硝子の誓い
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その日の第七班の集合場所、第七演習場。
朝の柔らかな陽射しがゆっくりと差し込み、木々の隙間からこぼれた光が地面をまだらに染めていた。風は穏やかで、葉擦れの音が心地よく耳に届く。
に、反して彼らは苛立っていた。
「おっそいなー、カカシ先生! てかさ、今日“早めに集合”って言ったの誰だってばよ!」
地面に仰向けに寝転がりながら、ナルトが不満そうに声を上げる。その口調には苛立ちというより、半ば諦めたような調子も混じっていた。
そんなナルトの様子を横目で見ながら、サクラは涼やかな表情で小さく笑い、肩をすくめるようにして答える。
「まぁ、もういつものことじゃない?」
「だ〜〜〜っ、もう! 待ち切れないってばよ!」
芝生の上で手足をばたつかせるナルトの姿は、どこか無邪気で、空の明るさに溶け込むように軽やかだった。
その瞬間。
風の音に混じって、ふと背後の気配が変わった。
「……こんにちは」
静かな声が、木陰の方から降ってくる。振り返ると、そこには一人の少女――苗字ナマエが、静かに立っていた。
「第七班の場所ってここって聞いたんですが、合ってますか?」
ナマエは少しばかりの不安を抱えているような――努めて下忍らしく振る舞った。
彼女の黒髪は肩のあたりでゆるやかに波打ち、朝の光を受けてほのかに艶めいている。耳元には、小さなイヤリングが片方だけ光を反射して揺れていた。
「お前、誰だってば?」
普段は明るく軽口を叩く彼だが、この突然の見知らぬ少女の出現に、一瞬だけ戸惑いが混じっていた。飛び起きるように地面に手をついて顔を起こし、まじまじと彼女を見つめる。
サスケはその少女をちらりと見やった。けれど彼の視線はすぐに冷たくそられた。わざとらしく背を向け、無言で視線を逸らすその表情はどこか複雑で、よく見るとわずかな動揺がにじんでいるがわかる。
サクラはそんなサスケの様子を見て戸惑いながらも、唇を小さく開き、言葉を探すようにゆっくりと口を開いた。
「ええ、ここで合っていますけど……」
その答えを聞いて、少女は柔らかく笑った。そして覚悟を決めたかのように凛とした口調で続けた。
「よかった。皆さん、第七班のメンバーですよね?……今日から第七班に所属することになった、下忍の苗字ナマエです。よろしくお願いします」
その言葉ははっきりと、しかし穏やかな声で告げられた。
「え?! 所属ってどういうこと?!」
「え!そうなのか?!」
「はい」
それぞれの反応にナマエは小さく頷きながらも、素直に答えた。
(下忍だと・・・!?)
サスケは再び驚いたように彼女にちらりと視線を向けたが、すぐにそっと視線をそらした。その目には困惑から来る苛立ちがあったが、素直に本人に聞く気にはなれず、無言のまま不機嫌そうに明後日の方を見た。そんなサスケの様子を見つめていたサクラは、彼の瞳にいつもの無関心とは違う、苛立ちに似た何かを感じ取ったようだった。
「サスケくん、もしかして知り合い?」
その問いに、サスケは一瞬だけサクラの方を見たが、やはり答えは返さず、ただ黙って視線を逸らした。ナマエは、そんな彼の沈黙は想定内と言った様子で、なだめるように続けた。
「…昔からの知り合いなんです。ね、サスケ」
「え、え、どういうことだってば」
それでも、彼は彼女の呼びかけを無視し続ける。
(…まぁ、そうだよね)
ナマエは一人心の中で呟く。
仕方ない、仕方ないことだ、と自分に言い聞かせる。
冷たい沈黙と戸惑いが4人の間に静かに横たわった頃ーー
場にそぐわない、のんびりとした声が響いた。
「おや? なんだか空気がちょっと重いな〜」
カカシが困ったなと言った様子で笑いながら登場した。
「カカシ先生! 遅い!!!」
