第168幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『あの……将……しーちゃん……』
「だ、大丈夫だ……余は……」
ぷるぷると小刻みに震える将軍は目にうっすらと涙を溜めて銀時たちの方を見つめる。
銀時が将軍を仲間に入れるようにと頑張って神楽たちを説得しているのだが、神楽たちは将軍を見てぶつぶつと文句を垂れていた。
「余は……大丈……」
『しーちゃん、ちょっと待っててください』
遂に涙が水中メガネに溜まり始めた頃、海は真顔でプールの中へと身を沈めた。
ひやりとした水の冷たさに顔を顰めながらゆっくりと銀時の側へと歩み寄る。
『おい!お前ら!』
「え、海さん!?」
「なんでここに海が居るアルか?海も一緒に遊びたくて来たアルか?海なら大歓迎ネ!」
「なんでお前まで来ちゃったの!?」
『銀時だけじゃ不安だったんだよ!お前どうすんだよ。しーちゃん涙目だろうが!』
「しーちゃん??」
初めて聞く呼び方に銀時は首を傾げて怪訝そうな表情を浮かべる。海はちらりと将軍を見てその名前の相手を無言で答えた。
「あ、なるほどね……って、なに?自分で考えたの?」
『違う。そう呼べって』
「ふぅん」
もう少しで銀時の隣へとつくというところで海は足を滑らした。やばい、と目を瞑ったが、誰かに手を取られて支えられた。
「大丈夫か?」
『ん……ありがとな』
「水位低いけど気をつけろよ?お前、ちゃんと準備運動してきたか?」
『してない。遊ぶつもりはないって言っただろ?』
倒れぬようにと掴まれた手がグイッと引っ張られて銀時の腕の中へと引き寄せられる。足を滑らせたという恐怖に内心慌てていた海は自分の腰に回っていた銀時の腕に気づかなかった。
「とりあえずお前ら!将ちゃんと仲良くしろよ!?いいな?」
「嫌よ、あんな先っちょだけ濡れてる人」
「姉御の言う通りアル。アイツだけ別のところに入ればいいネ」
「わっちは海がいるならどうでも……」
「いい加減にしろよお前!!特にそこのお前!海じゃなくて将ちゃんと仲良くしろ、将ちゃんと!!」
『今日だけだから頼む』
ギャーギャー騒ぎ散らす銀時に変わって海が神楽たちに頭を下げる。それまでぶつぶつ文句を言っていた神楽たちは、すんっと大人しくなり皆無言で頷いた。
「なんで俺の時は文句ばっかだったのに海が頼んだ途端そうなるの?え?俺泣いていい?」
銀時の腕の中から離れた海は将軍の元へ戻り、あれやこれやと声をかけた。結局、将軍はミニボートの上に乗せられて神楽たちの輪の中へと入った。
『……いや、泳がせろよ』
.