第149幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あぁあぁあぁぁぁ!!!また雨降ってきたよ!?」
『近藤さんちょっと騒がしい。静かにしてくれないか?』
「だって海!!また結野アナ外しちゃったんだよ!?洗濯物全部びしょ濡れなんだよ!?」
『仕方ないだろ。きっと結野アナも疲れてるんだよ』
さっきまで晴れていた空は見る影もなく暗く曇天へと変わっていた。屯所の庭に出されていた洗濯物は隊士たちが急いで回収している。
自室にて書類を片付けている俺の元へと叫びながらやってきた近藤をウザったそうな顔で出迎えれば、近藤は"海くん最近冷たい!"と嘆いた。
『なぁ、近藤さん』
「うん?どうした?」
『ちょっと、外出してきてもいいか?』
終わらせた書類を近藤へと手渡す。隊服を脱いで私服へと着替えると、近藤の返事を聞かずに俺は部屋を出た。
「外出?こんな雨の中か?」
『野暮用』
「気をつけて行ってくるんだぞ?ちゃんと夕飯までには帰ってこいよ?」
『いつから近藤さんは俺の親父になったんだよ』
近藤の方へと振り返って笑うと、近藤もにっかり笑ってこちらを見ていた。遅くなるならちゃんと連絡をするようにと約束をして、俺は屯所を出た。
『銀時たちはもう行ってるころかな』
結野アナの邪魔をしているのは同じ陰陽師。優秀な陰陽師が天気予報などに力を使っているのだ。江戸を、将軍を護るためではなく朝のお天気おねえさんとして。
そんなことを結野衆のエリート集団が認めるはずがない。
『身内に敵がいるなんて思いたくないだろうが……今回ばっかりはそう考えざるを得ないな』
近づいてくる結野衆の屋敷。門に近づくにつれて中の人間が騒いでいるのが聞こえる。
『おうおう、やってんな?』
「海さん!?」
「海!どうしてここにいるアルか!?」
『結野アナに頼まれてな。何かあったら守ってくれってよ』
銀時と新八と神楽が慌てふためいている後ろから刀を取り出して近づいていく。前方では結野衆の者たちが札を手に取り術を出そうとしていた。
「海!!危ないからこっちに来なさい!」
『それはこっちのセリフだわ。危ねぇから後ろに引っ込んでろ』
すらりと構えた刀には予め結野アナからもらっていた札が貼られている。陰陽師相手に普通の刀では通用しないと言った彼女が、俺の刀に呪術を施したもの。
「海!!!」
結野衆から飛ばされた札を刀で斬り落とす。効力を失った札は真っ二つになって地面へと落ちていく。それを見た結野衆が忌々しげに俺を見た。
「な、なんだあれ!!」
『あ、あれは俺でも無理かもしんねぇわ』
「海!?」
いくつもの札が重なるようにして飛ばされる。呪術をかけてもらった刀とはいえど、あの量を切り刻むのは骨がいる。
引き攣った笑みを浮かべながら近づいてくる札。避けきれないと顔を伏せた時、腰へと誰かの腕が回った。
「そこまでにしておけ。この者たちはクリステルの友人じゃ。クリステルの友人はわしの友人でもある」
ふわりと包まれる体。目の前には五芒星の印。ゆっくりと顔を上げれば、見知らぬ男がそこにいた。
「これ以上客人に手荒なマネは許さんぞ。この晴明が……」
俺の腰を抱く腕に力を込めて結野衆を冷たい目で見る男。突然の登場に頭の追いつかない俺はただ、男の顔を見つめることしか出来なかった。
.