後日談:兄の嘘
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静かな午後だった。任務の疲れも少し残っていたけど、ようやく一息つけた頃。
俺が家の中でぼんやりしていると、ふいに玄関から控えめなノックの音がした。
「サスケくん……いますか?」
聞き慣れた声だった。扉を開けると、そこには小さな袋を手にしたサクラがいた。
「……どうした」
「これ……!この前任務で助けてくれたお礼に…!」
そう言って渡された袋の中には、絆創膏と――一枚の小さな手紙が入っていた。
サクラが照れくさそうに笑った。中身を見ずとも何が書いてあるか、だいたい察しはついた。
「……ありがとな」
俺がそう言うと、サクラの目が一瞬だけ見開かれて、それからふわっと柔らかい笑みになった。
「うん!受け取ってもらえて嬉しい!」
だが次の瞬間――後ろから唐突に、空気を読まない気配が現れる。
「おや、いいところにお邪魔したかな?」
兄だった。わざとらしく現れて、わざとらしく微笑んで。
まるで見計らったようなタイミングで。
「兄貴」
「サスケ。お前もそろそろ、好きな女の子の一人や二人、作った方がいいんじゃないか?」
あまりに唐突な言葉に、サクラの目が驚いたように大きく開いた。俺はむすっとしたまま返す。
「……兄貴に言われたくない。お前だって、いないだろ」
俺の言葉に、兄は一瞬も動じず、静かに俺の目を見据えた。
その瞳にはいつも以上に強い確信と、どこか柔らかい優しさが宿っていた。
「いる」
(………はぁ?)
俺は訝しげな顔で兄貴をみた。
が、兄貴は今まで見たことのないにこりとした表情で俺を見つめ返す。
サクラはそのやりとりに全く気づかなかったようで、目がきらきらと輝いていた。
まるで何かのスイッチが入ったように。
「それって、もしかして……ナマエさんですかっ!?」
「ああ」
「きゃー!!」
サクラは両手を胸元で握ってくるくると回りながら、「うわー、ちょっと私、用事が!」と言い残し、勢いよく玄関から出ていった。
……あれは用事というより報告という名の拡散だ。たぶん。
家に静けさが戻ると、俺は兄の方を見ながら問い詰めた。
「前に言ってたことと違うじゃないか」
「ん?」
イタチは白々しいほど爽やかな表情で振り返った。
「兄貴の同期の女……前、訪ねてきたとき、“好きな人はいない”って言ってただろ。"自分から誘ってくる子が好み"だって。
ナマエはそういうタイプじゃないだろ」
兄は、ふ、と鼻で笑った。
「……あれはあれでいいんだ」
そして、ニヤリと笑う。まるで、計画通りとでも言いたげな。
「…なに企んでるんだよ」
「なにも企んでなどいない」
「そう言っていつも出し抜くくせに」
「褒め言葉として受け取っておこうか」
そう言い残し、イタチは軽やかに背を向け、廊下を抜けて行った。
俺はその背中を見つめながら、どこか腹の底がざわつくのを感じていた。
……ずるい男だ。
だが、そこまでしてでも手に入れたい相手がいるというのなら――
それだけの価値があるってことなんだろう。
そして俺も――いつか、そんな風に人を好きになる時が来るのだろうか。
俺は玄関の方を見やった。
閉じられた扉の向こうに、少しだけ自分の未来を想像した。
遠くで、母さんの呼ぶ声がした。
Fin
俺が家の中でぼんやりしていると、ふいに玄関から控えめなノックの音がした。
「サスケくん……いますか?」
聞き慣れた声だった。扉を開けると、そこには小さな袋を手にしたサクラがいた。
「……どうした」
「これ……!この前任務で助けてくれたお礼に…!」
そう言って渡された袋の中には、絆創膏と――一枚の小さな手紙が入っていた。
サクラが照れくさそうに笑った。中身を見ずとも何が書いてあるか、だいたい察しはついた。
「……ありがとな」
俺がそう言うと、サクラの目が一瞬だけ見開かれて、それからふわっと柔らかい笑みになった。
「うん!受け取ってもらえて嬉しい!」
だが次の瞬間――後ろから唐突に、空気を読まない気配が現れる。
「おや、いいところにお邪魔したかな?」
兄だった。わざとらしく現れて、わざとらしく微笑んで。
まるで見計らったようなタイミングで。
「兄貴」
「サスケ。お前もそろそろ、好きな女の子の一人や二人、作った方がいいんじゃないか?」
あまりに唐突な言葉に、サクラの目が驚いたように大きく開いた。俺はむすっとしたまま返す。
「……兄貴に言われたくない。お前だって、いないだろ」
俺の言葉に、兄は一瞬も動じず、静かに俺の目を見据えた。
その瞳にはいつも以上に強い確信と、どこか柔らかい優しさが宿っていた。
「いる」
(………はぁ?)
俺は訝しげな顔で兄貴をみた。
が、兄貴は今まで見たことのないにこりとした表情で俺を見つめ返す。
サクラはそのやりとりに全く気づかなかったようで、目がきらきらと輝いていた。
まるで何かのスイッチが入ったように。
「それって、もしかして……ナマエさんですかっ!?」
「ああ」
「きゃー!!」
サクラは両手を胸元で握ってくるくると回りながら、「うわー、ちょっと私、用事が!」と言い残し、勢いよく玄関から出ていった。
……あれは用事というより報告という名の拡散だ。たぶん。
家に静けさが戻ると、俺は兄の方を見ながら問い詰めた。
「前に言ってたことと違うじゃないか」
「ん?」
イタチは白々しいほど爽やかな表情で振り返った。
「兄貴の同期の女……前、訪ねてきたとき、“好きな人はいない”って言ってただろ。"自分から誘ってくる子が好み"だって。
ナマエはそういうタイプじゃないだろ」
兄は、ふ、と鼻で笑った。
「……あれはあれでいいんだ」
そして、ニヤリと笑う。まるで、計画通りとでも言いたげな。
「…なに企んでるんだよ」
「なにも企んでなどいない」
「そう言っていつも出し抜くくせに」
「褒め言葉として受け取っておこうか」
そう言い残し、イタチは軽やかに背を向け、廊下を抜けて行った。
俺はその背中を見つめながら、どこか腹の底がざわつくのを感じていた。
……ずるい男だ。
だが、そこまでしてでも手に入れたい相手がいるというのなら――
それだけの価値があるってことなんだろう。
そして俺も――いつか、そんな風に人を好きになる時が来るのだろうか。
俺は玄関の方を見やった。
閉じられた扉の向こうに、少しだけ自分の未来を想像した。
遠くで、母さんの呼ぶ声がした。
Fin
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