第157幕
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一仕事終えたと一息ついた所で、背後に人の気配を感じて木刀を握る手に力が入る。部屋へと一歩踏み込んだ瞬間に相手の首元へと木刀の先を向けた。
「気は済みましたか?坂田さん」
そこに居たのはきょとんとした朔夜。銀時の木刀が自分の首に向けられているというのに微動だにせず、そこに突っ立っていた。
「なんでここにいんだよ」
「兄さんから頼まれてここに来たんです。外道ローンが詐欺に関わっている。証拠を入手次第、逮捕しろって」
朔夜は銀時の顔を見ずに倒れて動かない末次郎へと近づき着物を探る。中から出てきたのは小さな黒いもの。
「これが証拠として使えるのかはまた別問題な気がしますけどね」
そう言って苦笑いを浮かべる朔夜に銀時は深いため息をついて頭を抱えた。
「お前ら……俺を使ったな?」
「そんな事ないですよ。僕が先についてたら僕が片付けてました」
「あんな人数、お前一人でどうにかなるようなもんじゃねぇだろ」
「今の僕は前の僕とは違うんですよ。毎日兄さんに稽古つけてもらってます。さっきの坂田さんの剣筋だって、ある程度は見抜けましたし」
銀時は朔夜の言葉にあんぐりと口を開ける。自分の剣筋が見えていた?今まで剣を使ったことのなかった朔夜が?と。
海に教わったといえども、そんな早く会得出来るものだったか?海の剣技は銀時の力技とはまた違う。
海のあの俊敏さを他の人間がたった数年で身につけられるようなものなのか。弟子として海に教えられている新八でさえも危なっかしいところがあるというのに。
朔夜が倒れている奴らの脈を測っているのを見て、かぶりを振って考えるのをやめた。あの海が教えたのだ。そりゃ出来なくても出来るようにするか。と。
「坂田さん!兄さんが……」
「んぁ?」
朔夜が差し出す携帯。それを受け取って画面を見ずに耳へと押し当てる。
「もしもし?」
"銀時か?"
「おう。どうした?」
"助かった"
「あー……やっぱ俺使われてたのね?」
"使った訳では無いが、まぁ、こちらの手間は減ったからな。銀時を使ったことには変わりないか"
電話越しに小さく笑う海。あぁ、今日も可愛いな。なんて思っていたら、横から足を蹴られた。痛みに顔を歪めて蹴った奴の顔を見れば、朔夜が不機嫌顔で銀時を見ていた。
"銀時?"
「いや、なんでもない。ちょっと野良猫に噛まれただけ」
"野良猫?"
「こっちの話。で?なんか用があるんじゃないの?」
"銀時は早くその場離れろ。もうすぐそっちに隊士達が来る手筈になってる。また無用な取り調べを受けたくないならそこから退散することを勧める"
「ん、わかった。そっちは大丈夫なのかよ」
"こっちは問題ない。新八と神楽が来てくれたから"
海がそういった途端、騒がしくなる外野。神楽が銀時と話しているのかと海に詰め寄っているのが聞こえてきた。
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