第168幕
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「あ、あの……」
プールについた松平と将軍は窓口に寄らずにスタスタと中へと入っていってしまう。係員がそんな二人を引き留めようと声をかけるも、松平にギロリと睨まれて口を噤んだ。
『すみません……』
「困ります……ちゃんと料金を払っていただかなくては……」
『自分が払いますので』
隊服の胸元から警察手帳を取り出して店員に見せ、海はすみませんと頭を下げた。店員は掲げられた手帳を目にして驚き、海に深く頭を下げた。
三人分の使用料金を払って海も建物の中へと進む。突然呼び出されたせいで水着など持ってきていない。そんな状態でどうやって将軍を護衛しろというのか。
『どうすっかな……別に水着買ってもいいけどよ……』
至極めんどくさい。これなら大人しく松平と共にキャバクラに行ってくれた方が良かったのではないだろうか。そこなら護衛しやすいのに。なんだって将軍はプールなんかに。
はぁ、と深いため息をつきながら海は将軍達が向かった先へと歩く。更衣室の扉を開けて中を覗いたが、そこには誰もいない。まさか服を着たままプールの方へ行ってしまったのか。
更衣室の扉を閉めて少し悩んでから海はプールサイドへと足を進めた。
隊服を着たままプールサイドへと足を踏み入れると、松平の声と銃声が海の耳に届く。慌てて声のした方へと駆け寄ると、そこには松平と将軍、そして見知った顔ぶれが見えた。
『銀時?』
「海!?なんでこんな所に……?」
『俺はその……仕事で』
海パンに上着を羽織った姿の銀時が海を見て目を丸くする。その横には銀時の知り合いである長谷川もいた。
「んじゃ、海くん。あとは任せたわ。俺ァいつものキャバクラにいるからよォ。将ちゃんが楽しんだら来てくれェ」
『は、はい……』
ぽん、と軽く海の肩を叩いてから松平はふらりとプールから去っていった。残されたのはブリーフ姿の将軍と頭を抱えた海。
可哀想なものを見るように銀時が海を見つめる。
「お前やっぱ職変えたら?」
『……考えとく』
項垂れる海に銀時が励ますように頭を優しく撫でる。海はその手を振り払うことをせずに受け入れた。
『てか、なんで銀時がここに?』
「ん?あぁ、マダオの手伝い」
『マダオ?』
「長谷川さんな。プールの監視員のバイトしてんの」
『銀時も仕事中なのか。悪い、そんな時に』
邪魔をしてしまった、と謝る海に銀時は全力で頭を横に振る。嫌がるどころか、嬉しそうに笑う銀時。また面倒事に巻き込んでしまったのにも関わらず、銀時はただ「おつかれさん」と海に言っただけだった。
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