『お妙さん、それは卵焼きとは言わねぇと思う』


｢あら。卵を焼いたのだから卵焼きよ？｣


『それはちょっと焦げ……』


神楽に料理を教えてくれという銀時の必死の訴えに仕方なく了承した俺は神楽と共に台所に立った。


その横からひょコリと顔を出したお妙が、自分も教えてもらうのだと言い出して今に至る。


とりあえず卵焼き作れるか？と聞いた後に出されたものはえげつないものだった。


お妙が出したものは最早食べ物ではない。焼いている間に何をしたのだと聞きたくなるくらいの異臭。そして思わず目を逸らしたくなるほどの見た目の悪さ。


確かにコレを毎日食べていたら目が悪くなりそうだ。いや、これは目だけでなく健康にも悪そうな気がするのは俺だけだろうか。


『新八、お前これいつも食ってんの？』


｢出されたのであれば食べるしかないですよ……｣


『……お疲れさん』


お妙と神楽が作った卵焼きを互いに褒めあっているのを見つめながら、新八へと小声で話しかける。新八はお妙の卵焼きを見てゲッソリとした。


｢海！卵焼きはこれでいいアルか？｣


『味は悪くねぇんじゃねぇか？作り慣れてくれば見た目も良くなってくるから』


神楽が差し出してきた卵焼きを摘んで口へと入れれば、ふんわりと甘い味が口内に広がる。見た目は確かにボロボロだが、味はそんなに酷くはない。美味いよと伝えると、神楽は嬉しそうに喜んだ。


『といっても卵焼きだけじゃまた文句言われっかも知んねぇからな。他のおかずも作れるようになんねぇとな』


冷蔵庫を開けて中に入っている材料をいくつか取り出して並べる。右側から神楽が。左側からはお妙が覗き込むようにして俺の手元をじっと見つめる。


｢これで何作るの？海くん｣


｢何作るアルか？｣


『なんだと思う？』


当ててごらん。と笑う俺とうーんと悩み込む2人。今夜の夕飯となるであろうおかず。


神楽とお妙にも手伝ってもらうべく、俺は2人にあれやこれやと指示をした。



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