第156幕
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「いいか、ザクはどんなにパテ塗りたくってもガンダムにはなれねぇんだよ。データ書き直しとけ」
腕の中で眠る海の頭を撫でながら、銀時はお登勢に出されたツマミを頬張る。
話し声に反応したのか、海がもぞりと身動きすれば、銀時もそれに合わせて抱く力を弱めた。不安定なところで寝ているのに起きる気配のない海にお登勢が目を細める。
「なんだい。また徹夜でもしてんのかい」
「さぁな。最近外でみかけねぇから。今日久しぶりにコイツに会ったんだよ」
見回りの度に会っているわけではないのだが、それでも外にいる時はよく顔を合わせている。それが最近めっきり減った。
真選組の隊服が視界に入れば嫌でも反応してしまう。じっと目で追い、海だったらいいな、と期待をしながら近づく。
だが、そのほとんどが見当違いの相手。まだ朔夜やあのドS王子ならいい。瞳孔ガン開きのマヨラーにでも会ってみろ。何もしてないのに銀時を逮捕しようとするのだ。
「(ま、アイツ海のこと好きなんだろうけど)」
土方の態度を見ていればわかること。海を見ている目が、海と話している時の表情が柔らかく感じる。海はきっと気づいてないだろうけど、あれは誰が見ても気があると気づくだろう。
なんせあの目はよく知っている。どっかのぶっ壊そう坊ちゃんも同じ目をしていたのだから。
「(もうコイツは俺のなんだよ。誰にもやらねぇ)」
だから海に指輪を渡したのに。それが全くと言っていいほど役に立ってない。
この間なんかあの陰陽師に求婚されたと海から聞いた。その後、ぶん殴りには行ったが。
「(海、海……)」
眠る海をぎゅっと抱きしめる。離さないように、離れないように。
「お登勢さん。銀時さまが自分の世界に入り込んでしまっています」
「はぁ……ほっときな。それよりたま、毛布持ってきておやり」
「はい。わかりました」
毛布を取りに店の奥へと行ったたまを見送る。そして海を抱きしめて項垂れている銀時にお登勢はため息をついた。コイツはいつか海を中心にしか物事を見れなくなるのではないかと。
「(まったく、これだから若い連中は)」
海と銀時、キャサリンとその彼氏。その行く末に一抹の不安を抱きながら、ゆっくりと紫煙を吐き出した。
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