第153幕
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「俺はなんでもいいと思いますけどね」
『なんでも?』
「はい」
にこりと微笑む山崎に海は首を傾げる。
「朔夜くんへのプレゼントですよね?」
『一応は』
「なら大丈夫ですよ。副長補佐からのプレゼントならなんでも喜ぶと思いますよ」
『……でも』
「自信持ってくださいよ。なんなら一緒に見に行きましょうか?」
きっと海から手渡されたものならばあの子はなんでも喜ぶはず。例えそれがお菓子であっても、物であっても。
それでも思い悩む海の姿に山崎は心温まるものを感じた。朔夜の為に悩む海の姿を本人に見せてあげたいものだ。
朔夜の前では厳しい兄のように見えるが、こうして朔夜がいない所ではまだまだ兄として初々しい姿を見せる。
「(見てる俺が恥ずかしくなっちゃうな)」
うーんと悩む海に山崎はとりあえず近くの店にでも入ってみましょうと声をかける。捕まえた攘夷浪士は連れてきた隊士たちに任せ、山崎と海は近場の店へとその身を潜らせた。
『山崎は朔夜とよく話してるよな?』
「ええ。俺がよく庭にいるので」
『なんか……アイツから聞いてないか?何か欲しいとか』
「いや、そんな話はしたことは……あっ」
ふと思い出した朔夜の言葉に山崎は足を止める。横から海が訝しげに山崎を見つめた。
「"もう少しお話したい"だそうですよ」
『話?』
「副長補佐っていつも朔夜くんと話す時、仕事の事ばかりじゃないですか。そんな話じゃなくて、もっと他のことを話したいって」
『別の、こと』
「ほら、沖田隊長や副長と話してる時みたいに砕けた会話がしたいんですよ。てか、してなかったんですか?」
腹違いといえども兄弟には変わりないのだ。総悟や土方よりも色んな話をしていると思っていたのだが、朔夜から聞いた話はそんな軽いものではなかった。
口を開けば業務内容ばかり告げてくる海。朔夜は今日あったことや頑張ったことを報告して海に褒めてもらおうと健気にも声をかけたつもりだったのだが、それを海が聞かずに去ってしまっていた。
だからこそ朔夜からあんな言葉が出てきたのだろう。山崎は俯く海にこの人はどれだけ不器用なのだろうかと苦笑いを浮かべた。
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