第152幕
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「副長補佐殿、お身体の具合はどうですか?」
『ええ、もうすっかり。すみません、ご心配をおかけして』
結野衆と巳厘野衆が一緒になって屋敷を直しているのをぼうっと縁側で眺めている海の元へ晴明が頭に包帯を巻いた状態で顔を出してきた。
銀時に運ばれて結野家へと戻った時、丁度神楽たちも戻ってきた。浮かない顔をしている晴明へ声をかけた時、彼が少し泣きそうな顔をしていたのを覚えている。
『晴明の方は大丈夫なのか?』
「ああ。これしきのこと問題は無い。かすり傷程度じゃ」
『そりゃ良かった。口の端から血が垂れてた時は病院に連れていこうかと思ったが』
「あ、あれは!」
『問題ないならいい』
別に無理してなんでもない振りしなくても良いのになと海は小さく笑った。
海の横に晴明も腰を下ろし、屋敷の修繕作業をそっと見守る。結野衆と巳厘野衆が手を取り合って直していくのを微笑ましく見つめた。
『江戸の守護については気にしなくていいそうだ。江戸に起きた未曾有の災害を終息させる為に尽力をつくしたということで』
「副長補佐殿……」
屋敷で休んでいる間に松平さんに連絡を取っていた海は今回の一件についての報告をしていた。江戸上空を覆っていた暗雲を払うために江戸の守護が一時的に弱くなることを。
松平は最初こそは渋っていたが、段々と酷くなっていく天候に許可を出さざるを得なかった。
『だから気にしなくていい。まぁ、後でお上から招集が来ると思うけどよ』
「すまぬ。手間をかけたようじゃな」
『そんな謝られるようなことはしてねぇよ。ちゃんと仲直りはできたか?』
「……っ……」
『いつまでもしょうもないことで喧嘩したままじゃ嫌だろ。関係を直せるうちに直しておかねぇと……二度と戻らなくなる』
俯く晴明に優しく諭せば、晴明を弱々しく頷いた。ここに巳厘野家当主が顔を出さないとはそういう事。晴明だけが戻ってきたということは彼は……。
『(姿……見えた気がしたんだけどな)』
闇天丸が消滅した後、朱雀が銀時の木刀から離れて消えかけていた時に薄らと見えたもの。瓦礫の中に横たわる道満が見えた気がしたのだが、あれは幻影だったのだろうか。
『大丈夫か?』
「大丈夫だ。このような事で落ち込んでいては他の者にも心配されてしまう」
『そうか』
「それより……副長補佐殿。いや、海殿。折り入って相談があるのだがよいか?」
『うん?』
真剣な眼差しで海を見つめる晴明。海も背筋を伸ばして晴明の言葉に耳を傾ける。
「その……わしの嫁として結野家に嫁いでもらえないだろうか」
恥ずかしそうに顔を赤らめながらそう言い放った晴明に海は真顔で受け止める。暫くの沈黙の後、海はにこやかな笑みで……
『丁重にお断りさせていただきます』
晴明の頭を思い切りぶん殴って昏倒させると、海は結野家から出ていった。
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