第33話 深夜の侵入者
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結局、サソリのジュンイチは見つからず、明日また探すことになった。
寝ている間に刺されないように、交替で眠るよう生徒達に指示していく。
「あの…私はどうしたらいいでしょうか。」
たまみさんが怯えた表情で聞いてきた。
「土井先生、わしは一人でも大丈夫だからたまみくんの横で見張りしといてやったらどうだね。」
「へっ!?」
おかしな声がでた。
…一晩中、彼女の横で?
私は焦ったが、しかし、たまみさんが怯えていることは確かで、また彼女のところにサソリが来ないとも言いきれなかった。
彼女の顔を見てみる。
不安そうに困った表情をしていた。
「…わかりました、見張っておきます。」
「うむ、頑張れよ。」
山田先生はさらりとそう言うと自室に戻った。
…それは徹夜で見張りを頑張れという意味か、それとも己と戦うのを頑張れという意味か…?
とりあえず私が彼女の部屋の安全を確認してから部屋に入ってもらった。
「私はここで座って見張っておくので、たまみさんは気をつかわずに眠ってください。」
「え!私だけなんて…!じゃあ私も起きてます。」
「いやいや、忍者は徹夜も珍しくないし大丈夫ですけど、たまみさんは寝てください。」
「……実は、すっかり目が覚めてしまって。…一緒に起きていてはダメですか?」
少し甘えるように可愛らしく聞いてくる。
…そんな風に言われたら……。
「…わかりました、少しだけですよ。」
そう言うとたまみさんは嬉々として布団の上に座った。
私が遠慮がちに畳に斜め向かいに座ると、彼女は自分の横をぽんぽんと叩いた。
「どうぞ畳じゃなくてこっちに座ってください。夜は冷えます。」
「え…いや……」
彼女は他意のなさそうな顔で布団に座るよう再びぽんぽんと促した。
警戒心がなさすぎるのではないか……。
…それとも、まさか誘われている…?
いや、試されている…?
いやいやまさかそんな…でもしかし……!
瞬時に色々な考えが頭をよぎったが、結局私はためらいながらも彼女の横に座った。
それから私達は他愛ない話をして過ごした。
それは日常の些細な話で大した内容ではなかったのに、彼女と話すとそれすらも楽しく感じられた。
不意にたまみさんが微笑む。
「どうしました?」
「嬉しいなと思いまして…。」
「…何が?」
その答えが、私と同じものだろうかと期待して尋ねた。
彼女は伏し目がちにゆっくりと答えた。
「土井先生とこんなにゆっくりお話できるのが…嬉しいなって。普段は土井先生忙しくてこんな風に独り占めできないから…。」
たまみさんが俯きながら嬉しそうに微笑んだ。
そしてその言葉は、私が期待した以上のもので…思わず抱き締めてしまいたくなる衝動を抑えて静かに返した。
「…それはたまみさんもですよ。一年は組の補佐と食堂のお手伝い、授業以外でも生徒達の勉強をみてくれたり、自分も文字の練習だけでなく色んなことを積極的に学ぼうとして…。頑張りすぎてまた体調壊さないかと心配してるんですよ。」
「あはは、すみません…」
「おまけに利吉くんやら大木先生やら…心配でしょうがありません。」
彼女はキョトンとしたあと、頬を染めて私をじっと見つめた。
「その、それって……」
「……閉じ込めて、私だけのものにしたくなる…。」
我慢できなくて、思わず彼女を抱きしめた。
小さな身体はすっぽりと腕のなかにおさまり、夜着越しに温かい体温が伝わってくる。
…自分の鼓動が、呼吸が速くなっていくのを感じた。
「…土井先生…」
「たまみさん…」
静かな部屋に響く彼女の心地好い声。
差し込む月明かりに照らされた彼女。
こちらを見上げる潤んだ瞳。
いつも彼女が寝ている布団の上で、今は二人きりで…。
私は彼女の頬にそっと手を触れた。
「たまみさん、私は…」
「ジュンイチが見つかりましたあーっ!!」
廊下から虎若の大きな声が響き渡り、私達はハッとそちらを見た。
そして身体を離した瞬間、三治郎が「失礼します!」と勢いよく障子をあけて顔を出した。
「たまみさん、もう大丈夫ですよ!…って、あれ、なんで土井先生がここに?」
「…サソリが来ないか見張ってたんだ。」
途中からちょっと忘れかけて…いや完全に忘れていたが。
私はスッと立ち上がり、笑顔を作ってたまみさんに声をかけた。
「…では、これでもう安心してゆっくり眠れますね。」
「…眠れません。」
「え?」
彼女の声は小さくて聞き取れなかった。
「…いえ。…見つかってよかったね。」
たまみさんは複雑な顔をして、三治郎に笑いかけた。
「はい!」と答える三治郎の横で、私はたまみさんをちらりと見て小さく咳払いした。
「…続きは、また。」
「……!」
「おやすみなさい。」
「…おやすみなさいです…。」
ゆっくり障子を閉めると、三治郎は次の部屋へ連絡しに走った。
私はその背を見送りながら、あのままだと自分が止められなかったかもしれんな…と大きなため息をついた。
寝ている間に刺されないように、交替で眠るよう生徒達に指示していく。
「あの…私はどうしたらいいでしょうか。」
たまみさんが怯えた表情で聞いてきた。
「土井先生、わしは一人でも大丈夫だからたまみくんの横で見張りしといてやったらどうだね。」
「へっ!?」
おかしな声がでた。
…一晩中、彼女の横で?
