第151幕
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雨足は先程よりも酷くなっていた。台風のように風も強まり、雷鳴も轟いている。この世の終わりのような天候に巳厘野衆も頭を抱えてその場に崩れ落ちた。
『銀……』
巳厘野家の屋敷から時折伸びる光。あれがこの天候を作り出しているのは一目瞭然。そして、銀時たちの方も手こずっているのだろう。一向に止む気配のない雨に覚悟を決めざるを得なかった。
『できる限り使うなって話なんだけどな……』
刀を鞘へと戻して胸元から式札を取り出す。人型の札を見つめて深いため息をついた。
陰陽師でもない自分がこれを召喚して身が持つのか。結野アナには銀時よりも霊力があるから多少は耐えられるとの話。
『その霊力って絶対アイツのせいだよな』
いつぞやの心霊現象の時についてしまったものだろう。自分の中に幽霊が憑依した時に残ったもの。それのおかげでこの式神を呼び出せるというのであればいい事なのだろうが、自分的には余り嬉しくない。
『仕方ねぇな』
刀の刀身を鞘から少し出して右手の平を傷つける。ボタボタと垂れる血を式札へと垂らして式神を呼んだ。
『力、貸してくれ』
ぼふんっという音と共に式札の周りに白煙が舞う。それと同時に身体に重石を付けられたかのような倦怠感。立っているのもやっとの程だった。
『きっつ……こんなん操ってんのかよ……結野アナは!』
式札から現れたのは赤い鳥。名を朱雀。伝説上の神獣として崇められている。火が燃え盛るような風貌。
羽をはためかせながらじっと俺を見る朱雀は自分を従わせるのに適した人間なのかを見定めているかのようだった。
『俺がお前を扱うのはちょっと心許ないかもしんねぇけど、少しでいいから力貸してくれ。あんたの元の主人のためだ。あいつらを……銀時たちを護ってやってくれ』
頼む。と朱雀に願えば、朱雀は嘴を大きく開いて綺麗な鳴き声を響かせた。
途端に赤い身体が青く変化していく。それに伴って身体の倦怠感が薄れた気がした。
『お前……』
青を纏う朱雀は羽を広げて巳厘野家の屋敷へと飛びだった。
『ありがとな』
式神に気を遣われたのがなんだく申し訳なく、苦虫を噛み潰したような顔で笑いその姿を見送った。
後はことが終わるまでにあの朱雀を持ち堪えなければ。
『っは……多少軽くなっても辛いもんは辛いなおい』
地面に膝をついて荒い呼吸を整えようと胸を押さえる。朱雀が頑張って銀時たちを護ろうとしているのがよく分かる。
護ってやってるんだから早く終わらせろ。そんな思いで一人、雨の中必死に気力をもたせた。
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