第171幕
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「なに?アイツに電話したの?」
『朔夜から聞いてたんだよ。土方がサル山の職員からサルが脱走したから助けてくれって言われてたのを。だから呼んだ』
「ふーん。多串くん頼ったんだ」
『なんだよその言い方』
「別に」
サルを捕まえろと言われていた土方を呼んで何が悪いのか。つん、と拗ねたように不機嫌になった銀時の心情が分からず海は小首傾げる。何が気に食わないというのか。
『何が嫌なんだよ』
「何も言ってねぇだろ」
『嫌だって顔しておいてそれかよ』
「だから別に嫌なんて言って……」
『ばか』
きゅっ、と銀時の背へと腕を回して抱き込む。今の会話で何が嫌だったのか。自分が銀時の嫌がることをしたのかと不安に思い、思わず銀時を抱きしめた。
嫌な思いをさせたなら謝らなければと顔を上げたら、そこには真っ赤に染まった銀時の耳。
『銀?』
「ちょっとこっち見ないでもらえます??」
『ごめん』
「えっ!?いや、違うからね!?嫌だったわけじゃないからね!?」
顔を見るのも嫌なほどなのかと落ち込む海に銀時は必死に誤解だと訴えるが、海は聞く耳持たずまた銀時の首元へと顔を埋めた。
「銀さん、痴話喧嘩はよそでやってください」
「夫婦喧嘩は犬も食わないって言うアル」
「うるせぇよ!!」
「ちょっとォ!!そんな事よりアレ!アレ見てくださいよ!!」
ギャーギャー喚く銀時達の間を割って入るように東城が騒ぐ。東城の方に言われた方へと三人で顔を向ければ、皆一同、口をあんぐりと開けた。
「え、あれどういう事なんですか?」
「なんか静かになったと思ったらそういう事だったアルカ」
「なに?アイツゴリラなのにサルに嫌われてんの?」
土方の隣に立っているのは近藤。バナナを片手にガハハと陽気に笑っているが、その身体はサルの糞まみれ。
ボックスを囲っていたサルたちは近藤へと標的を変えていた。
「海?お前の上司糞まみれだけどいいの?なんかすっごい糞まみれだけど」
『…………別に』
「待って!?まだ落ち込んでたの!?ごめんって!海が別にっていうと沢尻エリ〇みたいだから!凄く辛辣に聞こえるからやめて!?」
ごめんってば!と謝りながら海の背中を撫でる銀時に海は拗ねた態度を取る。上司が糞まみれになろうが、糞になろうがもうどうでもいいと口走った海に銀時は頭を抱えた。
「悪かったって。な?」
『気にしてない』
「気にしてるだろ!?あー……さっき見んなって言ったのはあれだから。海が可愛くて……その、恥ずかしかったというか……なんつうか」
『……だから?』
「て、照れてたの!海が可愛く甘えてくるから照れてたんです!!」
『嫌ってねぇってこと……?』
「なんで嫌う要素があるの!?」
『俺が銀時の嫌がることしたかと』
「嫌がることなんか一つもしてねぇよ?多串君の件はちょっと妬いたけど」
『妬く?』
そっぽ向く銀時を追うように顔を寄せると、銀時は顔を赤くさせながらも海と目を合わせた。
「多串くんを頼るんだなって。そんなに信頼してんだなぁ、と?」
『そりゃ上司だし……』
「それだけ?」
『それ以外に何があるんだよ』
「……何も。つか、なに?今日やたら甘えてこない?デレの日なの?デレデレの日なの?」
『たまには……いいかと』
「俺的には今日だけじゃなくて毎日がいいけどね?」
『うるさい』
誤解が解けて安心する海に銀時はにこかな笑みを浮かべる。
そんな二人へと向けられる突き刺すような目に銀時は口元を引き攣らせた。
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