私は焦ったが、しかし、たまみさんが怯えていることは確かで、また彼女のところにサソリが来ないとも言いきれなかった。
彼女の顔を見てみる。
不安そうに困った表情をしていた。
「…わかりました、見張っておきます。」
「うむ、頑張れよ。」
山田先生はさらりとそう言うと自室に戻った。
…それは徹夜で見張りを頑張れという意味か、それとも己と戦うのを頑張れという意味か…?
とりあえず私が彼女の部屋の安全を確認してから部屋に入ってもらった。
「私はここで座って見張っておくので、たまみさんは気をつかわずに眠ってください。」
「え!私だけなんて…!じゃあ私も起きてます。」
「いやいや、忍者は徹夜も珍しくないし大丈夫ですけど、たまみさんは寝てください。」
「……実は、すっかり目が覚めてしまって。…一緒に起きていてはダメですか?」
少し甘えるように可愛らしく聞いてくる。
…そんな風に言われたら……。
「…わかりました、少しだけですよ。」
そう言うとたまみさんは嬉々として布団の上に座った。
私が遠慮がちに畳に斜め向かいに座ると、彼女は自分の横をぽんぽんと叩いた。
「どうぞ畳じゃなくてこっちに座ってください。夜は冷えます。」
「え…いや……」
彼女は他意のなさそうな顔で布団に座るよう再びぽんぽんと促した。
警戒心がなさすぎるのではないか……。
…それとも、まさか誘われている…?
いや、試されている…?
いやいやまさかそんな…でもしかし……!
瞬時に色々な考えが頭をよぎったが、結局私はためらいながらも彼女の横に座った。
それから私達は他愛ない話をして過ごした。
それは日常の些細な話で大した内容ではなかったのに、彼女と話すとそれすらも楽しく感じられた。
不意にたまみさんが微笑む。
「どうしました?」
「嬉しいなと思いまして…。」
「…何が?」
その答えが、私と同じものだろうかと期待して尋ねた。
彼女は伏し目がちにゆっくりと答えた。
「土井先生とこんなにゆっくりお話できるのが…嬉しいなって。普段は土井先生忙しくてこんな風に独り占めできないから…。」
たまみさんが俯きながら嬉しそうに微笑んだ。
そしてその言葉は、私が期待した以上のもので…思わず抱き締めてしまいたくなる衝動を抑えて静かに返した。
「…それはたまみさんもですよ。一年は組の補佐と食堂のお手伝い、授業以外でも生徒達の勉強をみてくれたり、自分も文字の練習だけでなく色んなことを積極的に学ぼうとして…。頑張りすぎてまた体調壊さないかと心配してるんですよ。」
「あはは、すみません…」
「おまけに利吉くんやら大木先生やら…心配でしょうがありません。」
彼女はキョトンとしたあと、頬を染めて私をじっと見つめた。
「その、それって……」
「……閉じ込めて、私だけのものにしたくなる…。」
我慢できなくて、思わず彼女を抱きしめた。
小さな身体はすっぽりと腕のなかにおさまり、夜着越しに温かい体温が伝わってくる。
…自分の鼓動が、呼吸が速くなっていくのを感じた。
「…土井先生…」
「たまみさん…」
静かな部屋に響く彼女の心地好い声。
差し込む月明かりに照らされた彼女。
こちらを見上げる潤んだ瞳。
いつも彼女が寝ている布団の上で、今は二人きりで…。
私は彼女の頬にそっと手を触れた。
「たまみさん、私は…」
「ジュンイチが見つかりましたあーっ!!」
廊下から虎若の大きな声が響き渡り、私達はハッとそちらを見た。
そして身体を離した瞬間、三治郎が「失礼します!」と勢いよく障子をあけて顔を出した。
「たまみさん、もう大丈夫ですよ!…って、あれ、なんで土井先生がここに?」
「…サソリが来ないか見張ってたんだ。」
途中からちょっと忘れかけて…いや完全に忘れていたが。
私はスッと立ち上がり、笑顔を作ってたまみさんに声をかけた。
「…では、これでもう安心してゆっくり眠れますね。」
「…眠れません。」
「え?」
彼女の声は小さくて聞き取れなかった。
「…いえ。…見つかってよかったね。」
たまみさんは複雑な顔をして、三治郎に笑いかけた。
「はい!」と答える三治郎の横で、私はたまみさんをちらりと見て小さく咳払いした。
「…続きは、また。」
「……!」
「おやすみなさい。」
「…おやすみなさいです…。」
ゆっくり障子を閉めると、三治郎は次の部屋へ連絡しに走った。
私はその背を見送りながら、あのままだと自分が止められなかったかもしれんな…と大きなため息をついた。