第33話 深夜の侵入者
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真夜中の職員室。
「山田先生、土井先生、起きてください!伊賀崎先輩の飼ってるサソリのジュンイチが逃げ出しました!」
「「な、なにぃっ!?」」
虎若と三治郎が深夜の職員室にやってきてとんでもないことを言い出した。
私と山田先生は飛び起きて事の次第を確認した。
「伊賀崎先輩が夜中に起きたらジュンイチが居なくなっていたらしいんです。先輩方とジュンイチの隠れそうな場所は探したのですが見つからなくて…!」
生物委員会は何度も生き物を脱走させていて、あれほど管理はきちんとするようにと言っていたのに…!
「わかった。とりあえず刺されないように皆を起こして全員で探そう。」
一年は組の生徒を起こして事情を説明するべく山田先生の後に続いて部屋を出る。
廊下に出た瞬間、視界の端で何かが動いた気がした。
目線を動かすと、そこにはたまみさんが眠る部屋の障子。
気になって近づいてみると、ほんの微かに障子が開いていた。
…嫌な予感がする。
「山田先生、たまみさんにも注意するよう伝えてきます。」
「おぉ、頼んだ。」
山田先生達は生徒の部屋の方へ歩いていき、私は障子の隙間からたまみさんに声をかけた。
「たまみさん。」
幾度か名前を呼んだが返事がない。
深く眠っているのだろうか。
深夜に勝手に女性の部屋に入るのはためらわれたが、先程の気配が気になって障子をあけた。
「!!」
月明かりの射し込む部屋のなか、畳の上を一直線に彼女の腕に向かって進んでいく影。
…サソリだ!
私は咄嗟にサソリの目の前の畳にチョークを投げてその進行方向を変えさせた。
しかし、今度は彼女の足の方に向かって進んでいく。
捕まえなくては!
素手で掴むのは危険だ。
私は机の上に置いてあった小さな湯飲みを手に取り、彼女の近く寸でのところでサソリをすくうように入れ込み畳の上に被せた。
「ふぅ…間に合ってよかった!」
彼女を見てみると、まだすやすやと眠り続けている。
サソリが近くに来ていたなどと知ったら怖がるかもしれない。
このまま何事もなかったかのように帰ろう。
そう思ったとき、バタバタと黒い影が部屋に飛んで入ってきた。
「なんだ…!?コウモリか!」
なぜこんなところに入ってきたんだ!
迷いこんできたコウモリは、バタバタと羽音をたてて部屋中を飛び回った。
ええい、ややこしいときにややこしいのが入ってきたな…!
少し可哀想だがチョークで気絶させ、床に落ちたコウモリを拾って外に放り投げた。
「んん…」
「!」
物音で眠りが浅くなったのか、たまみさんが寝返りをうった。
その足が、なんと先程サソリを閉じ込めた湯飲みを倒してしまった。
中から興奮状態のサソリが出てくる。
「危ないっ!」
私は咄嗟に彼女を抱き上げてサソリから離した。
「…ん、…どい、せんせ…?」
「あ」
彼女が目を覚ました。
慌てて抱き抱えた彼女の顔は私の目と鼻の先で、私は思わず固まってしまった。
彼女はまだ寝ぼけているのか、虚ろな目で私をじっと見つめていた。
ふと目線をずらすと、夜着の胸元がはだけて白い肌が際どいところまで見えている。
しかも、足を慌てて上げて抱き抱えたため、裾もはだけて白い太股が大胆に見えていた。
「…!!」
見てはいけない。
…だがしかし、頭では分かってはいるのだが目が離せなくて。
「あの…土井先生?」
彼女の声でハッと我にかえった。
「あ、いや!これはですね…今サソリがいて刺されそうになったので…!」
そう言って慌てて畳を見ると。
「…!!」
既にサソリは居なくなっていた。
しまったぁぁぁ!
色々見とれているうちに逃がした!
「サソリ…?」
彼女の表情が曇った。
「あ、サソリといっても野性じゃなくて生徒が飼っているやつなんですが、また脱走したようで…。」
「そ、そうなんですか…。助けて頂いてありがとうございます。それで、そのサソリは?」
「いや、それがつい今しがたそこにいたのに、見失ってしまいまして…。」
彼女がきょろきょろと部屋を見渡した。
まだ私の腕のなかにいた彼女は、身じろぎすると更に胸元がはだけて白い肌が露になった。
「…っ!」
彼女は全く気づいていない。
サソリに怯えて不安げに布団を見ていた。
いけないとは思いつつ、目線がどうしても下がってしまう。
「…お布団の下に隠れてると…か…。」
彼女は私を見上げると、私の目線に気づいて自分の衿元を慌てて隠した。
「す、すみません、私寝相悪くてお見苦しいものを…!」
「い、いえ!その…すみません……!」
気まずいのをごまかすように私はたまみさんを下ろして、布団にサソリが隠れていないか確認した。
やはりもうここにはいないようだった。
「私は生徒とサソリを探してきますので、たまみさんはここで暫くサソリが来ないか起きて注意しておいてくれますか。」
そう言って部屋を出ようとしたら袖を掴まれた。
「ひ、一人にしないでください…!私も一緒にいきます!」
「外の方が危ないですよ。」
「一人だと怖くて…!」
たまみさんが涙目で訴えてくる。
まぁ確かに一人で座って注意していたとしても気づかぬうちに後ろから刺される可能性はある…。
私は彼女の手をとると、一緒にサソリを探しに行くことにした。
「山田先生、土井先生、起きてください!伊賀崎先輩の飼ってるサソリのジュンイチが逃げ出しました!」
「「な、なにぃっ!?」」
虎若と三治郎が深夜の職員室にやってきてとんでもないことを言い出した。
私と山田先生は飛び起きて事の次第を確認した。
「伊賀崎先輩が夜中に起きたらジュンイチが居なくなっていたらしいんです。先輩方とジュンイチの隠れそうな場所は探したのですが見つからなくて…!」
生物委員会は何度も生き物を脱走させていて、あれほど管理はきちんとするようにと言っていたのに…!
