第34話 あい言葉
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また学園長先生の突然の思いつきが始まった。
小松田くんが用事で実家に帰るとになり、その間なぜか、一年は組の生徒が忍術学園の警備を任されることになってしまったのだ。
なぜそんな役目を一年生に…?
学ぶところは多そうではあるが、しかし忍術学園の警備…か。
小松田くんのような技能はなくても、目的を果たす方法は色々ある。
さて、一年は組のよい子達はどんな手段を講じるのか…私は山田先生と目をあわせた。
今回は少し生徒達の考えを優先して見守ることにしてみよう。
事の次第を聞いた一年は組の生徒達は、何をするのかと思えばなぜか合言葉を考え始めた。
合言葉とは事前に決めておき、後でその言葉を言えるかどうかで本人確認するというものだ。
既に外に出ている者はそれを知らないのだから中に入れなくなるが、さてどうするつもりだろう…。
夕方になり、外に出ていた他の生徒が帰ってくる頃になった。
気になって山田先生と屋根から生徒達の様子をみる。
「斜堂先生の好きなことは?」
「日陰ぼっこ!」
ずてーん。
「それでは合言葉じゃなくてただのクイズ…!」
思わず屋根からツッコミそうになる私を山田先生がまぁまぁとなだめる。
一年は組の生徒達は結局、合い言葉ではなく忍術学園の者なら誰でもわかるようなお約束の言葉を尋ねていっていた。
すると、暫くして1人の女性が門の前に来た。
私は驚いて思わず小さな声を出した。
「たまみさん…!?」
「おつかいにでも行ってたのかね。」
「1人で外に出ないようにといつも言ってるのに…どうして声をかけてくれなかったんだ…。」
「我々が忙しくしてたから気をつかったんだろう。」
「それでもせめて他の誰かを…!何かあってからでは遅いのですよ…!」
「(やれやれ、半助は心配性だな…)」
「山田先生、心の声が顔に出ていますが。」
「おっと、わしとしたことが。」
そんなやりとりをしていると、は組の子達が彼女に事情を説明して合言葉…もとい質問を投げかけた。
「たまみさんの好きな人は誰ですか?」
「はぁ!?」
私が驚いて声をあげてしまった。
慌てて伏せて隠れる。
それは誰でもわかるお約束ではないだろう!
たまみさんは驚いて固まっていた。
「本物のたまみさんなら答えられるはずですよ!」
「えっ、それって、もし私が答えても本当かどうか分からないじゃない?」
「「「「「僕達みんな知ってるから大丈夫です!」」」」」」
…おいおい、みんな知ってるとはどういうことだ。
何も大丈夫じゃないだろう。
「えっ、ちょっ、みんな知ってるって何で…!?」
「たまみさん分かりやすいですから。」
「ええっ!?」
「さぁ早く!言わないと門を通しませんよ!」
「えー…じゃあ……とりあえず、こんなとこで大声で言うのもあれだし、一人にだけこそっと伝えるとか…」
「だめです!そこからちゃんと言ってください!」
何故だめなんだ!
というか何なんだその合言葉というか質問は!
隣では山田先生が肩を震わせて笑いを堪えている。
「……わかった。じゃあ言うからね…。」
!!
たまみさんがスッと大きな息を吸った。
私は無意識に手を握りしめて、じっと言葉を待った。
彼女がゆっくり口を開く。
「私は……」
ごくり
「……私が好きなのは、一年は組の…」
……!
「一年は組のみんな!」
ずこーっ!!!
一年は組の生徒と共に私もずっこけた。
ああ、そうか、そういう感じか、なるほど。
いや別に、何か期待していたとかそういうのではなくて、うん。
確かにそれは見ていてよく分かるよな、うん。
これで門を通すと思ったが、は組の追求は甘くなかった。
「僕達もたまみさんが好きですよー!」
「でも、それが答えじゃないんですよねー。」
「そうです、そういう好きとは違う好きです!」
たまみさんは困った顔をしてその場に立ち尽くした。
私はため息をついて額に手を当てた。
「まったく、あいつら何を言わせようとしてるんだ…!」
「…もしかしたら、どこかでわしらが見てると分かってるのかもしれんな。」
「えっ」
「だからあんなに一生懸命なんじゃないのかね。」
山田先生はにやりとしながら意味深な目を向けてきた。
私はそれに気づかないふりをして、
「……仰っている意味が分かりません。」
と言いながら屋根を跳んで降りた。
小松田くんが用事で実家に帰るとになり、その間なぜか、一年は組の生徒が忍術学園の警備を任されることになってしまったのだ。
なぜそんな役目を一年生に…?
