｢表向きにはですよね？｣


｢どこまで知っとる｣


古川はさらに食い下がるために永井に告げる。


｢正確に言えば何も。だが、その存在は確認しています。歴史の表舞台には決してその姿を現さない反面、これ程の影響力を持った者は他にはいないと言っていい謎の存在｣


｢白き姿で戦場を駆けその一撃は屈強なる天人をも一太刀のもと斬り裂いた。味方からは精神的支柱として尊敬を集め、敵からは畏怖の念を込め"白い悪魔"と呼ばれた｣


｢白い……悪魔……｣


｢ああ……他にもいくつか呼び名はあったがな｣


｢知ってるんですね、やはり！｣


｢ああ……｣


｢教えてください！彼らことを！！｣


｢それを知ってどうする｣


｢あなたにも分かるはずだ。私は新聞記者として真実を知りたい！｣


必死に訴える古川に、永井は少し考え込んでから話し始めた。


激しい攘夷戦争の中、仲間たちが敵の攻撃によって身動きが取れなかった時。


誰もが諦め、絶望した時。


颯爽と戦場に現れたのは白き衣を纏いし──















｢ガンダムじゃ！！！！｣


｢っておい！！！！ガンダムじゃ！じゃねぇんだよ！！！もう話違ってんじゃねぇか！！！｣


永井の言葉にキレた古川は永井の胸ぐらを掴みあげると力強く揺する。


｢ううっ……し、仕方ないじゃろ！！アニメの流れではそうなっとるんじゃから！！｣


｢流れとか聞いてねぇよ！！｣


｢なんじゃ、文句あるのか！？｣


｢大アリだわ！！！なんだ！？この話全部嘘か？ホラ話か！？！？戦場を駆けた蒼き閃光ってのも嘘か！？｣


"蒼き閃光"その言葉にまたもや反応を見せる永井。そして今までとは違う眼差しに、古川は揺すっていた手を止めた。


｢なんじゃ、そいつの事も知っとるのか｣


｢まさか……本当にいるのか！｣


青い軍服を身にまといし攘夷志士。目にも止まらぬ速さで数多の天人達をねじ伏せていったという男。


｢そうじゃ……それこそ……白い悪魔が使っていた蒼き閃光！！青いビームサーベルじゃ！！！！｣


｢いい加減ガンダムから離れろよ！！！！｣


目を爛々と輝かせて叫ぶ永井に古川は我を忘れて掴みかかる。


わざわざこんな場所まで来て聞きに来た話がガンダムでは報われない……。




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