第168幕
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『水練、ですか?』
「そうなんだよォ。だからプールについてきてくれェ」
朝食を済ませ、溜まっていた書類をやろうとしていた海は近藤によって捕まった。急いで屯所の門の前に言って欲しいと言われ、海は言われるがまま屯所を出た。
屯所の門前には何故か松平と将軍が立っていて、海は目を丸くした。それが数分前の出来事。
いつもの様に松平が将軍を連れてキャバクラに行こうとしていたのだが、将軍は何を思ったのか突然プールに行きたいと言い始めたらしい。松平が何度もキャバクラの方がいいのでは?と説得を試みたのだが、将軍は頑なに首を横に振った。
ならば、と松平は近藤に連絡を取り海を呼び出した。松平がキャバクラに行っている間に将軍の護衛をする為に。
「桜樹よ、頼めるか?」
そんな巫山戯た話があるか、とツッこみたいのは山々なのだが、真剣な眼差しで将軍に頼まれてしまえば海は嫌とは言えず、引き攣った笑みでこくりと小さく頷いた。
『しょ、将軍のお望みとあらば。何処へでもお供いたします』
「さっすが海!俺の見込んだ男だ!」
バシバシと何度も松平に背中を叩かれる。本来は城から将軍を連れ出した松平が護衛しなくてはいけないのではないかと呆れたが、この流れは以前、キャバクラに海が連れていかれた時と同じ感じがしたので早々に諦めた。
『(仕事、これも仕事)』
海はひたすら自分に言い聞かせながら、漏らしそうになったため息を抑える。嬉しそうに笑う将軍と、意気揚々と車内へ戻っていく松平。
仕事なのだから仕方ないと腹を括った海は大人しく助手席へと座った。
『水練されるということは海パンをお持ちなんですよね?』
そういえば、と海は後ろを振り返って将軍に問う。プールに行く割には手持ちが軽すぎる。まさか手ぶらで来た訳では無いだろうと思いつつも、どこか拭えない不安を完全に払拭させる為に確認を取った。
「いや、持ってない」
「現地でもらえばいいと思ってなァ。なぁに、なかったら全裸で飛び込めば良いだろうよ」
『(良くねぇよ。全裸で飛び込むなんて海でもやらねぇよ……)』
ドヤ顔で持っていないと言った将軍に呆れを通り越して笑みが零れた。そんな海に将軍は訝しげな視線を飛ばす。
『プールでは水着が必要ですよ。現地で仕入れますか?』
「うむ。そうするとしよう」
『かしこまりました。あとは……タオルですか』
水着があってもタオルがなければ着替えることが出来ない。タオルもプールの売店とかで手に入ればいいのだが、と思案している間に松平が運転する車は目的地へとついていた。
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