硝子の誓い
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カカシがザブザ の後ろをとったことに感嘆の声が上がる。
そんな中でナマエは思惑の中にいた。
――なんで私は。
カカシにザブザ の来る方向を伝えた。結果的にその判断は、正しかった。カカシに知らせなければ、全員死んでいた。
それは事実だ。
でも――
問題は、そこじゃない。
カカシに言われていたのは"待機"。
ナマエは、上官の命令に背いた。それは規律違反だった。
ナマエの葛藤には全く気づいていない様子のナルトの声が辺りに響く。
「ス…スッゲーー!!!」
上忍同士の激突――それを目の当たりにした彼の叫びは、驚愕と興奮が混ざった、まるで本能の叫びのようだった。
しかし、再不斬は圧倒的不利な体制だというのに、不気味な笑みを浮かべていた。
「……サルマネごときじゃあ……このオレ様は倒せない。絶対にな」
「!」
迷ってる場合じゃない。考えるより先に、体が動いた。
ナマエが即座に迷いを断ち切り、察知する。
「カカシさんっ! 後ろ!!」
カカシがクナイで突きつけていたはずの再不斬の身体が、水のように崩れ落ちる。
ナマエの叫びに反応し、即座に背後に振り返ったカカシだったが、既に再不斬の蹴りが迫っていた。
ドンッ――!!
水辺の方へ吹っ飛ばされたカカシ。
「せんせーーー!!」
「っ……まずい!」
カカシの落下地点、その先に広がる水面――そこに再不斬のチャクラが集中していることにナマエはいち早く気づく。
(水……罠だ!)
ナマエが走り、あと数歩でカカシに届こうかと言う時。
再不斬がカカシの背後に現れ、印を結び終える。その途端、
「水牢の術!」
水がドーム状に盛り上がり、カカシの身体を包み込んだ。
「くっ……!」
ナマエは急停止し、今度は再不斬と距離を取ろうとする――が、遅い。
ナマエは再不斬にグッと腕を掴まれた。
「お前……ただのガキじゃないな?」
再不斬の視線がナマエを射抜く。
次の瞬間、水面がうねり、ナマエの足元を襲った。水牢の術――。
(来るっ――!)
捕まれば、
――それは咄嗟の判断だった。
「――
使うなと、言われているのに――出してはいけない力なのに――それでも、止まらなかった。
ナマエが宙に円を描き、中心で手を広げる。その瞬間にその軌跡が煌めき、円が出現する。
ナマエを包み込もうとしていた水流がそれに触れた途端、音もなくかき消えた。
「なっ……!?」
「術が……消えた!?」
目を見開く再不斬と、サクラの驚きの声。ナマエが再不斬から距離をとる音。
それは一瞬の出来事だった。場がしん、と静まり返る。
口火を切ったのは、再不斬の不敵な笑いだった。
「……くく…くくくく……!!!」
再不斬の目に火が灯った。それは鬼人と呼ばれるに値する、狂気の目だった。
「お前、いい技持ってんなぁ?」
「……!」
「なぁ、おい」
「…」
ナマエは答えない。再不斬が不敵な顔でナマエを見る。
「そういや昔、聞いたことがあるなぁ。木の葉には、全ての技を吸収できる血継限界がある、と」
「!」
「御門一族っつったか?」
「御門・・・?!」
吸収?血継限界?予想だにしない言葉が次々と再不斬から飛び出す。情報量の多さにナルトの思考はショート寸前だったが、明確に一つだけ疑問が浮かんだ。御門はナマエの苗字ではない。ナルトの声が上ずる。
再不斬は片手で印を組み、水分身を放った。
その分身がすさまじい勢いでナマエに襲いかかる。
「お前は、高く売れる……!」
「くっ!」
ナマエは無表情を崩さず、口元を引き結び、わずかに腰を落とした。再不斬の気配が変わる――次の攻撃が来る。
「水遁・水槍弾の術!」
片手で印を結び、再不斬が吐き出すように放ったのは、鋭利な水の槍。その瞬間、ナマエは再び手を広げ、結界円を展開した。
水槍が光の円に触れると、先ほどと同じように、槍が霧散するかと思われたがーー円を中心に鏡のように槍は反射し、ザブザへと向かっていく。だが再不斬造作もなく避けると、口角をさらに釣り上げる。あたりに水しぶきが上がった。
「なるほど、打ち返すこともできる、と。でもな――」
ザッ!
次の瞬間、再不斬の身体が一瞬でナマエとの間合いを詰める。そして大刀を構え、己の体術で斬りかかった。
(来る!)
ナマエは肩を落とし、身を沈め、再不斬の大刀を紙一重で躱した。風圧が肌を打つ。さらに拳――それも避け、地を滑るように回り込む。
「フン……」
低く唸るような声の中で、再不斬の膝が真横から迫る。だがそれも、ナマエは身体をひねって回避し、その反動を利用して再不斬にクナイを向ける。
(ここ!)
