3.
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数週間後に控える木の葉の祭りに向けて、里のあちこちでは準備が静かに始まっていた。
とはいえ、まだ屋台の骨組みが数本立っただけで、通りは穏やかな静けさを保っている。
その朝。訓練場の一角――
陽が斜めに差し込む木陰の下で、カカシとナマエは巻物を広げていた。
「この前“相談”したいって言ってたの、これのことだよね?」
カカシがそう口にしたのは、ナマエが巻物に指を置いたときだった。
広がっていたのは、祭り当日の警備計画図。
「はい。あの時はまだ確信がなかったんですけど……今朝、再確認して、やっぱり気になって」
ナマエが示したのは、北西通りの一角。
「ここの建物配置と、日中の影の出方の関係なんですが……。この時間帯だと、ちょうどこの路地が完全な死角になるんです。人通りも少ないので、逆に“仕掛ける側”には好都合かと」
「……ふむ」
カカシの視線が地図へ落ちる。ナマエも横から覗き込むようにして身を寄せたとき、ふと2人の顔の距離が近づいた。
(……っ、近っ……)
ナマエは反射的に少し距離をとった。
けれどカカシは、何事もないかのように巻物を見つめたままだった。
(……気にしすぎか)
カカシをちらりと見た後、内心をごまかすように一呼吸おき、ナマエは説明を続けた。
「それと……この裏手の抜け道、気づかれてましたか? 死角のすぐ先から西門まで、一本道で抜けられるんです。もし何かあった時、逃走ルートとして使われる可能性が高いと」
「なるほど」
「ですから、死角に一人警備を増やすのと、もう一人、この抜け道の出口に立たせられないでしょうか。巡回担当に無理をさせないよう、交代制の短時間警備でもいいと思っていて……」
そこまで言い切ったところで、ナマエは少し気後れしたようにカカシを見た。
「……長くなって、すみません」
カカシはその視線に応えるように、ほんの少しだけ口元を緩めた。
「いや。見落としてた。助かったよ」
カカシの指がトントン、と地図を叩いた。
「自分の範囲外のことなのに、よく気付けたな」
「いえ……カカシさんだから相談できたんです。指摘されるの、嫌がるかたもいるので。」
束の間。
「…誰のことを言っているのかな」
「一般論です」
「一般論、ね」
そのやり取りの中で、ほんの一瞬だけ空気が柔らかくなる。
でも、カカシはすぐにいつもの調子に戻って巻物を巻き直した。
「配置の件、こっちで調整しておく。また何か気づいたことがあったら教えて。」
「……了解しました」
ナマエは軽く頭を下げ、踵を返す。
その背に向けて、カカシは片手を上げて見送った。
一人残された木陰で、巻物を巻く手を止めることなく、カカシはふっと目を細めた。
久我レンーー
どうやらお前は、思っている以上に、まだナマエの心に影を作っているらしい。
とはいえ、まだ屋台の骨組みが数本立っただけで、通りは穏やかな静けさを保っている。
その朝。訓練場の一角――
陽が斜めに差し込む木陰の下で、カカシとナマエは巻物を広げていた。
「この前“相談”したいって言ってたの、これのことだよね?」
カカシがそう口にしたのは、ナマエが巻物に指を置いたときだった。
広がっていたのは、祭り当日の警備計画図。
「はい。あの時はまだ確信がなかったんですけど……今朝、再確認して、やっぱり気になって」
ナマエが示したのは、北西通りの一角。
「ここの建物配置と、日中の影の出方の関係なんですが……。この時間帯だと、ちょうどこの路地が完全な死角になるんです。人通りも少ないので、逆に“仕掛ける側”には好都合かと」
「……ふむ」
カカシの視線が地図へ落ちる。ナマエも横から覗き込むようにして身を寄せたとき、ふと2人の顔の距離が近づいた。
(……っ、近っ……)
ナマエは反射的に少し距離をとった。
けれどカカシは、何事もないかのように巻物を見つめたままだった。
(……気にしすぎか)
カカシをちらりと見た後、内心をごまかすように一呼吸おき、ナマエは説明を続けた。
「それと……この裏手の抜け道、気づかれてましたか? 死角のすぐ先から西門まで、一本道で抜けられるんです。もし何かあった時、逃走ルートとして使われる可能性が高いと」
「なるほど」
「ですから、死角に一人警備を増やすのと、もう一人、この抜け道の出口に立たせられないでしょうか。巡回担当に無理をさせないよう、交代制の短時間警備でもいいと思っていて……」
そこまで言い切ったところで、ナマエは少し気後れしたようにカカシを見た。
「……長くなって、すみません」
カカシはその視線に応えるように、ほんの少しだけ口元を緩めた。
「いや。見落としてた。助かったよ」
カカシの指がトントン、と地図を叩いた。
「自分の範囲外のことなのに、よく気付けたな」
「いえ……カカシさんだから相談できたんです。指摘されるの、嫌がるかたもいるので。」
束の間。
「…誰のことを言っているのかな」
「一般論です」
「一般論、ね」
そのやり取りの中で、ほんの一瞬だけ空気が柔らかくなる。
でも、カカシはすぐにいつもの調子に戻って巻物を巻き直した。
「配置の件、こっちで調整しておく。また何か気づいたことがあったら教えて。」
「……了解しました」
ナマエは軽く頭を下げ、踵を返す。
その背に向けて、カカシは片手を上げて見送った。
一人残された木陰で、巻物を巻く手を止めることなく、カカシはふっと目を細めた。
久我レンーー
どうやらお前は、思っている以上に、まだナマエの心に影を作っているらしい。