第163幕
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「残念でしたねー兄貴。雑魚相手に時間稼いでるようでしたが、泥棒猫は帰ってきませんよー。あのドラ猫じゃ西郷さんの息子も姐さんも盗めない。たとえ、てる彦君と姐さんのもとまでたどりついたとしても、そこには華佗の勢力とおやじがいます。万に一つも生きて帰ることは不可能ですよー」
「あんたら……そんなマネを……」
キャサリンに頼んだのは西郷の息子と海を取り戻すこと。以前、盗みを働いていた私ならそんなもん簡単に取ってこれると胸を張っていた彼女。
そう易々と相手が人質を手放すわけが無い。簡単に二人を取り戻せるわけが無いのは知っている。それでもキャサリンがやると言ってくれた。ならばそれを信じて待つしかない。
"桜樹サンニハ前、世話ニナッタ。今度ハワタシガ世話スル番ネ"
きっと結婚詐欺の時のことを言っていたのだろう。キャサリンが一人で寂しくないように、暴漢に襲われたりしないようにとあの雪の日にずっとそばに居た海に恩を感じているのだろう。
キャサリンを騙して笑っていたあの男たちは皆、牢に入れられて罪を償っているという。被害にあった人たちの元にも海が一人一人顔を出して返金作業も行った。
キャサリンもその内の一人。そこまでしてくれた海を見捨てることは出来ないと飛び出して行ったキャサリンに。銀時は胸が温かくなった。
「てる彦くんならまだしも、姐さんを取り戻すなんて不可能ですよー」
「姐さん……?」
「西郷さんはご存知ないですか?兄貴のお嫁さん」
"姐さん"という単語に首を傾げる西郷。銀時が兄貴、ならば神楽が姐さんになるのかと思ったが、話の流れ的に神楽ではない。
そして銀時の嫁と来たら一人しか思い当たらなかった。
「アンタ……まさかあの子に手を出したのかい」
「……ほら、やっぱり」
「あの子に一体何したのよ!」
「ちょっと暴れてたから後ろから刺しただけですよー」
姐さんの存在が海のことだとわかった途端に西郷は殺気立つ。平子はそんな西郷に目もくれず平然と海を刺して牢に繋いだと吐き捨てるように言った。
「銀ちゃん!」
「大丈夫だ。アイツは大丈夫」
「だから、姐さんを連れ戻すのは無理ですよ。だって今頃瀕死の状態で牢の中に──」
『誰が瀕死の状態だって?』
「ほら、言ったろ?大丈夫だって」
平子の言葉を遮るように響く声。その声に西郷が反応して声の方へと勢いよく振り向く。
銀時はまっすぐと平子の後ろを見つめてホッと安心した表情をしてから緩く笑みを浮かべた。
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