第20話 似顔絵
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「乱太郎くん!お願いしたいことが…!」
もうあとは寝るだけという時間に、私はこっそりと乱太郎くん、きり丸くん、しんべえくんの部屋に来た。
昼間みんなが居るときにはお願いしにくいことをこっそり頼むために。
「たまみさん、急にどうしたんですか?」
乱太郎くんをはじめ、3人は驚いてこちらを見ている。
私は障子をぴったりと閉めて周りを見渡し、小声で話しだした。
「乱太郎くん、絵が得意なんだよね?」
「えっ?…はい、絵を描くのは好きですけど…それがどうかしましたか?」
「実は、おりいってお願いがありまして…」
こんな時間にこっそり生徒のお部屋に来てまで頼みたいこと。
私は用件を言おうとして乱太郎くんを見た。
…けれど、次の瞬間。
乱太郎くんの澄んだ目に見つめ返されて…私は急に言い淀んでしまった。
「あー…、ごめん、やっぱりなんでも…」
恥ずかしくなってそそくさと部屋を出ようと立ち上がったとき、きり丸くんが手を叩いた。
「わかった!たまみさん、もしかして乱太郎に似顔絵を描いてほしいんじゃないすか?」
「!!!」
私はびっくりして振り返った。
きり丸くん実は読心術の心得が!?
いやむしろ、私ってばいつの間にか声に出していた!?
「…あれ、ほんとに当たっちゃっいました?」
私の表情をみて、きり丸くんも驚いていた。
「なぁんだ、それならそうと早く言ってくださいよ~」
乱太郎くんはニコニコと笑って、私が何も言わないうちに筆で絵を描き始めた。
「あ、乱太郎くん、違うの、私の絵じゃなくて…」
「はい、できた!」
渡されたのは、とても爽やかな笑顔の土井先生の似顔絵だった。
「!!!!!」
「乱太郎にこういう注文する人、結構いるんですよね~。」
「えっ、すんごい上手だね…って、そうじゃなくて、なんで、その、私が描いてほしいのが土井先生だと……?」
私が赤くなって聞くと、
「え~、たまみさんが土井先生のこと好きなの、みんな知ってますよぉ。」
「えぇっっ!!?」
しんべえくんがのほほんと言う。
そ、そんな、まさか!!
「みんなって、…だ、誰が知ってるの?」
「一年は組は全員知ってますよ~。あとはどうかなぁ?」
「山田先生ももちろん分かってると思いますよ。」
「伊作先輩もそんな感じのこと仰ってましたよ。」
な、なんですってー!
私は愕然としてその場にしゃがみこんだ。
「まぁまぁいいじゃないすか。たまみさん分かりやすいからしょうがないですよ。」
きり丸くんが背中を擦りながら慰めてくれた。
「俺達も協力するんで、頑張ってください。」
「き、きり丸くん…!」
なんて頼もしい。
とても10歳には見えない。
というか、10歳の子ども達にも気づかれて応援される私って一体…。
「土井先生の似顔絵…こんなのもどうですか?」
渡された紙には、きりっと授業をしている土井先生の姿。
…イイ。
えっ、ちょっ、めっちゃイイんですけど…!
土井先生の授業は補佐としていつも見ているけれど、こうやって描いてもらうと改めてかっこいいなと思ってしまう。
私がそうやって見惚れている間に、乱太郎くんはまた1枚描いてくれた。
それを受け取り思わず微笑む私。
「…うん、怒った顔もいいよね~。」
私がニヤニヤ…もといニコニコしながらそれを見ていると、きり丸くんが乱太郎くんに何かをひそひそ話し、乱太郎くんがまた筆を走らせた。
その間、私はきり丸くんとしんべヱくんと、よく授業中に土井先生がしてる表情はどんなのだとか、そんな話で盛り上がった。
…いや、私が一人で勝手に盛り上がっただけかもしれない。
暫くすると、乱太郎くんがまた何枚か見せてくれた。
「これも可愛いし…これもかっこいいし…!こんなにたくさんありがとう!」
「全然いいですよー。土井先生だったら毎日見てるから本物見なくても描けちゃいます。」
「画伯…!乱太郎画伯と呼ばせてください!」
「いやいや~それほどでも。」
「ほんとに嬉しい…!ありがとう、今度3人に何でもごちそうするから、行きたいお店考えておいて!」
「え~、じゃあ僕のお勧めはねぇ…」
そのとき。
ドスドスドスと廊下から足音がして、3人の動きが止まった。
「「「この足音は…!」」」
もうあとは寝るだけという時間に、私はこっそりと乱太郎くん、きり丸くん、しんべえくんの部屋に来た。
昼間みんなが居るときにはお願いしにくいことをこっそり頼むために。
「たまみさん、急にどうしたんですか?」
乱太郎くんをはじめ、3人は驚いてこちらを見ている。
私は障子をぴったりと閉めて周りを見渡し、小声で話しだした。
「乱太郎くん、絵が得意なんだよね?」
「えっ?…はい、絵を描くのは好きですけど…それがどうかしましたか?」
「実は、おりいってお願いがありまして…」
こんな時間にこっそり生徒のお部屋に来てまで頼みたいこと。
私は用件を言おうとして乱太郎くんを見た。
…けれど、次の瞬間。
乱太郎くんの澄んだ目に見つめ返されて…私は急に言い淀んでしまった。
「あー…、ごめん、やっぱりなんでも…」
恥ずかしくなってそそくさと部屋を出ようと立ち上がったとき、きり丸くんが手を叩いた。
「わかった!たまみさん、もしかして乱太郎に似顔絵を描いてほしいんじゃないすか?」
「!!!」
私はびっくりして振り返った。
きり丸くん実は読心術の心得が!?
