第168幕
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「海!!!海くん!!!」
『ん?』
プールから上がって将軍たちを眺めていた海を銀時が呼びつける。やっと将軍が輪の中へ……入れたとは言えるような感じではないが、一応は水の"上"には行った。
あとは銀時と長谷川がどうにかしてくれるだろうと投げやりになっていた所だったのに、と海は愚痴りながら銀時を見やった。
『なんだよ』
「ちょっと海も来てくんない?騎馬戦やるから」
『騎馬戦?』
「そ。俺のモチベ上げるために。ね?」
銀時のモチベ上げってなんだよ。その疑問を問う前に海は銀時に手を引っ張られて再度水の中へと入った。今度は滑らないようにと手を引かれながら。
「よ~し、じゃあ今から二人一組でコンビ組んでもらう!一人はボートの上に乗る騎手、一人はボートを引く騎馬!騎手がボートから落ちたり、鉢巻きを取られたら負けとなる!まぁ、別に取るのは鉢巻きだけじゃなくてもいいけれど……」
そう言いながら怪しい笑みを浮かべる銀時は海が着ているパーカーの前のチャックを上げた。何をしているんだコイツは、と見上げた時、下腹部に伸びた銀時の手にびくりと震えた。
『何してんだお前……』
「ん?脱がされないように?」
海の履いている海パンの紐を取り出してきつく結び直す銀時。引っ張ってもズレないのを確認してから銀時の手は海パンから離れていった。
「はい、海はこっちね」
『普通、俺が騎馬じゃねぇの?』
「いいから。海のことは俺が守るからそこに座っててな?」
ボートの上に乗せられた海は左腕に鉢巻きを巻いて大人しくそこに座った。海が乗るボートの手綱はしっかりと銀時の手にあり、騎馬は銀時がなるらしい。
「って、なんでそうなるのー!!?」
『……逆、だよなぁ』
「なんなのあいつら!!なんなの!?」
ボートに乗っているのは全員男。女性に手綱引かせるとはどういう了見だと呟く海の傍らで銀時は頭を抱えて唸っていた。
「おい!いい加減にしろよてめぇら!長谷川さんが絶海の孤島に流れ着いた漂流者になってんだろうが!もっと考えて編成を組め!力の強いヤツは馬になった方がいいに決まってんだろ!俺と海を見習え!!」
「海、お前は騎手なのか」
『銀時がそうしろっていうからな』
「兄ちゃんの鉢巻き取りやすそうだな!」
神楽たちに説教している間に隣に来た月詠と晴太。張り切っている晴太に笑みを零し、楽しげに揺れている頭へと手を伸ばして撫でた。
「最近あまり外で見かけぬな。忙しいのか?」
『あー……色々と仕事が立て込んでてな。落ち着いたら吉原の方に顔出しに行くわ』
「べ、別に!忙しいなら無理をせんでいい!」
『そんな無理してねぇから大丈夫』
だから気にすんな、と晴太の頭を撫でていた手を月詠の頭の上へと移した。恥ずかしそうに俯く月詠に海はゆるりと微笑む。
「って、おいッ!!そこ!!なにやってんのッ!!!」
『何って……久しぶりに会ったから話を?』
くわっと目を見開いた銀時が海の乗るボートの紐を引っ張り、海を引き寄せた。
「あんなヤツと話しちゃいけませんッ」
『は?』
メッ!と海の額にデコピンした銀時。それは完全に妬いているようにしか見えなくて、海はそんな姿にくくく、と楽しげに笑った。
『ばか』
「うっせぇ」
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