ナルトとサクラが責めるように一斉に声を上げる。場の雰囲気が一気に明るくなったことにナマエは安堵しつつも、サスケにちらりと視線を配った。だがそれ以上、踏み込んではいけない気がして、すぐに目を逸らす。
カカシは二人の責める言葉は軽くいなし、ナマエの方を向いた。
「自己紹介は終わったのかな?」
「いや、ああ、はい……」
ナマエは少し戸惑いながらはいともいいえともつかない様子で答えた。カカシは少し困ったかのようにサスケに視線をむけたが、口から出かかった言葉を紡ぐ前にナルトの声にふさがれた。
「そういやナマエが第七班に所属って、どういうことだってばよ?!」
「そうよ! 何も聞いてないわ!」
カカシは困ったように肩をすくめて、説明を始める。
「実はナマエは特殊な事情があって、アカデミーには通っていない。だけど昨日、下忍となり、第七班に加わることになったんだ」
「ま、仲良くしてやってくれよ」
いつもの戯けたような調子でそう言い、カカシは頭を掻いた。
(……どうすればいいんだろう)
ナマエが困ったように4人を見たが、ナマエの心配は杞憂に終わった。
ナルトがすぐに立ち上がり、ナマエにスッと明るく手を差し出したのだ。
「じゃあ、ナマエ! よろしくな!一緒にがんばろうってばよ!」
ナマエはその手を見つめ、一瞬だけ判断が遅れた。「よろしく」とだけ答え、遅れて、かすかに笑みを形にする。
サクラも少し照れたように笑いながら言った。
「私はサクラ。よかったら、わからないことがあったら何でも聞いてね」
「ありがとう。そう言ってもらえると心強いです」
「敬語はなしにしましょ。仲間だもの」
表面的には嬉しそうにしつつも、ナマエの胸中には一抹の戸惑いが浮かぶ。
(……仲間?)
それは彼女がこれまで所属してきた暗部の殺伐とした空気とは大違いだった。
――関わるな
――他人と、深く関わるな
その言葉が、理由もなく浮かぶ。
だがそんなことをおくびにも出さぬようナマエは少しだけ笑った。それをはじけさせるかのようにナルトは隣に立っていたサスケの背中を、バシッと叩く。
「なぁ、サスケ! お前もちゃんと挨拶しろよ!」
不意をたたかれたサスケが、ちらりとナルトを睨んだ。だが、ナルトはまったく怯まず、ニヤニヤと悪戯っぽい笑みを浮かべたままだ。
「お前に指図されるいわれはない。」
「なにぃー!?せっかく新しい仲間が来たってのによぉ〜、ちょっとは協力する気見せろよなー!」
「ナルトくん、私は大丈夫だよ」
「何も大丈夫じゃないってば!!」
ナルトがむきになってまくし立てるが、サスケは態度は改める気はないようで、腕を組んだまま隣でナルトがギャアギャア騒ぐのを無視した。
サスケの反応は相変わらず冷たいままだった。
「はい、そのくらいにして。」
カカシは困りながらもこの様子は想定内、と言ったようで、4人に言い聞かせるように言った。
「今日の任務は……波の国への護衛だ。Dランクじゃない、Cランクだ」
その言葉に、先ほどまでの空気が一変した。一瞬の沈黙の後、ナルトの声が弾む。
「うっしゃー! 言ってみるもんだってばよ!ついに俺たちも本格任務か!」
「護衛任務ってことは……敵が出るかもしれないってこと?」
「その通り。だからこそ、このタイミングで新たにひとり加える判断をしたんだろうね」
カカシは意図ありげにちらりとナマエを見た。ナマエは、うまい具合に辻褄を合わせたものだな、とカカシの手腕に一人納得する。
「ま……あとは道中でお互いを理解し合えれば十分だ。じゃあ、依頼人も待ってるし、火影様の執務室へいくぞ」
「は〜〜〜〜い!!!」
サスケとの再会から1日が経つ。
第七班とナマエの物語はゆっくりと動き出し――過去の因縁と、未来の真実と共に、この先で交わろうとしていた。
