第151幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「貴様ァ!!」
『主不在の屋敷を狙うなんざ手癖が悪すぎないか?』
晴明が居ない中、結野家に現れたのは巳厘野衆の陰陽師たち。寝込んでいる結野衆へとトドメを刺そうと画策していたのだろう。
誰も守るものがいないと思っていたのか、堂々とした侵入に呆気に取られてしまった。
「そこをどけ!我々、巳厘野家がこれからの江戸を担っていくのだ!」
『弱っている人間に追撃かけるような奴らに江戸を守られたくない』
同じ江戸を守るものとしてそれは許せない。こんなヤツらと肩を並べてやっていくなどごめんだ。
潔く立ち去れと促したが、巳厘野家の陰陽師は忌々しげに舌打ちをするだけで、結野家の敷地から引くことはなかった。
「我らに歯向かうなら貴様も結野家のものとする!容赦せん!!」
札を手に持って印を組み始める。何人もの陰陽師によって呼び出された式神は自分よりも遥かに大きく、屈強な悪鬼だった。
屋敷の前に現れた悪鬼は空に向かって唸るように咆哮した。
『これは……』
耳を塞ぎたくなる程の大きな声。一歩踏み出す度にひび割れる石畳。足から伝わってくる地響き。これは手こずるかもしれない。
自分を見てにやりと怪しく笑った悪鬼は手持ちの金棒を俺へと素早く振り下ろす。
右側へと転がるようにして金棒を避け、次の攻撃に備えて体勢を戻す。立て続けに振り下ろされる金棒に避けるだけの俺。そんな俺を見た陰陽師達が勝利を確信して笑っていた。
「避けるだけでは悪鬼は倒せぬぞ!」
「式神も呼べぬような人間では我々陰陽師には勝てぬ!」
うるさい外野には目もくれず、ただひたすら悪鬼の金棒だけを見つめていた。避けるだけで何もしてこない俺に悪鬼も余裕をかまして適当に金棒を振り下ろし始めた。
それが運の尽きと言える。
「なっ……なんだと……!?」
『振りが大きい分、隙もでかいんだよ。そんなんで気なんか抜いてみろ。倒してくださいと言ってるようなもんだろ』
頭へと振り下ろされるはずだった金棒は陰陽師たちの前へと落ちる。腕を斬られて叫ぶ式神が自分に向かってもう片方の腕で掴もうとしてくるが、それも避けて斬り落とした。
両腕を失った式神。陰陽師達は式神の腕を再生しようと唱えるが、それよりも先に式神の身体を斬り裂いて消滅させた。
『結野アナ様々だな』
力を失った札がはらりと刀から落ちていく。札の角から火がついて消えゆき、灰は風によってどこかへと飛ばされていった。
.