第169幕
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「ったく、本当に寝てやがる」
ぺたりと足を止めて浴槽の隅を見ると、そこには気持ちよさそうに眠っている海の姿。
「おい、海!起きろ!ンなとこで寝てんじゃねぇ!」
浴槽の縁に手をついて大声で海を呼んでみるも、起きる気配が全く感じられない。もしかしてうたた寝するつもりが深く眠り込んでしまっているだろうか。
このままでは本当に風邪をひいてしまう。銀時は海は湯船から出そうと浴槽へ足を入れようとしたが、まだ自分が身体を洗っていないことに気づいて眉間に皺を寄せた。
銭湯のマナーくらいは知っている。風呂に浸かる前には身体を洗わなければならないということを。
「くっそ……仕方ねェ、洗ってくるか」
小さく舌打ちを漏らしながら銀時は眠る海に背を向けてシャワーの方へと向かった。
「わぁ~ここが銭湯か。広~い!僕、泳ぎたくなっちゃった!」
「あん!?泳ぐ?ここはプールじゃねぇんだよ!」
「ヴィダルハフーン派以外は出ていけクソガキ!ここは我々が貸し切ったんだ!」
カラカラと扉を開けて入ってきた子供が広々とした風呂に歓喜の声をあげていた。子供の言葉に銀時と近藤が反応し、こめかみに青筋を浮かべながら怒鳴る。
「え~貸し切り?そんなぁ、銭湯はみんなのお風呂って聞いてきたのに~!」
入口に立っている子供はよく見れば、見覚えのある風貌。角の生えた頭に緑の身体。そして赤く光る不気味な目。
その姿を見た新八が冷や汗を垂らしていた。
「ぎ、銀さん……あ、あれは……」
「パパ、あの人たちが貸し切りとか言ってるけど」
「なんだって?おかしいな。銭湯は公衆浴場と聞いていたが……兄さん、貸し切りだって」
子供の後ろから現れる同じ風貌の男。そしてその後ろから続々と現れる同じ顔ぶれ。銀時と新八はダラダラと汗を流しながら眼前に集まってくる天人達を見つめた。
そして最後に現れたのは大兄さんと呼ばれた天人。
「あれ?万事屋さんじゃありませんか。お久しぶりです。僕ですよ。隣の屁怒絽です」
きっと本人はにこやかに笑っているのかもしれないが、こちらからしたら悪魔の笑みにしか見えない。
「へ……屁怒絽が増殖した!?」
悪魔の軍勢と言っても過言ではない。屁怒絽とその周りの奴らから漂ってくる異質な雰囲気に銀時だけでなく、その場に居合わせたかった近藤達も身がすくんでいた。
先程の貸し切りという発言について追求された銀時達は慌ててその場から立ち退き、総悟が浸かっていたお子様風呂へと潜り込んだ。
屁怒絽達に大風呂を明け渡すために。
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