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20260413 加筆修正</a>
朝の柔らかな陽射しがゆっくりと差し込み、木々の隙間からこぼれた光が地面をまだらに染めていた。風は穏やかで、葉擦れの音が心地よく耳に届く。
に、反して彼らは苛立っていた。
「おっそいなー、カカシ先生! てかさ、今日“早めに集合”って言ったの誰だってばよ!」
地面に仰向けに寝転がりながら、ナルトが不満そうに声を上げる。その口調には苛立ちというより、半ば諦めたような調子も混じっていた。
そんなナルトの様子を横目で見ながら、サクラは涼やかな表情で小さく笑い、肩をすくめるようにして答える。
「まぁ、もういつものことじゃない?」
「だ〜〜〜っ、もう! 待ち切れないってばよ!」
芝生の上で手足をばたつかせるナルトの姿は、どこか無邪気で、空の明るさに溶け込むように軽やかだった。
その瞬間。
風の音に混じって、ふと背後の気配が変わった。
「……こんにちは」
静かな声が、木陰の方から降ってくる。振り返ると、そこには一人の少女――苗字ナマエが、静かに立っていた。
「第七班の場所ってここって聞いたんですが、合ってますか?」
ナマエは少しばかりの不安を抱えているような――努めて下忍らしく振る舞った。
彼女の黒髪は肩のあたりでゆるやかに波打ち、朝の光を受けてほのかに艶めいている。耳元には、小さなイヤリングが片方だけ光を反射して揺れていた。
「お前、誰だってば?」
普段は明るく軽口を叩く彼だが、この突然の見知らぬ少女の出現に、一瞬だけ戸惑いが混じっていた。飛び起きるように地面に手をついて顔を起こし、まじまじと彼女を見つめる。
サスケはその少女をちらりと見やった。けれど彼の視線はすぐに冷たくそられた。わざとらしく背を向け、無言で視線を逸らすその表情はどこか複雑で、よく見るとわずかな動揺がにじんでいるがわかる。
サクラはそんなサスケの様子を見て戸惑いながらも、唇を小さく開き、言葉を探すようにゆっくりと口を開いた。
「ええ、ここで合っていますけど……」
その答えを聞いて、少女は柔らかく笑った。そして覚悟を決めたかのように凛とした口調で続けた。
「よかった。皆さん、第七班のメンバーですよね?……今日から第七班に所属することになった、下忍の苗字ナマエです。よろしくお願いします」
その言葉ははっきりと、しかし穏やかな声で告げられた。
「え?! 所属ってどういうこと?!」
「え!そうなのか?!」
「はい」
それぞれの反応にナマエは小さく頷きながらも、素直に答えた。
(下忍だと・・・!?)
サスケは再び驚いたように彼女にちらりと視線を向けたが、すぐにそっと視線をそらした。その目には困惑から来る苛立ちがあったが、素直に本人に聞く気にはなれず、無言のまま不機嫌そうに明後日の方を見た。そんなサスケの様子を見つめていたサクラは、彼の瞳にいつもの無関心とは違う、苛立ちに似た何かを感じ取ったようだった。
「サスケくん、もしかして知り合い?」
その問いに、サスケは一瞬だけサクラの方を見たが、やはり答えは返さず、ただ黙って視線を逸らした。ナマエは、そんな彼の沈黙は想定内と言った様子で、なだめるように続けた。
「…昔からの知り合いなんです。ね、サスケ」
「え、え、どういうことだってば」
それでも、彼は彼女の呼びかけを無視し続ける。
(…まぁ、そうだよね)
ナマエは一人心の中で呟く。
仕方ない、仕方ないことだ、と自分に言い聞かせる。
冷たい沈黙と戸惑いが4人の間に静かに横たわった頃ーー
場にそぐわない、のんびりとした声が響いた。
「おや? なんだか空気がちょっと重いな〜」
カカシが困ったなと言った様子で笑いながら登場した。
「カカシ先生! 遅い!!!」
