第167幕

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「あれ?さん?」


「なにしてるアルか?」


『新八、神楽』


ひょこりとの左右から顔を覗かせたのは子供たちをじっと見つめて小首傾げる新八と神楽。


社会見学だ、と一言答えると二人は渋い顔でを見返した。


さんも……ですか」


『なんだ?土方がしてるの見たのか?』


「ええ……それにウチにも来たんですよ、社会見学」


『万事屋に?』


そっとから視線を外した新八は半目で苦笑していた。


「おい、お前ら。に迷惑かけんじゃねーぞ」


「だ、誰……」


『神楽!お前は何言ってんだよ』


仁王立ちで子供たちの前に立った神楽は鼻で笑いながら子供らを見下げる。慌てて神楽へと声をかけるも、が神楽を注意するよりも早く紗夜が口を開く。


「同じ子供じゃない。貴女、五十歩百歩って知ってる?」


神楽を小馬鹿にする紗夜に花が紗夜の着物を掴んでめるように声をかける。だが、紗夜は気にせず神楽と同じように鼻で笑った。


さん……」


喧嘩を売られた、と怒り始めた神楽は紗夜を殴ろうと拳を振り上げる。その手から軽やかに逃げ回る紗夜に呆れた顔をする


『さっきからこの調子なんだ。あの子だけやたら当たりが強くてな。一言言おうかと思ったんだが……子供だから仕方ねぇかと思ってな』


「いや、子供でも言っちゃいけないことはあるんで……」


『でも、今のは神楽が煽ったのが悪い。そうだろ?』


「ええ……」


紗夜を追い続ける神楽を二人で見つめてため息を零す。どうしたものか、と二人で頭を抱え始めた時、新八との間からヌッと現れた頭。


「なーにやってんの?こんなところで」


「銀さん!」


『銀時か。社会見学してんだよ』


「え。お前もやってんの?」


腰に回る銀時の手を叩き落としながらは一言呟いた。


『近藤さんに頼まれたからな。やってはいるけど……』


歯切れ悪く言うに銀時はちらりと子供達へと目を向けた。神楽に追われている紗夜とその紗夜を心配そうに見つめる花。ほかの子供たちはただただ狼狽えるだけ。


追われている紗夜を銀時が見た時、カチリと合わさった視線。


「うん?」


『どうした?』


「いや……なんつうか」


"同じものを感じた"と呟く銀時には意味がわからないと顔を顰める。視界の端で喚き始めた神楽と紗夜。「どうすんの?アレ」と銀時がニヤニヤと愉しげに二人を指差して笑う。


止める以外の選択肢があるのであれば教えて欲しいものだと心中で愚痴りながらは息を吸い込んだ。


『神楽!お遊びはもうその辺にしとけ!』


「でもコイツ!!」


『いいから』


紗夜の首根っこを掴んでぷらーんと持ち上げる神楽に声をかける。納得いかないという顔を向けられたが、は首を横に振るだけ。


に免じて許してやるヨ。次はないからな」


「ゴリラ女!!」


『いい加減にしろ』


ぼとりと地面に落とされた紗夜が神楽へと苦し紛れに飛ばした言葉にはついに紗夜をキツい声色で諌めた。


「なによ……!あんたなんか……あんたなんか大っ嫌い!!」


「紗夜ちゃん!!」


に向けて叫んだかと思ったら、紗夜はグイッと目元を着物の袖で拭って走り出した。その後を追おうとした花だったが、その肩をに掴まれて足を止めた。


『俺が行くから。君はあのお兄さんさんから離れないで』


「え?」


が指差したのは銀色の頭の男。花はそちらへと目を向けてから再度、へと戻す。優しく微笑んだにほんのりと頬を染めてこくりと花は小さく頷いた。


『銀時、ちょっとこの子ら頼む』


「はいはい。こっちは見ててやるよ」


申し訳なさそうに眉を下げて「悪いな、」と一言残し、は紗夜を追うべく駆け出した。


「神楽ァ、新八ィ!絶対このガキどもから目ェ離すんじゃねぇぞ」


「え?どういうことですか?」


「あ?そりゃこういう事だろうよ」


町中にも関わらずぞろぞろと出てきたのは刀を構えた攘夷浪士。敵意剥き出しの彼らに怯える子供たちを背にして銀時は舌打ちを漏らした。


「子供連れてるやつを狙うなんて卑怯なんじゃねぇの?」


腰にある木刀へと手を伸ばして抜き取るのと攘夷浪士が銀時達へと刀を振り上げたのは同時だった。



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