学ぶところは多そうではあるが、しかし忍術学園の警備…か。
小松田くんのような技能はなくても、目的を果たす方法は色々ある。
さて、一年は組のよい子達はどんな手段を講じるのか…私は山田先生と目をあわせた。
今回は少し生徒達の考えを優先して見守ることにしてみよう。
事の次第を聞いた一年は組の生徒達は、何をするのかと思えばなぜか合言葉を考え始めた。
合言葉とは事前に決めておき、後でその言葉を言えるかどうかで本人確認するというものだ。
既に外に出ている者はそれを知らないのだから中に入れなくなるが、さてどうするつもりだろう…。
夕方になり、外に出ていた他の生徒が帰ってくる頃になった。
気になって山田先生と屋根から生徒達の様子をみる。
「斜堂先生の好きなことは?」
「日陰ぼっこ!」
ずてーん。
「それでは合言葉じゃなくてただのクイズ…!」
思わず屋根からツッコミそうになる私を山田先生がまぁまぁとなだめる。
一年は組の生徒達は結局、合い言葉ではなく忍術学園の者なら誰でもわかるようなお約束の言葉を尋ねていっていた。
すると、暫くして1人の女性が門の前に来た。
私は驚いて思わず小さな声を出した。
「たまみさん…!?」
「おつかいにでも行ってたのかね。」
「1人で外に出ないようにといつも言ってるのに…どうして声をかけてくれなかったんだ…。」
「我々が忙しくしてたから気をつかったんだろう。」
「それでもせめて他の誰かを…!何かあってからでは遅いのですよ…!」
「(やれやれ、半助は心配性だな…)」
「山田先生、心の声が顔に出ていますが。」
「おっと、わしとしたことが。」
そんなやりとりをしていると、は組の子達が彼女に事情を説明して合言葉…もとい質問を投げかけた。
「たまみさんの好きな人は誰ですか?」
「はぁ!?」
私が驚いて声をあげてしまった。
慌てて伏せて隠れる。
それは誰でもわかるお約束ではないだろう!
たまみさんは驚いて固まっていた。
「本物のたまみさんなら答えられるはずですよ!」
「えっ、それって、もし私が答えても本当かどうか分からないじゃない?」
「「「「「僕達みんな知ってるから大丈夫です!」」」」」」
…おいおい、みんな知ってるとはどういうことだ。
何も大丈夫じゃないだろう。
「えっ、ちょっ、みんな知ってるって何で…!?」
「たまみさん分かりやすいですから。」
「ええっ!?」
「さぁ早く!言わないと門を通しませんよ!」
「えー…じゃあ……とりあえず、こんなとこで大声で言うのもあれだし、一人にだけこそっと伝えるとか…」
「だめです!そこからちゃんと言ってください!」
何故だめなんだ!
というか何なんだその合言葉というか質問は!
隣では山田先生が肩を震わせて笑いを堪えている。
「……わかった。じゃあ言うからね…。」
!!
たまみさんがスッと大きな息を吸った。
私は無意識に手を握りしめて、じっと言葉を待った。
彼女がゆっくり口を開く。
「私は……」
ごくり
「……私が好きなのは、一年は組の…」
……!
「一年は組のみんな!」
ずこーっ!!!
一年は組の生徒と共に私もずっこけた。
ああ、そうか、そういう感じか、なるほど。
いや別に、何か期待していたとかそういうのではなくて、うん。
確かにそれは見ていてよく分かるよな、うん。
これで門を通すと思ったが、は組の追求は甘くなかった。
「僕達もたまみさんが好きですよー!」
「でも、それが答えじゃないんですよねー。」
「そうです、そういう好きとは違う好きです!」
たまみさんは困った顔をしてその場に立ち尽くした。
私はため息をついて額に手を当てた。
「まったく、あいつら何を言わせようとしてるんだ…!」
「…もしかしたら、どこかでわしらが見てると分かってるのかもしれんな。」
「えっ」
「だからあんなに一生懸命なんじゃないのかね。」
山田先生はにやりとしながら意味深な目を向けてきた。
私はそれに気づかないふりをして、
「……仰っている意味が分かりません。」
と言いながら屋根を跳んで降りた。