第155幕
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山崎の元へ出向いてから1ヶ月程だった頃、攘夷浪士たちに動きがあった。
鈍兵衛の姉へと近づいた攘夷浪士たちは一人残らず捕まえることに成功。今は全員取り調べを受けている頃だろう。
『土方、』
「俺が言う。お前は黙ってろ」
『そうか』
ベッドに横になっているのは見張りをし続けていた山崎。
山崎が見張っていた楢崎 幸は弟の鈍兵衛と共に組織の金を持って逃走した。最初から姉弟で計画していたことだった。
長く見張りをしていて、心身共に限界が来ていた山崎に肉じゃがの差し入れをした楢崎 幸。彼女は肉じゃがに毒を盛り、山崎が動けなくなったところを狙って、弟と共に姿を消した。
『山崎に申し訳ないことしたな』
「あ?」
『彼女を守ってくれって言ったのによ。その女からこんな仕打ちをされるなんて思ってもみなかっただろ』
監視対象から保護対象として山崎は彼女のことを見張っていたはずだ。そんな彼女に毒を盛られたなんて知ったらどう思うか。
「後から言ったって仕方ねぇ。山崎を不憫に思うなら、あの女も鈍兵衛も捕まえるまでだ」
眉を下げて俯く海。土方は気まづそうな顔で煙草をくわえて火をつけた。
数十分後、山崎は目を覚ました。土方から告げられた事に驚き、そして落ち込んだ。
「なんて顔してるんですか、副長補佐」
『いや……山崎に辛い思いをさせたから……』
「そんなことありませんよ。仕事なんですから仕方ないです。これが俺の仕事なんですから」
『お前の報告書見たんだよ。最初の数枚はきちんと書いてあったんだけどよ、後半の数十枚は狂ったようにあんパンしか書かれてなくて……』
ちゃんと弁当を差し入れに行けば良かった。と呟く海に山崎はあんパンに毒された時のことを思い出して青ざめた。
「だから言っただろうが。あんパンばっか食ってんじゃねぇって」
「で、でも!見張りにはあんパンと牛乳なんですよ!見張りを成功させる為に必要なもんなんです!」
「報告書にあんパンばっか書いて何が成功だ!」
「そ、それは……あんパンがあんパンで、あんパンに……」
「やかましい!!」
『次からは弁当持っていくわ。つか、出前頼めよ』
あんパンあんパンあんパンと呟き始めた山崎の頭を引っ叩く土方。海は次からは山崎の体調管理も視野に入れようと固く誓った。
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