8.
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「昨日サクラとイノと、久々に甘味所言ってきたんだけど、2人ともまだサスケが大好きみたい」
昼下がりの訓練場。
日陰に腰かけて、ナマエは木の幹にもたれながら笑っていた。
イタチはその隣に立ち、ほんのりと微笑んだ。
「……サクラもイノも、元気そうで何よりだ」
「うん、サスケのこと、好きになってから長いよね。……あの熱量、ちょっと羨ましくなるときある」
「…ナマエだって、これからいくらでも出来るだろう」
「んー、……まぁ、もう、恋はいいっていうかさ、」
ふとナマエがイタチの方を見上げると、彼の視線が静かに自分に注がれていた。
何気ない視線のはずなのに、その深さに少しだけ息を飲んだ。
イタチが何かを言いかけたそのとき――
「おっと、おふたりさん、いい雰囲気だね」
軽やかな声とともに現れたのは、カカシだった。手には小説を挟んだままの指。目元はいつものように緩く笑っている。
ナマエが明るく笑って声をかける。
「カカシさん。奇遇ですね、こんなとこで」
その瞬間、カカシを見るイタチの瞳がかすかに細まった。その反応を――カカシは見逃さなかった。
(ああ、なるほどね)
ほんのわずかな表情の変化。
気配の揺れ。
それだけでカカシには十分だった。
イタチがナマエを想っていること。
彼の目にナマエがどれだけ特別な存在として写ってるのか。
それが一瞬にして伝わる。
あの、沈着冷静なイタチが――
そう思うと、イタチの静かな独占欲に軽く小石を投げたくなった。
カカシの口の端が、わずかに釣り上がる。
「奇遇っていうか……ナマエに会いに来たんだ」
「え?私ですか?」
ニコ、と笑いながら、カカシは軽くナマエの前にしゃがみ込むように身を傾ける。
ナマエはぽかんとし、イタチの視線が静かに鋭さを増した。
「実はちょっと、話があって。ナマエ、今夜暇?」
「あ……え?今夜、ですか?」
ナマエが戸惑うそぶりを見せる。
「軽く食事でも、って思ったんだけど。どう?」
沈黙が落ちる。
ナマエの視線がイタチにちら、と流れるが、彼はあくまで無言を貫いていた。
「それとも、なんか用事ある?」
「え…いや、特には…」
「じゃあぜひ」
「…あ、ハイ」
「じゃ、ナマエ、七時に例の焼き鳥屋前で。じゃあね」
カカシが軽く手を振って立ち去る。
ナマエはその背を見送りながら、どこかもやもやとした空気を感じてイタチを見た。
「……イタチ、なんか、怒ってる?」
「いや」
短く返す声には感情がこもっていないようでいて、その奥に静かな冷気が潜んでいた。
「いや、でも……さっきと雰囲気違うじゃん」
「……そうか」
そう言うとイタチは、腕を組んだまま、ただナマエの隣に静かに座る。
だが、そのまなざしは遠くを見つめるふりをしながらも、意識は完全にナマエへと向けられていた。
空気が張り詰める。
ナマエは、困ったように、「最近イタチは面白かったことない?」と続けたものの、考え事をしているようで返事が返ってくる様子はなかった。
(こうなると、長いんだよな〜)
ナマエはふぅ、と小さくため息をつくと、自身もぼうっと景色を眺めることにした。
沈黙のなか、わずかに風が吹いて木々が揺れる。
その音だけが耳に届く。
「…特に、ない」
遅れてイタチの返答が届く。
ナマエは「……そっか」と呟き、また前を向く。
イタチはその横顔をちらりと見たが、目を逸らすように視線を空に向けた。
遠く、鳥の影が一筋、横切っていく。
(――そろそろ、か)
イタチは思う。
本当はもう少し、待とうと思っていた。彼女が前をむけるまでの、少しの期間。
だが、そんなふうにゆったり構える時間もないらしい。
ナマエの隣に座りながら、気づかれないように指先を軽く握る。
そうして自分だけの想いを、胸の奥深くに沈めた。
夕陽が少しずつ傾き始めていた。