第149幕
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そうして結野アナが話そうとした時。銀時が腕っ節ならば自信があると言った瞬間。
万事屋の壁を突き破って現れたモノ。あんぐりと口を開けて驚く新八と神楽。そいつと至近距離で対峙している銀時も固まったままその場から動けなかった。
「桜樹さん!」
『はいはい』
ソファから立ち上がって銀時の襟を後ろへと引っ張る。泣きべそかいてる銀時を自分の背へと隠すように立つ俺の前で結野アナは印を唱え始めた。
「え?まって?え??」
『お前は知らなかったから驚いただろ』
「え!?どういうこと?あれなに!?」
結野アナが印を結んで出てきた鬼のようなやつを消しさる。その時、ひらりと落ちてきた紙を手に取った。
『式神か』
「そのようですね。桜樹さん、お怪我は?」
『いや、ない。結野アナのおかげで助かった』
「それはよかったです」
壊れた壁の破片を踏まないように慎重に歩きながら結野アナへと式神の元となった紙を渡す。思い悩んだようにそれを見つめる結野アナ。
『誰かに狙われてるのか』
「……多分……そうだと思います」
「ちょ、ちょっと待って!?なんでそんなに海は普通にしてるの!?」
「そ、そうですよ!!なんで海さん冷静なんですか!?」
『俺は知ってるからな。結野アナのこと』
2人が知らなくて慌てるのは仕方ない。自分だってあの日あの場所に居なければ、ただのアナウンサーだと思っていたのだから。
俺の言葉にムッと拗ねた顔をした銀時がじっと俺を睨むように見る。その顔の意味が分からなくて首を傾げると、銀時はガシガシと乱暴に頭をかいた。
「あー……とりあえず説明してくれね?何がなんなのかさっぱりわかんねぇんだけど?」
『結野アナは天気予報のアナウンサーでもあるが、彼女は幕府お抱えの陰陽師だ』
「お、陰陽師!?朝の顔のお天気おねえさんが夜は陰陽師!?」
「そう……。陰陽師とは古来より陰陽五行説に基づいた信仰によって、占術、呪術、祭祀を行ってきた占いのエキスパート。予知予言を行うだけでなく、あらゆる災厄を退け、魔障を降伏させる力を持つ呪術師なのです」
「それとなんで海が……」
「桜樹さんとは一度、城の方でお会いしたことがありまして」
『いつだったかあっただろ。将軍のペットの話』
「え?カブトムシだっけ??」
だいぶ前の話になってしまうが、銀時にあの件の話を思い出させる。それでも意味がわからないという銀時に俺はため息を零した。
『瑠璃丸をちゃんと生きた状態で返すことが出来なかったから謝りに行ったんだよ。その時に結野アナに会ってな』
将軍との謁見に来てた結野アナと瑠璃丸の件で頭を下げにいってた俺。タイミングが合わなければ会うことのなかった俺たち。
「え。でも、会ったのその時だけなんでしょ?結野アナを海が覚えてるならまだしも。なんで結野アナが海の事を?」
『それなんだよな』
訝しげに結野アナを見る俺と銀時。結野アナは俺の方をじっと見てから不意に顔を逸らした。その顔を見た銀時が何かに気づいたのか、目を大きく見開いてから不機嫌そうな顔をした。
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