第35話 噂の調査
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清々しく晴れた休日の朝。
山田先生は実技の補習授業、土井先生は急な出張で外出中。
その間、私は次の長期休みに備えて宿題を人数分必死に作っていた。
土井先生が書いたお手本を人数分書き写すという複写作業だけれど、これがまた枚数が多く11冊作るのが大変で…!
まだ文字に不慣れな私は調べたりしつつかなり苦戦してしまい、やっと完成したときにはヘトヘトに疲れてしまった。
「あー、疲れた…」
「たまみさん、大丈夫ですか。」
「利吉さん?!」
いつの間にか利吉さんが職員室の障子を開けて立っていた。
私はダラリと伸ばしていた上半身を起こして慌てて正座した。
油断して行儀の悪いところを見られてしまった…!
利吉さんが「お疲れですね」と苦笑いしながら山田先生の机に大きな風呂敷を置いた。
「山田先生の着替えですか?」
「はい。全く手間のかかる父で困ります。」
「今日は夕方まで裏山で補習授業をすると聞いてますよ。」
「そうですか…。」
すると、利吉さんは何かを考えているように私の顔をじっと見た。
「どうしましたか?」
「いえ…先程、学園長先生にちょっと頼まれ事をされたのですが…。」
「頼まれ事?」
「はい、少し厄介な調査といいますか…。」
「厄介な調査…?」
利吉さんは私の机の周辺に大量に散らばっている紙…墨が乾くまで干している…をちらりと見た。
「たまみさん、休日返上で仕事をされているのですか?」
「んー、休日返上で仕事というか…。お洗濯も終わって今日はアルバイトもないので、先のために準備をしておこうかなと。…散らかっていてすみません、丁度いま終わったところで…。」
「なるほど、それでノビていたのですね。」
「それは忘れてください…!」
「ハハッ!…ん?普段は休日にアルバイトもしているのですか?」
「はい、きり丸くんとたまに一緒に。」
「ちょっと働きすぎなのでは…。」
「山田先生とか利吉さんほどではないですよ?」
そう言うと利吉さんは苦笑いながら干している紙を拾って眺めた。
「…では、たまみさんにお願いしようかな。」
「なんですか?」
「学園長先生に、とある噂の調査を頼まれたのです。」
「とある噂?」
「詳細は現地で説明しますが、私一人では潜入調査がしづらくて…一緒に来てもらえませんか?」
利吉さんは少し助けを乞うように私を見つめた。
けれど、私はいつぞやのおつかいの件を思い出し警戒して目をそらした。
「んー…お手伝いはしたいのですが、また無断で外出したら…」
「今回は学園長先生から至急の依頼ですし、危険もないので大丈夫ですよ。それに…」
利吉さんはスッと障子を開けて空を指さした。
「こんなにいい天気なのに部屋にこもっていては勿体ないですよ。たまには外の空気も吸って気分転換したほうが疲れもとれます。」
とびきりの爽やかな笑顔で利吉さんは「ね?」と手を差し出した。
連日の複写作業で確かに疲れていた私は、その魅力的な言葉につい…外の景色を見たいと思ってしまった。
調査したい噂とは何だろう。
利吉さんは気分転換と言っていたけれど大丈夫かな。
2回目の忍務…しかも依頼主は学園長先生…いつもお世話になっているしお役にたてるのなら力になりたい。
「…わかりました、よろしくお願いします。」
私は気を引きしめて協力することを決めた。
山田先生は実技の補習授業、土井先生は急な出張で外出中。
その間、私は次の長期休みに備えて宿題を人数分必死に作っていた。
土井先生が書いたお手本を人数分書き写すという複写作業だけれど、これがまた枚数が多く11冊作るのが大変で…!
まだ文字に不慣れな私は調べたりしつつかなり苦戦してしまい、やっと完成したときにはヘトヘトに疲れてしまった。
「あー、疲れた…」
「たまみさん、大丈夫ですか。」
「利吉さん?!」
いつの間にか利吉さんが職員室の障子を開けて立っていた。
私はダラリと伸ばしていた上半身を起こして慌てて正座した。
油断して行儀の悪いところを見られてしまった…!
利吉さんが「お疲れですね」と苦笑いしながら山田先生の机に大きな風呂敷を置いた。
「山田先生の着替えですか?」
「はい。全く手間のかかる父で困ります。」
「今日は夕方まで裏山で補習授業をすると聞いてますよ。」
「そうですか…。」
すると、利吉さんは何かを考えているように私の顔をじっと見た。
「どうしましたか?」
「いえ…先程、学園長先生にちょっと頼まれ事をされたのですが…。」
「頼まれ事?」
「はい、少し厄介な調査といいますか…。」
「厄介な調査…?」
利吉さんは私の机の周辺に大量に散らばっている紙…墨が乾くまで干している…をちらりと見た。
「たまみさん、休日返上で仕事をされているのですか?」
「んー、休日返上で仕事というか…。お洗濯も終わって今日はアルバイトもないので、先のために準備をしておこうかなと。…散らかっていてすみません、丁度いま終わったところで…。」
「なるほど、それでノビていたのですね。」
「それは忘れてください…!」
「ハハッ!…ん?普段は休日にアルバイトもしているのですか?」
「はい、きり丸くんとたまに一緒に。」
「ちょっと働きすぎなのでは…。」
「山田先生とか利吉さんほどではないですよ?」
そう言うと利吉さんは苦笑いながら干している紙を拾って眺めた。
「…では、たまみさんにお願いしようかな。」
「なんですか?」
「学園長先生に、とある噂の調査を頼まれたのです。」
「とある噂?」
「詳細は現地で説明しますが、私一人では潜入調査がしづらくて…一緒に来てもらえませんか?」
利吉さんは少し助けを乞うように私を見つめた。
けれど、私はいつぞやのおつかいの件を思い出し警戒して目をそらした。
「んー…お手伝いはしたいのですが、また無断で外出したら…」
「今回は学園長先生から至急の依頼ですし、危険もないので大丈夫ですよ。それに…」
利吉さんはスッと障子を開けて空を指さした。
「こんなにいい天気なのに部屋にこもっていては勿体ないですよ。たまには外の空気も吸って気分転換したほうが疲れもとれます。」
とびきりの爽やかな笑顔で利吉さんは「ね?」と手を差し出した。
連日の複写作業で確かに疲れていた私は、その魅力的な言葉につい…外の景色を見たいと思ってしまった。
調査したい噂とは何だろう。
利吉さんは気分転換と言っていたけれど大丈夫かな。
2回目の忍務…しかも依頼主は学園長先生…いつもお世話になっているしお役にたてるのなら力になりたい。
「…わかりました、よろしくお願いします。」
私は気を引きしめて協力することを決めた。