ナルトとサクラが責めるように一斉に声を上げる。場の雰囲気が一気に明るくなったことにナマエは安堵しつつも、サスケにちらりと視線を配った。だがそれ以上、踏み込んではいけない気がして、すぐに目を逸らす。
カカシは二人の責める言葉は軽くいなし、ナマエの方を向いた。
「自己紹介は終わったのかな?」
「いや、ああ、はい……」
ナマエは少し戸惑いながらはいともいいえともつかない様子で答えた。カカシは少し困ったかのようにサスケに視線をむけたが、口から出かかった言葉を紡ぐ前にナルトの声にふさがれた。
「そういやナマエが第七班に所属って、どういうことだってばよ?!」
「そうよ! 何も聞いてないわ!」
カカシは困ったように肩をすくめて、説明を始める。
「実はナマエは特殊な事情があって、アカデミーには通っていない。だけど昨日、下忍となり、第七班に加わることになったんだ」
「ま、仲良くしてやってくれよ」
いつもの戯けたような調子でそう言い、カカシは頭を掻いた。
(……どうすればいいんだろう)
ナマエが困ったように4人を見たが、ナマエの心配は杞憂に終わった。
ナルトがすぐに立ち上がり、ナマエにスッと明るく手を差し出したのだ。
「じゃあ、ナマエ! よろしくな!一緒にがんばろうってばよ!」
ナマエはその手を見つめ、一瞬だけ判断が遅れた。「よろしく」とだけ答え、遅れて、かすかに笑みを形にする。
サクラも少し照れたように笑いながら言った。
「私はサクラ。よかったら、わからないことがあったら何でも聞いてね」
「ありがとう。そう言ってもらえると心強いです」
「敬語はなしにしましょ。仲間だもの」
表面的には嬉しそうにしつつも、ナマエの胸中には一抹の戸惑いが浮かぶ。
(……仲間?)
それは彼女がこれまで所属してきた暗部の殺伐とした空気とは大違いだった。
――関わるな
――他人と、深く関わるな
その言葉が、理由もなく浮かぶ。
だがそんなことをおくびにも出さぬようナマエは少しだけ笑った。それをはじけさせるかのようにナルトは隣に立っていたサスケの背中を、バシッと叩く。
「なぁ、サスケ! お前もちゃんと挨拶しろよ!」
不意をたたかれたサスケが、ちらりとナルトを睨んだ。だが、ナルトはまったく怯まず、ニヤニヤと悪戯っぽい笑みを浮かべたままだ。
「お前に指図されるいわれはない。」
「なにぃー!?せっかく新しい仲間が来たってのによぉ〜、ちょっとは協力する気見せろよなー!」
「ナルトくん、私は大丈夫だよ」
「何も大丈夫じゃないってば!!」
ナルトがむきになってまくし立てるが、サスケは態度は改める気はないようで、腕を組んだまま隣でナルトがギャアギャア騒ぐのを無視した。
サスケの反応は相変わらず冷たいままだった。
「はい、そのくらいにして。」
カカシは困りながらもこの様子は想定内、と言ったようで、4人に言い聞かせるように言った。
「今日の任務は……波の国への護衛だ。Dランクじゃない、Cランクだ」
その言葉に、先ほどまでの空気が一変した。一瞬の沈黙の後、ナルトの声が弾む。
「うっしゃー! 言ってみるもんだってばよ!ついに俺たちも本格任務か!」
「護衛任務ってことは……敵が出るかもしれないってこと?」
「その通り。だからこそ、このタイミングで新たにひとり加える判断をしたんだろうね」
カカシは意図ありげにちらりとナマエを見た。ナマエは、うまい具合に辻褄を合わせたものだな、とカカシの手腕に一人納得する。
「ま……あとは道中でお互いを理解し合えれば十分だ。じゃあ、依頼人も待ってるし、火影様の執務室へいくぞ」
「は〜〜〜〜い!!!」
サスケとの再会から1日が経つ。
第七班とナマエの物語はゆっくりと動き出し――過去の因縁と、未来の真実と共に、この先で交わろうとしていた。
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20260413 加筆修正</a>