「えっ、大木先生が？」

山田先生が２日間出張に行く間、大木先生が代わりとして一年は組実技担当になることになった。
私は教科も実技も担当すると思っていたので忙しくなる覚悟をしていたが、大木先生が代わりに来るとは予想外だった。

「たまみくんは大木先生とはあったことあるのか？」

「はい、前にラッキョウを持ってこられたときにお会いしました。」

「そうか、なら説明もいらないな。私は今夜少し引き継ぎをして発つから、あとのことは土井先生、任せましたよ。」

「わかりました。」

何だか嫌な予感がする。
私は何とも言えない微妙な顔をした。



その夜。

「山田先生、お久しぶりです。」

「おぉ、大木先生！元気でしたかな？」

「どこんじょーで元気にやっとります。土井先生はこの前ぶりか、一緒に生徒を教えることになるとは思わなかったがよろしく頼む。」

「こちらこそよろしくお願いします。」

２人の引き継ぎを横で眺める。
厄介なことが起きなければいいのだが…。

「そういえば一年は組補佐のたまみは？」

「ああ、彼女は…」

山田先生が隣の部屋へ案内しようとするので、私は慌てて止めた。
…夜着を着て髪もおろした彼女を見せるのが嫌だった。

「もう夜なのでまた明日にしましょう。あと大木先生…彼女も一応教員補佐なので、生徒の手前もありますしたまみと呼び捨てで呼ぶのはちょっとどうかと…。」

「ん、そうか？別にそれくらい構わんと思うが、まぁ土井先生がそう言うなら…たまみくんと呼ぼうか。」

大木先生は少し不服そうに言った。