「――はっ!」
ナマエのクナイは確かに再不斬の急所を貫かんとしていた。
たいていの者が相手であれば、それは叶っただろう。
が、
再不斬の腕力により、いともたやすく腕を弾き返される。クナイの先端が再不斬の頬を掠めた。
「……っ!」
ナマエの表情が強ばる。その場から跳び退いたが、再不斬は一歩も動かぬまま、鼻で笑った。
「悪くねぇ……が、力が足りねぇな」
次の瞬間、ナマエの首筋に拳が迫る。ギリギリで腕で受けるが、衝撃が骨を震わせる。
「くっ!」
後方に吹き飛ばされながらも、ナマエは着地の直前に結界円を再び展開し、地面の罠をかき消すように膝をついた。
(術も、反応も通じる……けど)
(攻撃が――足りない)
クナイは届かない。
踏み込みも浅い。
――やはり、
(あの人がいないと、私は……足りない。)
苗字の力。鏡遁・吸収結界。どれほど強大な術であろうとも、それは「受ける」盾に過ぎない。確かに、忍の世界において術の応酬は日常であり、その中で敵の技を無効化するこの血継限界は、絶対的な防御に思えた。
だが――その絶対性は、一つの条件に依存していた。
術で攻めてくる相手であること。チャクラの応酬の中にいること。
もしも敵が、ただただ間合いを詰め、刃一閃にすべてを懸けてくる者であったなら。ナマエはただ、避け、守り、そして追い詰められていく。
攻撃の手を持たぬ者の末路は、決まっている。防戦一方のその先にあるのは、遅い敗北か、静かな死。
時間がない――焦る思考を、カカシの声が切断した。
「ナマエ! タズナさんたちを連れて逃げろ!!お前ら!ナマエと一緒に引き返せ!」
カカシの声が飛んだ瞬間、再不斬の視線が――タズナたちへと向けられた。
「……そうだったな」
その目が細められる。
「余計な手間をかけるより……いい方法があったな」
にやりと口を吊り上げると、再び再不斬は印を結んだ。
再不斬がタズナたちへ目を向け、刃を投げ放つと同時に印を結ぶ。
「水遁・水龍弾の術!」
「うわああああっ!!」
それは巨大な龍となり、ナマエではなくサスケたちの方に向かって襲い始める。
「くっ……!」
咄嗟にナマエは向きを変えるために、無理な体勢で動く。それは彼らが被弾する前に霧消した。が、――
そこを、見逃す再不斬ではない。
「ぐはっ……!」
ナマエの背中に鋭い蹴りが入る。
「ほぉ……物理攻撃は弾けないらしいな」
「しまっ……!」
次の一撃は鳩尾。肺が空気を吐き出す。
あまりにも重い一撃にナマエの意識は遠のいていった。バシャン、と水に沈みそうになるナマエの体を再不斬が抱え上げる。
「ふん、手間取らせやがって……」
一仕事を終えた、というようにナルトたちへと一歩ずつ近づく再不斬。カカシの焦った声が響く
「お前らぁ!何をやっている!!早く タズナさんを連れて逃げろ!! !」
(このままじゃ…このままじゃ…マジで殺される・・・!)
震えるナルトの目の前で、再不斬が笑った。
そして次の瞬間、ナルトは蹴り飛ばされる。
額当てが宙に舞い、再不斬の足がそれを踏みつけた。
薄ら笑った顔で、ナルトたちを見て口を開いた。
「お前らが雑魚で助かったよ」
それを聞いた途端、サスケの血がカッと沸き出す。
(俺は・・・!)
サスケの拳が震える。
ただ、悔しかった。
ナマエを見守る兄に遠く届かないことが。ナマエに助けられたことが。守られたことが。自分が弱いことが。
――あの時と、自分は何も変わらない。
サスケの目が、燃え上がるような決意に変わる。
「……ナマエ!」
叫ぶようにサスケが動いた。
手裏剣で陽動し、隙を突いて水牢に飛び込もうとするも――
「がはっ……!」
返り討ちにされる。
「サスケくん!!」
「ふん……」
再不斬が、じり……とナルトたちに近づく。
自分より遥か先をいくライバルが、圧倒的力量差で打ち付けられている。
(ダメだ……殺される!)
ナルトが一歩後退ろうとしたとき、手の痛みに気づいた。
それは決意の証――己で刻んだ傷。
(そうだ……俺は、忍者になったんだ。もう……逃げねぇって、決めただろ!)
「ダァああああ!!」
一直線に突撃――
あっさり蹴り飛ばされる。
だが、彼の手には……先ほど足蹴にされていた、額当て。
「おい、そこの眉なし」
ナルトはゆらりと立ち上がる。再不斬が動きを止めた。
「お前のビンゴブックに名前を載せとけ」
「いずれ木の葉の里の火影になる男……うずまきナルトってな!」
その瞳には、恐怖ではなく――強い光が、宿っていた。
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20260415 加筆修正</a>