いやむしろ、私ってばいつの間にか声に出していた!?
「…あれ、ほんとに当たっちゃっいました?」
私の表情をみて、きり丸くんも驚いていた。
「なぁんだ、それならそうと早く言ってくださいよ~」
乱太郎くんはニコニコと笑って、私が何も言わないうちに筆で絵を描き始めた。
「あ、乱太郎くん、違うの、私の絵じゃなくて…」
「はい、できた!」
渡されたのは、とても爽やかな笑顔の土井先生の似顔絵だった。
「!!!!!」
「乱太郎にこういう注文する人、結構いるんですよね~。」
「えっ、すんごい上手だね…って、そうじゃなくて、なんで、その、私が描いてほしいのが土井先生だと……?」
私が赤くなって聞くと、
「え~、たまみさんが土井先生のこと好きなの、みんな知ってますよぉ。」
「えぇっっ!!?」
しんべえくんがのほほんと言う。
そ、そんな、まさか!!
「みんなって、…だ、誰が知ってるの?」
「一年は組は全員知ってますよ~。あとはどうかなぁ?」
「山田先生ももちろん分かってると思いますよ。」
「伊作先輩もそんな感じのこと仰ってましたよ。」
な、なんですってー!
私は愕然としてその場にしゃがみこんだ。
「まぁまぁいいじゃないすか。たまみさん分かりやすいからしょうがないですよ。」
きり丸くんが背中を擦りながら慰めてくれた。
「俺達も協力するんで、頑張ってください。」
「き、きり丸くん…!」
なんて頼もしい。
とても10歳には見えない。
というか、10歳の子ども達にも気づかれて応援される私って一体…。
「土井先生の似顔絵…こんなのもどうですか?」
渡された紙には、きりっと授業をしている土井先生の姿。
…イイ。
えっ、ちょっ、めっちゃイイんですけど…!
土井先生の授業は補佐としていつも見ているけれど、こうやって描いてもらうと改めてかっこいいなと思ってしまう。
私がそうやって見惚れている間に、乱太郎くんはまた1枚描いてくれた。
それを受け取り思わず微笑む私。
「…うん、怒った顔もいいよね~。」
私がニヤニヤ…もといニコニコしながらそれを見ていると、きり丸くんが乱太郎くんに何かをひそひそ話し、乱太郎くんがまた筆を走らせた。
その間、私はきり丸くんとしんべヱくんと、よく授業中に土井先生がしてる表情はどんなのだとか、そんな話で盛り上がった。
…いや、私が一人で勝手に盛り上がっただけかもしれない。
暫くすると、乱太郎くんがまた何枚か見せてくれた。
「これも可愛いし…これもかっこいいし…!こんなにたくさんありがとう!」
「全然いいですよー。土井先生だったら毎日見てるから本物見なくても描けちゃいます。」
「画伯…!乱太郎画伯と呼ばせてください!」
「いやいや~それほどでも。」
「ほんとに嬉しい…!ありがとう、今度3人に何でもごちそうするから、行きたいお店考えておいて!」
「え~、じゃあ僕のお勧めはねぇ…」
そのとき。
ドスドスドスと廊下から足音がして、3人の動きが止まった。
「「「この足音は…!」」」