12.
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夕暮れが里を包み込む頃、その日の木の葉の里は祭りの準備で慌ただしくも温かな空気に満ちていた。
赤や白の提灯が竹竿に吊るされ、徐々に灯りがともり始める。その柔らかな光は街道や家々の軒先をぼんやりと照らし出した。
商店街では屋台の骨組みが仕上がり、焼き鳥やみたらし団子の甘く香ばしい匂いが夕風に乗って里中に広がっている。
子どもたちの笑い声が夕闇の中に響き渡った。
ナマエは、提灯の光に照らされる石畳や人々の笑顔を見つめていた。
祭りの夜がもうすぐそこまで来ている。
イタチと外れ道の東屋に腰掛ける。
訓練帰り、偶然鉢合わせた二人は、何となくの流れでこの場所に落ち着いた。
しかしながらいつもなら話を振るナマエが黙ったままだろうか、イタチとの空間もいつもよりも沈黙が続いていた。
(祭りまで、あと2日か……)
ナマエは夕暮れの中、遠くに灯る大屋敷の提灯を見上げた。
祭りの夜は、いつもとは違う木の葉の里の姿を見せてくれる特別な日だ。
しかしながら彼女の心は、決して明るい気持ちではなかった。
ナマエは、黙ったままのイタチの横顔をちらりと見る。いつものように冷静で、感情の起伏を見せない面差し。
けれど、その沈黙が、今日はどこか鋭く、彼女の胸を少しずつ締め付けていく。
「……ユズと、仲良いんだね」
ナマエは何気ないふうを装って口にした。イタチの肩がほんのわずかに動く。
「……ああ。あいつは、分かりやすいな」
淡々と返された言葉に、ナマエは笑うふりをして視線を逸らす。その目元は、どこか強ばっていた。
「そっか。わかりやすい子の方がいいよね」
その言葉にイタチがふっと目を細め、少し間を置いてから静かに言った。
「お前は――難しい」
その一言で、ナマエの心がびくんと跳ねた。
まるで拒絶されたような、思いが届かないような――そんな痛みが胸を走る。
「……そう、かな」
ナマエは小さく笑ったが、その笑みに滲んだ感情は複雑だった。
かすかに揺れる睫毛が、感情の揺れを物語っている。
「ああ。ナマエは、自分を隠すのが上手い」
「……そんなふうに見える?」
「見えるよ」
イタチの声が、ほんのわずかに柔らかくなる。
少しの間が空いた後、イタチが再び切り出した。
「……お前が昔、レンと付き合ってた時、」
ナマエは息を呑んだ。イタチに話した覚えはない。
シカマルにも深くは話していないはず――。
「詳しくは知らない。だが……心から笑っていたのは、初めだけのように見えた」
ナマエは視線を落とし、手元で指を組んだ。
風がふわりと通り過ぎ、彼女の髪が頬を撫でた。
「イタチには、なんでもお見通しなんだね」
「そうじゃない。ただ――」
イタチの視線が、ナマエをまっすぐに射抜いた。
「お前のことを見ていただけだ。」
ざわりと風が吹き荒れた。
なんと返していいのか、わからなかった。
言葉はすぐそこにあるはずなのに、喉の奥でひっかかって、うまく形にならない。
彼の言葉は、曖昧だった。
明確な肯定も否定もできない。
それなのにーーいや、それだからこそ、胸は不安と期待でかき乱される。
「俺は…隣にいるだけの幼馴染みなのか」
問とも呟きとも取れる言葉。
目の前にあるはずの言葉が、喉の奥でひっかかって出てこない。
胸が締めつけられ、呼吸が浅くなる。
胸の奥がざわついて、止まらない。
彼の視線をまっすぐ受け止めることができず、ナマエは俯いた。
イタチは多分、自分のことが――
いや、でも。
恋にしてしまったら、終わってしまう。
その恐れが、ずっとナマエの中に根を張っていた。
「………それじゃダメなの?」
ナマエは、ただ俯き、震える声で聞いた。
言葉にしきれない涙がこみ上げてくるのを必死で堪えていた。イタチの気持ちを知りたくて、いや、知りたくなくて。
「………わかった。」
イタチはそう呟いた。
