第149幕
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「海、これ飲むと温まるアル」
「海さん、こっちの着物に着替えてくださいね!」
神楽から温かいココアを受け取りちまちまと飲んでいる間に新八が俺の着物を箪笥の中から引っ張り出してきて俺へと差し出す。
なんか最近、2人がやたらと人の世話をやくようになったな。
「桜樹って色んな人に愛されてますね」
『そんな事はねぇと思うけど……』
「ありますよ。真選組の方や将軍様からも好かれているじゃないですか」
『暇なんだよあいつら』
からかう相手が俺なだけなんじゃない?と笑って言えば、結野アナはきょとんとした顔を浮かべてから鈍感さん、と笑った。
「ちょっとちょっと。そこのお二人さん。なんでそんな仲良いわけ?なんでそんな親しげなわけ??」
俺と結野アナの向かい側に座る銀時がじとりとした目で俺と結野アナを交互に見やる。
「なに?海浮気?そんな堂々と浮気??」
『んなわけねぇだろうが。なんですぐそうなるんだよ』
「だって仲良いじゃん」
『仲良かったらそれは浮気なのかよ。お前意外と心狭いな』
「銀さんの心の広さは5mですー。そんなに狭くありませーん」
ぶすくれた顔で文句を言う銀時にケラケラ笑う結野アナ。ここに来た時よりも大分解れた様子に俺も銀時もホッと胸をなで下ろした。
「そんな冗談はおいといて……何があったんです?最近、天気予報が……」
「皆さんを危険に巻き込む訳には……」
天気を外す原因を探ろうとする銀時に結野アナは持っていたコップをギュッと掴んで俯いた。
どうやら相当めんどくさい事に巻き込まれている。それだけは確かだ。
「危険?どういう事ですか?そんなの聞いたらなおさら引き下がるわけにはいかないですよ」
だから話してみてくださいと訴える新八に結野アナが口を開こうと顔を上げたが、すぐにその顔は曇る。
「結野アナ、私は天気予報なんて本当は当たろうが当たるまいがどっちだっていいんです。私はただあなたの笑顔が見たかっただけなんです。あなたの笑顔を見て1日乗り切る元気をもらう。ただそれだけのためにチャンネルをひねってた。毎日毎日……今度は私たちの番です」
机に寄りかかりながら静かに話を聞いていた銀時が結野アナへと口を開いた。床をじっと見つめていた目をこちらへと向けて、占いを外してしまう原因を取り払う為に協力させてくれないかと。
『と言ってるわけだから。結野アナ、話してみてもいいんじゃないか?』
「桜樹さん……」
『大丈夫。こいつらはそんなヤワな奴らじゃないから』
「……でも」
『俺も手伝うよ』
「桜樹さんも……?」
『うちの局長がね。心配してるんだ。局長だけじゃない。毎日あの占いを見てる隊士たちが、結野アナの天気予報見て元気もらってる町民が。みんな心配してるんだよ』
俺たちで力になれるのであれば話してごらん。隣に座る結野アナに微笑みかければ、結野アナは潤んだ瞳で俺をじっと見つめ小さく頷いた。
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