第171幕
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『なんでサル山のサルたちまで投げつけてきてんだよ!』
「し、知らねぇよ!!」
銀時と海の間へと投げつけられた糞。その糞を皮切りにいくつもの糞が二人へと投げつけられてくる。その糞の量にサーッと血の気が引いた。
慌てて銀時の手を取って万事屋の看板に隠れるようにして身を潜める。海の下にいる銀時が飛んできた糞を見て青ざめた顔で東城へと怒鳴った。
「一匹どころか全てのサルが俺たち目掛けて一斉射撃してきたぞ!何なのォ!?あいつらにとって俺たちって何なの!?どんな風に映ってるの!?」
これでは万事屋が糞まみれになる。早くここから逃げなくては、と銀時は海の手を掴んで走り出す。その後ろから東城と新八、神楽もついてきていた。
「先祖がカニ、もしくはフリーザ様だったのではござらぬか!?桜樹に関しては貴方犬じゃないですか!だから嫌われるんですよ!」
『それは言葉のあやだろうが!!』
幕府の犬。だからサルに嫌われているのでは?という東城に海は逃げ惑いながら蹴りを飛ばす。蹴られた東城はよろめき、飛んできた糞を頭に食らった。
「何をするんですか!!」
『もっと投げてもらえよ。そしたらそのアホな頭も多少は良くなるんじゃねぇか?え?』
「お前ら!!喧嘩してんじゃねぇよ!」
東城をゲシゲシ蹴り続ける海の頭を引っぱたく。自分のせいではないと拗ねる海に銀時は再度叩いた。
『なんで俺が!』
「うっせぇ!黙ってついてこい!」
グイッと手を引かれて逃げ込んだ先は公衆電話ボックスの中。そしてボックスを囲うようにサルたちが集まっていた。
『どうすんだよこれ!』
「ここは万事屋と真選組のネットワークの広さを使って網を張りましょう!バナナを餌にしてヤツの名を呼びかけるよう江戸中に指示するのです!」
『ネットワークっつったって……あぁ、適任が居たか』
銀時は公衆電話を手に取り、海は自分の携帯を手に取った。電話をかける相手は先程、朔夜が話していた人物。
"もしもし?"
『土方か?お前今どこにいんの?』
"あ?サル山にいるが……何の用だ?"
『逃げ出したサル捕まえてるんだって?そのサルたち目の前にいんだけど』
ボックス越しにサルと目が合う。キランっと目を輝かせたサルたちは海の顔面目掛けて糞を投げつけてきた。
"さっきから騒がしいが、てめぇ何してやがる"
『だからその逃げ出したサルたちに囲まれてんだよ。こいつら早く捕まえて檻の中に戻せ』
早くしろ、と急かすように言えば土方は面倒くさそうにしつつも分かったと返事した。
その時、ミシッと何かが軋む音が聞こえて海はボックスを見た。
『銀……これやばい』
「あっ!?今度は何!?」
『アイツら……一点集中して……』
「お前どんだけ顔面狙われてんの!?!?」
海の顔面の位置にだけ糞がぶつけられていて、その場所にヒビが出来ていた。このままそこだけを狙われ続けていたらいつしか穴が空く。
『土方!あとは頼んだからな!』
"あ!?おい、海!"
話もそこそこに通話を切り、携帯をポケットへとしまい込んでから海は銀時の方へと向いた。
「海?」
『こうするしか……ないだろ』
「いや、まぁ、そうなんだけど……え、うん」
サルたちは海の顔を狙っている。ならばサルたちに見えないようにすればいい。銀時の首元へと頭を寄せてサルたちから顔を隠す。それは海が銀時に抱きついているようにも見えた。
「海くん?あの、その、ね?いや、俺としてはすげぇ嬉しいんだけどさ。あのね??」
『黙れ』
「あ、はい」
戸惑いながらも海の腰を抱く腕。徐々にその腕には力が込められて抱き合う形となる。
「銀さん……」
「こんな状況なのに貴方たちは何してるんですか!?」
「銀ちゃん、こんな所で盛るなヨ」
「なんで俺だけが責められるワケ!?今日は海から来たんだけど!?」
三人から冷たい眼差しを受ける銀時は理不尽だとキレ散らかしたが、海を抱く腕の力はそのままで抜けられることは無い。
「あれ?銀さん!あれって土方さんじゃないですか!?」
「あ!?」
新八がボックスの外を指差す。銀時もその先へと目を向けると、確かにそこには土方の姿。タバコを口にくわえ、気だるそうに網を持った土方がこちらを見ていた。
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