二人の息遣いだけが、静かな風に溶けていく。
沈黙が、切なさの形をして、そっとその場に広がっていった。
赤や白の提灯が竹竿に吊るされ、徐々に灯りがともり始める。その柔らかな光は街道や家々の軒先をぼんやりと照らし出した。
商店街では屋台の骨組みが仕上がり、焼き鳥やみたらし団子の甘く香ばしい匂いが夕風に乗って里中に広がっている。
子どもたちの笑い声が夕闇の中に響き渡った。
ナマエは、提灯の光に照らされる石畳や人々の笑顔を見つめていた。
祭りの夜がもうすぐそこまで来ている。
イタチと外れ道の東屋に腰掛ける。
訓練帰り、偶然鉢合わせた二人は、何となくの流れでこの場所に落ち着いた。
しかしながらいつもなら話を振るナマエが黙ったままだろうか、イタチとの空間もいつもよりも沈黙が続いていた。
(祭りまで、あと2日か……)
ナマエは夕暮れの中、遠くに灯る大屋敷の提灯を見上げた。
祭りの夜は、いつもとは違う木の葉の里の姿を見せてくれる特別な日だ。
しかしながら彼女の心は、決して明るい気持ちではなかった。
ナマエは、黙ったままのイタチの横顔をちらりと見る。いつものように冷静で、感情の起伏を見せない面差し。
けれど、その沈黙が、今日はどこか鋭く、彼女の胸を少しずつ締め付けていく。
「……ユズと、仲良いんだね」
ナマエは何気ないふうを装って口にした。イタチの肩がほんのわずかに動く。
「……ああ。あいつは、分かりやすいな」
淡々と返された言葉に、ナマエは笑うふりをして視線を逸らす。その目元は、どこか強ばっていた。
「そっか。わかりやすい子の方がいいよね」
その言葉にイタチがふっと目を細め、少し間を置いてから静かに言った。
「お前は――難しい」
その一言で、ナマエの心がびくんと跳ねた。
まるで拒絶されたような、思いが届かないような――そんな痛みが胸を走る。
「……そう、かな」
ナマエは小さく笑ったが、その笑みに滲んだ感情は複雑だった。
かすかに揺れる睫毛が、感情の揺れを物語っている。
「ああ。ナマエは、自分を隠すのが上手い」
「……そんなふうに見える?」
「見えるよ」
イタチの声が、ほんのわずかに柔らかくなる。
少しの間が空いた後、イタチが再び切り出した。
「……お前が昔、レンと付き合ってた時、」
ナマエは息を呑んだ。イタチに話した覚えはない。
シカマルにも深くは話していないはず――。
「詳しくは知らない。だが……心から笑っていたのは、初めだけのように見えた」
ナマエは視線を落とし、手元で指を組んだ。
風がふわりと通り過ぎ、彼女の髪が頬を撫でた。
「イタチには、なんでもお見通しなんだね」
「そうじゃない。ただ――」
イタチの視線が、ナマエをまっすぐに射抜いた。
「お前のことを見ていただけだ。」
ざわりと風が吹き荒れた。
なんと返していいのか、わからなかった。
言葉はすぐそこにあるはずなのに、喉の奥でひっかかって、うまく形にならない。
彼の言葉は、曖昧だった。
明確な肯定も否定もできない。
それなのにーーいや、それだからこそ、胸は不安と期待でかき乱される。
「俺は…隣にいるだけの幼馴染みなのか」
問とも呟きとも取れる言葉。
目の前にあるはずの言葉が、喉の奥でひっかかって出てこない。
胸が締めつけられ、呼吸が浅くなる。
胸の奥がざわついて、止まらない。
彼の視線をまっすぐ受け止めることができず、ナマエは俯いた。
イタチは多分、自分のことが――
いや、でも。
恋にしてしまったら、終わってしまう。
その恐れが、ずっとナマエの中に根を張っていた。
「………それじゃダメなの?」
ナマエは、ただ俯き、震える声で聞いた。
言葉にしきれない涙がこみ上げてくるのを必死で堪えていた。イタチの気持ちを知りたくて、いや、知りたくなくて。
「………わかった。」
イタチはそう呟いた。
二人の息遣いだけが、静かな風に溶けていく。
沈黙が、切なさの形をして、そっとその場に広がっていった。