第163幕
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「いよいよ……ですね」
「新八ィ、死ぬんじゃねぇぞ!」
「ちょっと、神楽ちゃん!そんなフラグ立てるようなこと言わないでよ!」
「こんなところで死んだら海の弟子って名乗らせないアル」
「死んだら名乗れないでしょうが!!」
「おい、お前ら!騒がしいんだよさっきから!!なに!?運動会気分なの!?これから保護者の皆さんと一緒に玉入れでも始まるの!?そんなもん他所でやれ!俺は玉入れじゃなくて"種入れ"してぇわ!」
「銀さん、それ海さんが聞いたらブチ切れますよ……」
スナックお登勢の暖簾を出している時に神楽と新八が喧しく騒いでいるのを呆れた顔で見ていた銀時。深くため息をついて冷めた目で二人を見たが、逆に二人から極寒の眼差しを浴びて銀時は冷や汗をたらした。
「銀時様、そろそろ予定の時刻です」
三人で言い合っている所へとたまが声をかける。西郷たちが店を潰しに来る時間が刻々と迫ってきていた。
「わかってんだろうな」
「はい!絶対に死にません。銀さんも死なせません!」
「大丈夫ネ。私たちがちゃんと守るアル」
「はいはい。ほら、早く配置つけ」
しっしっと軽く手を振って二人を店の前から移動させる。銀時もお登勢の店の中へと入り、カウンター席へと腰を下ろした。
買ってきたいちご牛乳を飲みながら店の中をぐるりと見渡す。この店に来てから色んなことがあった。
神楽と新八にも会ったし、たまとキャサリンにも出会えた。確かに辛いことや痛いこと、悲しいこともあったが、それ以上に楽しいことや嬉しいこともあった。何度も腹の底から笑った。
「海とも再会できたし、な」
良い再会の仕方ではなかったが、それでもまたこうして会うことが出来た。昔とは違う距離感で彼の傍に居られる。それもこれも全部、あの日があったからだ。
あの日、お登勢が旦那の墓参りに来なかったら。自分はあの場で餓死していたかもしれない。ここにこうやって座っていなかったかもしれない。
「……約束、果たす時が来たみてぇだわ」
感傷に浸る銀時の耳へと届いた声。平子がこの店を壊そうと意気込んでいるのが聞こえる。
お登勢不在のはずなのに暖簾が出ていることを不審に思ったやつらが、店の戸を開けるまでもう少し。
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