第156幕
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「タダイマ帰リマシタ」
からからと戸を開けて入ってきたのは先程出かけて行ったキャサリン。キャサリンの声にぴくりと体を揺らして銀時は顔を上げる。
「あ?ザクの帰還か?メカニックさん、メンテナンスしてあげて」
海にとたまが持ってきた毛布を銀時は受け取り、器用に海を毛布で包む。
「スイマセン、遅クナッチャッテ。チョットソコデ大荷物抱えたご老人がいたもので。給料から差し引いといてください」
戸を閉めたキャサリンがこちらへと顔を向ける。カタコトだった話し方に滑らかさが生まれ、お世辞にも可愛いと言えない顔面も、美人顔になっていた。
そんな顔に銀時は飲もうとしていた酒を口元からダラダラと零していく。
「銀時さま、そのままじゃ海さまが酒まみれになります」
「あ?ああ……え?」
コップの中の酒は全部毛布の上に零してしまった。酒の冷たさに小さく唸る海。薄らと開かれた目が銀時を捉えた。
『ぎ……』
「わり、起こしちまったか?」
『冷たい……』
「海さま、どうぞこちらに」
まだ眠そうに目を擦る海に手を伸ばすたま。うーん?と唸る海は伸ばされた手へと自分の右手を伸ばす。
ソファの方がゆっくり眠れると思いますよ、とテーブル席へと海を誘導し、また新しく毛布を取りに店の奥へと引っ込んだ。
『いや……俺もう上行って……寝るわ……』
「え、なに?今日泊まれるの?」
『ん……』
返事とも言えない返事をする海にキャサリンが小さく微笑み、ソファの背もたれにもたれ掛かる海の元へと歩み寄る。
「今日もお仕事お疲れ様です、桜樹さん」
にこりと笑うキャサリンの後ろに煌びやかな華が咲いたように見えた。
『…………誰』
「そりゃそうなるよな!?ちょっとスルーしちまったけど、そうなるよな!?!?」
海の前に膝をついて微笑むキャサリン。海はぼうっとした顔でその顔を見つめるが、眠い頭では目の前の人物が誰なのかわからず首を傾げた。
「今夜はゆっくりしていってくださいね」
『……いや、誰』
「海さま、キャサリンさんです」
『へ?』
たまの一言に驚く海。たまから毛布を受け取り、再度キャサリンの方を向く。変わらずにこにこと笑顔を浮かべるキャサリン。
『ず、随分と……お綺麗になったもので……?』
キャサリンの変わり様に海の眠気は完全に吹き飛ぶ。そしてこれはどういう状況なんだと銀時を見た。
「恋したら骨格も性格も変わったらしいぜ」
『まじかよ』
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