第151幕
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「まさか天気を左右する争いがこんな所で行われていたなんて……ご近所トラブルも陰陽師となるとこんなに大変なことになるんですね」
「みんなやられちゃったアル」
屋敷の大部屋で寝かされている陰陽師たちを縁側から見つめる新八と神楽。倒れた陰陽師の容態を見ていた俺は2人の元へ行こうと静かに立ち上がった。
「海さん、皆さんの怪我は……」
『外傷はそんなにない。こればっかりは俺にもどうしようもないな』
ちらりと部屋の方へと目を向ければ、苦しそうに呻きながら眠っている結野衆。陰陽師から受けた攻撃というものがどういうものなのかわからない俺達にはどうしようもなかった。
『晴明さんの方はどうだ?』
「さっきまで部屋に居たんですけど……」
『動けるほどには回復したのか』
巳厘野家の奴らにやられた晴明はその後すぐに倒れた。急いで部屋へと運び布団に寝かせて休ませたのだが、先程新八と神楽が見に行った時には既にもぬけの殻だったらしい。
『外道丸、この事は結野アナ知ってんのか』
兄が巳厘野家と争っていることを。その争いが天気戦争になっている事を。
「あっしが情報をシャットアウトしたでござんす」
「えっ?」
「なんでアルか?結野アナあんなに苦しんでたのに」
『神楽、もう少し声のトーン落とせ。病人に
障る』
部屋の襖を閉め、神楽と新八の背を押して部屋の前から移動するように声をかける。
「この騒ぎを知れば事を収めようとしてまた道満のもとへ行こうとするでござんす。両家の争いなど正直どうでもようござんす。あっしを調伏しこき使う結野家など潰れても一向に構いやせん……でも……」
結野アナの寂しげな顔を見るのはもう嫌だ。そう言った外道丸は悲しげな目をしていた。
結野家はどうなってもいい、でも結野アナだけはどうにかしてあげたい。自分のことを友人のように接してくれたあの人が、これ以上悲しむ姿は見たくない。それに、あの方もそれを望んではいないと呟いた外道丸は俯きながら足を止めた。
「外道丸さん……」
『そりゃお天気おねえさんだもんな。朝から見る顔がそんな憂いた顔じゃ良くねぇよな』
床を見つめていた目がゆらりと俺の方へと向く。その瞳はただ真っ暗で何も見えないが。
『だったら笑顔にしてやるしかねぇだろ?いつまでもこんな雨模様じゃ元気なもんも萎れるだろ』
「貴方に何ができるんでござんすか」
『俺は何も出来ないかもしんない。陰陽師なんかよくわかんねぇし。巳厘野家だかなんだかと戦えって言われたって、俺にはこいつしかないから』
腰にある刀へと手を添えて苦笑いを浮かべる俺。外道丸は俺の持つ刀をじっと見つめる。
「刀に呪術を施しを……」
『結野アナが札でな。後は……』
胸元から紙を取り出して外道丸へと見せる。それを見た外道丸は目を大きく見開いた。
『切り札ってもんは最後まで取っておくもんだってな?』
新八と神楽が後ろで顔を見合わせて首を傾げる中、外道丸はひっそりと小さく笑みをこぼした。
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