第171幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
二人が甘い雰囲気を作っている間にサルたちは柳生家によって捕らえられた。網の中にはサル以外の者もいたが。
漸くボックスから出た海は固まった身体を伸ばした。
「おい、海」
『あ?あー……このサルたちはどうするんだ?』
「一匹残らずサル山に戻す。てめぇも手伝え」
『それは構わねぇけど、サルたちを護送する車とかあんのか?』
「一応な。サル山の職員が持ってきてる」
土方が振り返った先には二台の車。檻のついた車両の運転席に座る男性が海に向けて頭を下げていた。
『そ。じゃあ、サルたち運ぶか』
「ああ」
網の中へと手を突っ込み、一匹ずつサルを捕まえては檻の中へと入れる。その作業を何度かしているうちに九兵衛たちの方も話がついたのか、皆、ほっと安心した様子で九兵衛と子ザルを見守っていた。その中で唯一、東城だけが悔しそうに顔を歪めていたが。
『近藤さんも手伝ってたのか?』
「いや、近藤さんはたまたま居合わせただけだ」
糞まみれとなった近藤は泣き笑いしながらバナナを食べており、何故か未だにサルに糞を投げつけられていた。
「トシ、海。俺ってそんなにサルに嫌われてるのかな」
『違うよ、きっと好まれてるんだよ』
「え?そうなの?これが愛情表現なの!?」
『分かりづらい愛情表現ってあるだろ?そういうもんじゃねぇの?多分』
知らないけど。と心の中で付け足しながら、糞を投げつけられ喜び始めた近藤を哀れんだ。
「適当なこと言ってんじゃねぇよ」
『嫌われてるって言われるよりかはマシだろ』
「まぁ……」
動物にも好かれないなど可哀想だろうと言った海に土方は海と同じように哀れみの顔を浮かべる。あの人が誰かに好まれる日が来るのだろうか。そんな心配をしながらサルを檻の中へと運んだ。
『これで全部か』
「あとはサル山に戻すだけだろ。それは職員の奴らがやるから俺らはもういらねぇだろ」
『一安心、だな』
「めんどくせぇ事頼みやがって。うちは何でも屋じゃねぇっての」
『市民に何かあった時の警察だろ。困ってるなら助ける。違うか?』
「ものにも限度ってもんがあんだろうが」
小さく舌打ちを漏らしながら新しい煙草を箱から取り出して口にくわえる。ぶつぶつ文句を言っている割にはきちんと頼まれたことを果たす土方に海は笑っていた。
.