行って手頃な布を探した。
「どれがいいですか?」
「えっと…土井先生はどれがいいと思いますか?」
「え?うーん、そうですねぇ…」
女性の着物は詳しくないので暫く悩んだが、いくつか手にとってみる。
薄い藍色の綺麗な花の模様の入った生地に目がとまった。
スッとたまみさんに当ててみると、やはりよく似合う。
「これとか、いいんじゃないかと…」
すると、たまみさんはパァッと嬉しそうに笑って「私もそれがいいと思いました」と言ってくれた。
「この布で、いま着ている小袖を参考にしながら作りましょう。私も手伝いますよ。」
「何から何までお手間をかけてしまって…」
「いえいえ、たまみさんが補佐してくれるようになってから私も楽になったので。」
すると、奥から店員が出てきた。
「ご主人、奥様への贈り物ですか?」
「「えっ!?」」
「あぁ、いい生地をお選びになりましたね。それは最近人気で新しく追加した分なんですよ。こんなに可愛い奥さんに着て貰えるなら染めたかいもあるってもんです。」
「………」
店員は私達が夫婦だと思ったようだ。
何となく訂正する気にならなくて、そのまま購入することにした。
少し気まずく思いながらたまみさんをちらりと見ると、彼女は頬を染めて俯いている。
可愛いな…もっとそんな顔を見てみたい…。
悪戯心が顔をもたげて、たまみさんの肩にポンと手をおいて言ってみた。
「じゃあ、子どもたちも待ってるし帰ろうか。」
すると彼女はびっくりした顔をしたあと、私にそっと寄り添って微笑んだ。
「…そうですね、半助さん」
なっ!
やられた。
赤面させられたのは私の方だった。
たまみさんの声が初めて私の名を紡いだ。
そのことに自分でも驚くほど胸が跳ねた。
しかもその照れたような可愛い笑顔…!
私は顔を見られないよう手で口元を隠して横を向いた。
そこから、たまみさんの日用品の買い物につきあって、ふと行列の出来ている店を見つけた。
「たまみさん、甘いものは好きですか?」
「好きです!」
思わずドキッとした。
いや、違う。
彼女はそういう意味で言ったんじゃない。
甘いものが好きだと言ったんだと自分に言い聞かせる。
「あそこのお店、しんべヱがおすすめしてたんですけど、寄ってみますか?」
「えっ!嬉しいです!是非!」
たまみさんは子どものように目が輝いていた。
きり丸に小銭、しんべヱに食べ物、たまみさんに甘いもの、だな…。
「んっ!これ、めちゃ美味しいですね!」
「それはよかった。」
「…土井先生、食べないんですか?」
「え、あ、いや…あんまり嬉しそうに食べてるから…」
つい見とれていたは言えず、「これも食べる?」と続けた。
「そこまで食い意地はってないですよぉ。」
たまみさんは照れながらお茶を飲んだ。
「あはは!…そうだ、これ、たまみさんに…」
私は懐からひとつの包みを出した。
不思議そうに眺める彼女。
「いつも助けて貰ってるから、そのお礼です。」
「えっ!助けて貰ってるのは私の方なのに…!」
「いいから開けてみて。」
それは梅染めの手ぬぐいだった。
「綺麗…!」
「何がいいかなって思ったんですけど、まだ色々揃ってないだろうし実用的なものがいいかなと…。さっき店の前でたまみさんを待ってたとき、これがちょうど目にはいって。」
「嬉しい…!ありがとうございます!」
たまみさんは手ぬぐいを大事そうにぎゅっと抱きしめて喜んでくれた。
よかった。
私も嬉しくなって、もぐもぐとお団子を頬張った。
たまみさんは買い物に行けるのが嬉しいのか、いつもより楽しそうに笑っている。
そんな彼女を見て、私も心が弾んだ。
あっという間に目的の町に着いて、色々と説明しながらまずは学園長先生の依頼のお饅頭を買った。
「あ、おつりはお駄賃にしていいって仰ってました。」
「はい、紙にもそう書いてあります。あと…」
