第170幕
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「海ー?」
「眠っちゃったんですか?」
「海疲れてたネ。このまま寝かせてあげた方がいいヨ」
ソファに横になって寝ている海を三人はそっと見守った。
一時間ほど前にひょっこりと顔を出した海は眠そうに目を擦りながらソファに腰掛けていた。見回りの途中だったが、あまりの眠さに歩いていられなくなり万事屋に寄ったとのこと。
一言二言話しをしたあと、海はパタリとソファに倒れた。何事かと思って駆け寄ってみたら規則正しい寝息が聞こえて、銀時はホッと胸をなでおろした。
「また徹夜でもしてるんですかね」
「じゃねぇの?またクマが酷いじゃねぇか」
すやすや眠る海の顔を覗き込むように見ると、目の下にはどれだけ徹夜したんだと言いたくなるほど濃いクマが出来ている。見回りの途中でここに寄る程なのだから大分寝ていないのだろう。
「ったく……社畜もいい加減にしろっての」
寝室の押し入れから毛布を取り出して海へと被せる。もぞりと動いた海は毛布を掴み身を縮こませた。
そんな姿を微笑ましく見たあと、銀時は冷めた目で後ろを振り返る。
「で?お前は何しに来たわけ?」
海が眠ったあとに来た人物。九兵衛のストーカー……ではなく、東城。存在には気づいていたが、ずっと素知らぬ風を装っていた銀時たちに何も言わずただ机に突っ伏していた。
「貴方がたは知っていますか!?若が……若があのサルと仲睦まじくしているのを!!!」
「おい、もう少し静かにしろ。海が起きるだろうが」
喚き散らす東城に眉を顰め、東城の声に反応して身動ぎした海の耳を優しく塞いだ。
「あんなエテ公なんぞに遅れを取るとは東城 歩一生の不覚!!ヤツが来るまでは若の隣は常に私の指定席だったのに~!」
「お前の指定席は電柱の陰だろ。あとうるさい。海が起きるって言ってんだろうが」
泣きながら頭を机に叩きつける東城に嫌悪感を抱きつつもいつもの様に東城の言葉を聞き流す。
「あの肩の上に乗り小鳥のように囀っていたのは私だったのに!!」
「お前が乗ってたのは場末の○○のマットの上だろ。だからうるせぇって言ってんだろうが」
ガンガンガンガン頭を打つ東城にため息をつき、ソファに寝ている海を自分の寝室へと運び入れた。あんな所では静かに眠れやしないだろう。
「ごめんな、海」
起きた時に不思議に思うだろうがここで寝ていてくれ。と呟き、海の額にキスをしてから寝室の襖を閉めた。
「銀さん、海さんは?」
「向こうに寝かせた。ここじゃコイツがうるさくて起きるだろ」
「確かにそうですね……」
カーテンのシャーがシャーがと叫ぶ東城の顔を蹴りつけて黙らせた。いくら部屋を移動させたとはいえ、ここまで叫ばれてしまっては海に聞こえてしまう。
「一体何しに来たんだてめぇは。用がないならとっとと帰りやがれ!こちとら徹夜続きのヤツが寝てんだよ!騒ぐなら他所で騒ぎやがれ!!」
「銀さん!もう少し声のトーンを!」
「あ!?あっ……わり」
しーっ!と口元に人差し指を立てて注意する新八に一瞬睨みを利かせたが、ハッと我に返って口を閉じた。
「なんなんですか貴方たちは!少しくらい話を聞いてくれたっていいじゃないですか!そんなにあの男が大事ですか!!!」
「お前の変態話の何千倍も大事だわ」
「とっとと帰れよ変態」
「ちょっと今日のところは帰ってもらえると助かります」
子供たちに睨まれた東城は悔しそうに歯噛みし、また机へと頭を打ち付けた。
「私も!!あの男のように若から愛されたい!!!!!」
「「「だから黙れって言ってんのがわかんねぇのかよ!!!!」」」
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