第164幕
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「なんなの?お前は。なんでそんなに自分のことを大事にしないわけ?」
『別に大事にしてないわけじゃ……』
「大事にしてないでしょうが。お前さ、それいい加減直してくれる?」
普段海に怒ることのない銀時が怒っている。あまり見せない憤怒の顔を向けられて身構える海。なんでコイツはこんなに怒ってるんだ?と困惑し、黙り込んでしまった。
「もうそれやめくれよ。頼むから。それやられる度にどんだけ心配してると思ってんの?」
『ご……め、』
緊張して理解が追いつかない海がやっとの思いで絞り出した言葉。謝ったつもりなのに、益々銀時は不機嫌そうに海を睨む。
「謝ればいいと思ってんの?これさ、春雨だかラーメンだかの時もやってんだろ。なんですか?海くんはちょっと前のことも忘れちゃうんですか?まさか海くんは鳥頭だったんですか?」
つらつらと紡いでくる銀時に海はもう頭が追いつかなかった。怪我の痛みもそっちのけで、なんとかして銀時の怒りを抑えねばと考えてみるも、銀時の饒舌ぶりに全て吹っ飛んでしまった。
「さっきから黙ってるけどなんか言うことないわけ?え?」
『え、あ……?』
「なに?脇腹と背中以外にも怪我でもしたの?ちゃんとしゃべッ」
「あんたはさっきから何ネチネチキレてんだよ!!!!!」
喋れないの?と聞こうとした銀時が新八の飛び蹴りによってお登勢の店の中へと吹っ飛ばされていく。目を丸くしながら飛んで行った銀時の方を見つめる海に、新八が深いため息をついた。
「海さん、無理しちゃダメですよ?」
『……新八まで言うか』
「いや、あそこまではグチグチ言いませんけど……でも、無理して欲しくないのは銀さんと同じです」
困ったように笑う新八に海は反論しようと開けた口を閉じて押し黙る。そんな海を見た新八がゆるりと笑みを浮かべた。
「銀さんのことなら大丈夫ですよ。僕と神楽ちゃんが居ます。それに街のみんなも居る。だから、心配しないでください」
ね?と諭すように言う新八にゆっくりと頷いた。新八の優しげな声に固まっていた身体が解れた時、銀時が店からふらりと出てきて、また海の身体はピシッと固まる。
「銀さん!ちょっと言い過ぎですよ!海さんこんな怯えてるじゃないですか」
「あ?これぐらい強く言わなきゃコイツは気づかねぇんだよ」
また怒られるのかと身構えている海を見た銀時は「あー……」と唸りながら頭を雑に掻きむしる。
「お前が無理して動き回るとこっちが心配になるの。それはわかった?」
『わかっ……た』
「もう無理しない?」
『しない、』
「本当に?」
銀時の言葉に力強く頷けば、銀時はホッと息を吐いた。
「悪い、言いすぎた。怖がらせちまったな」
『いや、俺もごめん』
「いーよ。でも、次はねぇからな?」
ぽすりと海の頭の上に乗る銀時の手。優しく撫でる手が気持ちよくて、海は無意識にその手に擦り寄るように頭を寄せた。
「銀さん、鼻血出てますけど」
「あ?これはさっきお前に蹴られた時のだわ」
「店から出てきた時には鼻血なんて出てなかったんですけど」
「そりゃこういうのは遅れて出てくるもんだろうが!」
「あんた海さんがデレてるからって調子乗りすぎなんだよ!!!!!」
大人しくしている海の頭をわしゃわしゃと撫で回す銀時に吠える新八。そんな三人を神楽が唾を吐きながら呆れた顔で見ていた。
「お前ら早く次郎長でも平子でも誰でもいいから片付けろヨ」
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