「わかった。とりあえず刺されないように皆を起こして全員で探そう。」
一年は組の生徒を起こして事情を説明するべく山田先生の後に続いて部屋を出る。
廊下に出た瞬間、視界の端で何かが動いた気がした。
目線を動かすと、そこにはたまみさんが眠る部屋の障子。
気になって近づいてみると、ほんの微かに障子が開いていた。
…嫌な予感がする。
「山田先生、たまみさんにも注意するよう伝えてきます。」
「おぉ、頼んだ。」
山田先生達は生徒の部屋の方へ歩いていき、私は障子の隙間からたまみさんに声をかけた。
「たまみさん。」
幾度か名前を呼んだが返事がない。
深く眠っているのだろうか。
深夜に勝手に女性の部屋に入るのはためらわれたが、先程の気配が気になって障子をあけた。
「!!」
月明かりの射し込む部屋のなか、畳の上を一直線に彼女の腕に向かって進んでいく影。
…サソリだ!
私は咄嗟にサソリの目の前の畳にチョークを投げてその進行方向を変えさせた。
しかし、今度は彼女の足の方に向かって進んでいく。
捕まえなくては!
素手で掴むのは危険だ。
私は机の上に置いてあった小さな湯飲みを手に取り、彼女の近く寸でのところでサソリをすくうように入れ込み畳の上に被せた。
「ふぅ…間に合ってよかった!」
彼女を見てみると、まだすやすやと眠り続けている。
サソリが近くに来ていたなどと知ったら怖がるかもしれない。
このまま何事もなかったかのように帰ろう。
そう思ったとき、バタバタと黒い影が部屋に飛んで入ってきた。
「なんだ…!?コウモリか!」
なぜこんなところに入ってきたんだ!
迷いこんできたコウモリは、バタバタと羽音をたてて部屋中を飛び回った。
ええい、ややこしいときにややこしいのが入ってきたな…!
少し可哀想だがチョークで気絶させ、床に落ちたコウモリを拾って外に放り投げた。
「んん…」
「!」
物音で眠りが浅くなったのか、たまみさんが寝返りをうった。
その足が、なんと先程サソリを閉じ込めた湯飲みを倒してしまった。
中から興奮状態のサソリが出てくる。
「危ないっ!」
私は咄嗟に彼女を抱き上げてサソリから離した。
「…ん、…どい、せんせ…?」
「あ」
彼女が目を覚ました。
慌てて抱き抱えた彼女の顔は私の目と鼻の先で、私は思わず固まってしまった。
彼女はまだ寝ぼけているのか、虚ろな目で私をじっと見つめていた。
ふと目線をずらすと、夜着の胸元がはだけて白い肌が際どいところまで見えている。
しかも、足を慌てて上げて抱き抱えたため、裾もはだけて白い太股が大胆に見えていた。
「…!!」
見てはいけない。
…だがしかし、頭では分かってはいるのだが目が離せなくて。
「あの…土井先生?」
彼女の声でハッと我にかえった。
「あ、いや!これはですね…今サソリがいて刺されそうになったので…!」
そう言って慌てて畳を見ると。
「…!!」
既にサソリは居なくなっていた。
しまったぁぁぁ!
色々見とれているうちに逃がした!
「サソリ…?」
彼女の表情が曇った。
「あ、サソリといっても野性じゃなくて生徒が飼っているやつなんですが、また脱走したようで…。」
「そ、そうなんですか…。助けて頂いてありがとうございます。それで、そのサソリは?」
「いや、それがつい今しがたそこにいたのに、見失ってしまいまして…。」
彼女がきょろきょろと部屋を見渡した。
まだ私の腕のなかにいた彼女は、身じろぎすると更に胸元がはだけて白い肌が露になった。
「…っ!」
彼女は全く気づいていない。
サソリに怯えて不安げに布団を見ていた。
いけないとは思いつつ、目線がどうしても下がってしまう。
「…お布団の下に隠れてると…か…。」
彼女は私を見上げると、私の目線に気づいて自分の衿元を慌てて隠した。
「す、すみません、私寝相悪くてお見苦しいものを…!」
「い、いえ!その…すみません……!」
気まずいのをごまかすように私はたまみさんを下ろして、布団にサソリが隠れていないか確認した。
やはりもうここにはいないようだった。
「私は生徒とサソリを探してきますので、たまみさんはここで暫くサソリが来ないか起きて注意しておいてくれますか。」
そう言って部屋を出ようとしたら袖を掴まれた。
「ひ、一人にしないでください…!私も一緒にいきます!」
「外の方が危ないですよ。」
「一人だと怖くて…!」
たまみさんが涙目で訴えてくる。
まぁ確かに一人で座って注意していたとしても気づかぬうちに後ろから刺される可能性はある…。
私は彼女の手をとると、一緒にサソリを探しに行くことにした。