懐から紙を出す。
「たまみさんに自分の小袖を用意してやるようにと。」
「えっ!?」
「ずっと借り物だと大きさもあっていないし不便でしょう。学園長先生が多く渡してくれているので、これで布を買いましょう。」
「学園長先生…!!」
たまみさんは驚いて涙目になっていた。
思ってもみなかったのだろう。
そこから2人で染物屋に行って手頃な布を探した。
「どれがいいですか?」
「えっと…土井先生はどれがいいと思いますか?」
「え?うーん、そうですねぇ…」
女性の着物は詳しくないので暫く悩んだが、いくつか手にとってみる。
薄い藍色の綺麗な花の模様の入った生地に目がとまった。
スッとたまみさんに当ててみると、やはりよく似合う。
「これとか、いいんじゃないかと…」
すると、たまみさんはパァッと嬉しそうに笑って「私もそれがいいと思いました」と言ってくれた。
「この布で、いま着ている小袖を参考にしながら作りましょう。私も手伝いますよ。」
「何から何までお手間をかけてしまって…」
「いえいえ、たまみさんが補佐してくれるようになってから私も楽になったので。」
すると、奥から店員が出てきた。
「ご主人、奥様への贈り物ですか?」
「「えっ!?」」
「あぁ、いい生地をお選びになりましたね。それは最近人気で新しく追加した分なんですよ。こんなに可愛い奥さんに着て貰えるなら染めたかいもあるってもんです。」
「………」
店員は私達が夫婦だと思ったようだ。
何となく訂正する気にならなくて、そのまま購入することにした。
少し気まずく思いながらたまみさんをちらりと見ると、彼女は頬を染めて俯いている。
可愛いな…もっとそんな顔を見てみたい…。
悪戯心が顔をもたげて、たまみさんの肩にポンと手をおいて言ってみた。
「じゃあ、子どもたちも待ってるし帰ろうか。」
すると彼女はびっくりした顔をしたあと、私にそっと寄り添って微笑んだ。
「…そうですね、半助さん」
なっ!
やられた。
赤面させられたのは私の方だった。
たまみさんの声が初めて私の名を紡いだ。
そのことに自分でも驚くほど胸が跳ねた。
しかもその照れたような可愛い笑顔…!
私は顔を見られないよう手で口元を隠して横を向いた。
そこから、たまみさんの日用品の買い物につきあって、ふと行列の出来ている店を見つけた。
「たまみさん、甘いものは好きですか?」
「好きです!」
思わずドキッとした。
いや、違う。
彼女はそういう意味で言ったんじゃない。
甘いものが好きだと言ったんだと自分に言い聞かせる。
「あそこのお店、しんべヱがおすすめしてたんですけど、寄ってみますか?」
「えっ!嬉しいです!是非!」
たまみさんは子どものように目が輝いていた。
きり丸に小銭、しんべヱに食べ物、たまみさんに甘いもの、だな…。
「んっ!これ、めちゃ美味しいですね!」
「それはよかった。」
「…土井先生、食べないんですか?」
「え、あ、いや…あんまり嬉しそうに食べてるから…」
つい見とれていたは言えず、「これも食べる?」と続けた。
「そこまで食い意地はってないですよぉ。」
たまみさんは照れながらお茶を飲んだ。
「あはは!…そうだ、これ、たまみさんに…」
私は懐からひとつの包みを出した。
不思議そうに眺める彼女。
「いつも助けて貰ってるから、そのお礼です。」
「えっ!助けて貰ってるのは私の方なのに…!」
「いいから開けてみて。」
それは梅染めの手ぬぐいだった。
「綺麗…!」
「何がいいかなって思ったんですけど、まだ色々揃ってないだろうし実用的なものがいいかなと…。さっき店の前でたまみさんを待ってたとき、これがちょうど目にはいって。」
「嬉しい…!ありがとうございます!」
たまみさんは手ぬぐいを大事そうにぎゅっと抱きしめて喜んでくれた。
よかった。
私も嬉しくなって、もぐもぐとお団子を頬張った。