第153幕
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「兄さん!そっちに行ったよ!」
『朔夜!お前は裏手から回り込め!』
力強く頷いた朔夜は海とは別のルートへと走り出す。海は変わらず、攘夷浪士の背中を追いかけた。
クリスマス当日、海と朔夜は江戸の見回りへと出ていた。街中は華やかなイルミネーションに包まれ、道行く人皆が楽しそうにプレゼントを手にしていた。
世の中は浮かれていても、真選組まで浮かれている訳にはいかない。今日も今日とて海達は攘夷浪士相手に駆けずり回っていた。
『はぁ……これで3人目か』
「だね。こんなに捕まるとは思わなかったね」
『それほど気が緩んでるんだろ。クリスマスなんざにうつつ抜かして暇があるとは……』
逃げ回っていた攘夷浪士を挟み撃ちにして逃げ場をなくしたところで、海が後ろから攘夷浪士を殴って気絶。倒れたところで手錠を掛け、屯所にて待機している隊士に連絡をして引き取り待ち。
その間、朔夜はじっとプレゼントを貰って嬉しそうにしている子供を見つめていた。
『朔夜、山崎たちが引き取りに来るからお前は先に屯所戻ってろ』
「え、兄さんは?」
『ちょっと野暮用思い出したから戻んの遅れる』
「なら僕も一緒に行くよ」
『いいから。お前は先に戻れ』
これ以上の干渉は必要ないと言うように強めに言えば、朔夜は寂しそうな表情をして海に背を向けて歩き出した。
朔夜が屯所へと向かった数分後にようやく山崎たちがパトカーに乗って現れる。
「副長補佐!すみません、道が混んでて」
『いや、そんな待ってないから大丈夫。こいつ頼むわ』
「はい!こんな日に捕まるなんてこいつらも運悪いですね」
『こんな日だからこそだろ。世の中が浮かれまくってるから捕まえやすい。此方としては手間かからなくていいけどな』
目を覚ました攘夷浪士が暴れながらパトカーの中へと連れ込まれる。隊士が暴れる攘夷浪士に怒鳴りながら事情聴取しているのを見て思わずため息を漏らした。
『なぁ、山崎』
「なんですか?」
『クリスマスプレゼントって何やればいいんだ?』
「へ?クリスマスプレゼントですか?」
両親にプレゼントを貰って喜んでいる子供を眺める海。子供の欲しいものを事前に調べて買ってあげているのだろう。とても嬉しそうに笑っている子供を見て、海は朔夜を思い浮かべる。
普段からこれが欲しいとわがまま言うことの無い朔夜。そんな子供に何を与えればいいのか。生憎、自分も両親からプレゼントをもらった記憶などない。それ故に、朔夜に何を渡せばいいのか分からないまま、クリスマス当日を迎えてしまった。
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