第163幕
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「だから姐さんは苦手なんですよ」
ここに来るまでに海が声をかけてきたという人たち。かぶき町を、お登勢の店を守って欲しいと声をかけたと言った海はにやりと不敵な笑みを浮かべていた。
真選組副長補佐として動く海を、街の人達が知らないわけが無い。特に海は街の人達に優しく、困っている人がいるならいくらでも手を貸すような人。
火消しの女と仲良さげに話す海。以前、火事が起きた時に建物に取り残された子供を助けに入った海に世話になった。そのお返しをここですると意気揚々と女は叫んだ。
通りの方からはカラクリを従えたジジイ。祭りの時に騒ぎを起こした張本人だが、主犯格を知っていた海が事を収めようと動いた為、源外は捕まらずにいた。
「あれ!海くんじゃないか!」
『長谷川さんも来てくれたのか』
「おう!銀さんには大分世話になったしよ、それに海くんにもな!」
源外のカラクリと共に歩いていたのは長谷川。海が嬉しそうに微笑むと、長谷川は顔をほんのりと赤くしながら微笑み返した。
「銀さん、あの長谷川さん凄く気持ち悪いですね」
「あ?マダオはいつも気持ち悪いだろうが。おい、海から離れろ。ウチの子から離れろ」
「銀ちゃん!平子よりマダオ先に潰すネ。じゃないと海が汚されちゃうアル」
「ねぇ、なんで俺そんな待遇なの!?助けに来たのになんで敵として見られてんの!?」
「「「海に近づくんじゃねーよ」」」
『…………おい』
万事屋三人に冷たい目で見られた長谷川は海に縋るように引っ付いて泣き始め、海は三人に呆れた顔を向けたが、三人ともあらぬ方を見つめ、海から顔を逸らした。
続々と店の前へと集まってくる人たち。既にその人数は西郷と平子が連れてきた手下たちよりも上回っていた。
『どうする?平子』
この人数相手にしてもなお、店を潰そうというのか。そう問いかける海に平子は焦りの色を見せたが、海の問いかけを笑うように一蹴した。
「数だけ揃えたところで何になるっていうの!相手は堅気衆、まとめて殺っちゃいなさい!」
『堅気といえど、守るものがあるならば人は強くなるんだよ』
人を殺したことも無いような奴らに何ができるというのだと笑う平子に海が静かに呟く。
「ねぇ、姐さん。こんなこともうやめましょうよ。姐さんの大切な街の人達が殺されてもいいんですか?」
『誰一人として殺させねぇよ』
あぁ、その顔だ。その目だ。何もかもが気に入らない。
「私、姐さんのこと嫌いなんですよー」
『そりゃ残念なことで。俺は可愛い妹が増えた様に思ってたわ』
至極残念だ。と呟く海は本当に残念そうに、寂しそうな顔をした。その顔が気に食わない。腹立たしい。平子は言い表せぬ怒りを手に込めて海へと刀を振り上げた。
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