第161幕
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「ようやく借りが返せる時が来たな。前に言うたやろ、わしゃ借りたもんはきっちり返す。3借りたら7や言うて」
どさりと銀時の前に投げ渡される海。痛みに呻きながらも勝男を睨む目に怒気を含ませていた。
「海、大丈夫か?」
『な、んとか』
ゆっくりと上体を起こして銀時に苦々しく微笑む海。腹部にアザが出来たのか、背筋を伸ばそうとするとビクッと身体を震わせて背を丸めていた。
「今どき七三分けなんかはやんねぇし、この際すっきり丸刈りにしておしゃれ坊主にでもしてみたらどうですか」
「じゃかあしい!わしの七三は○ダギリジョー顔負けのおしゃれ七三や。ファッションゆうんは輪廻転生を繰り返すもんなんじゃ」
「待て待て。僕はこのモッサリ娘に唆されたのであって、君らに一切の敵意はないんです、ダサ刈ジョー」
「誰がダサ刈ジョーじゃ!あとな、義弟にそないなこと言うたるなや。知っとるで?一緒にオジキに赤い花飾る約束したんやろ?」
『……バレてるな』
「なぜそれを!?」
焦る銀時を後目に海は平子を見る。俯く平子はにやりと笑みを深くして海を見つめ返していた。
『お前……まさか』
「察しがいいなぁってやだなぁー……姐さん」
顔を上げた平子は楽しそうな顔を浮かべる。だが、海に向ける目は暗く冷たい瞳。
「姐さんは要注意だったんですよー。何かと探るような目をしてたからー。だから隠すの大変だったんだから」
「え……どういうこと……?海くん?え??」
『最初からこの子は……』
俺たちを嵌めていた。そう呟いた海に銀時は青ざめる。何に嵌めたのかはわからない。だが、確実に何かに巻き込まれたことは明白だと海は続けた。
「兄貴、姐さん。わしのオジキは次郎長と元は親戚、古くは友人だったんです。幼い頃、よく聞かされました。侠の中の侠、大侠客次郎長親分の話を」
平子がオジキから聞いた話を淡々と話していく。その間、海はバレぬように自身を縛る紐を解いていた。
嫌な予感がする。平子が銀時を裏切るのは確実。その理由さえ分かればいいのだが、如何せん気絶してしまっていたせいで状況が把握出来ない。
銀時の表情から察するに銀時も理解出来ていないだろう。
『(何が起きてんだよ……)』
平子は自分のところのコンクリートを破壊してゴミ箱から飛び出る。残された銀時は困惑しかなかった。
「え?なに言ってんの?この子……意味わかんないんだけど……え、海意味わかった?ねぇ、わかった!?」
『要は……今は荒れて見る影もなくなった次郎長の"花"を戻したいってことだろ』
「え??全然わかんないんだけど!?」
『……バカ。もういい』
呆れて首を振る海に困惑がピークに達した銀時がゴミ箱をガタガタ揺らしながら海へと詰め寄る。
が、海は銀時から半歩離れて冷めた目で見つめた。
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